
少々懸念ある盛夏の山会、挙行!
久々に山会を行った。本来なら熱中症の心配があるこの時期には行わないのだが、地元出版社M氏の、たっての希望により実現した。
M氏は登山未経験者。しかし以前より興味があり、機会あれば始めたいとの思いを常々有していたという。今回は、暑さによる疲労の激しさ等を重々説明し、納得して参加して頂いた。何分若い人で、体力・気力共十分であると見受けられたので、私としても歓迎であった。
向かったのは、滋賀西部にある比良連峰。このサイトでも度々紹介している馴染の山塊で、京都市街からも比較的近く、交通アクセスもいい。参加者は友人のKと、仕事関係で知り合ったY氏と私、そしてM氏の計4人。本来なら更に募りたかったのだが、時期が時期だけに、M氏以外は慣れた人に限定した。
写真は比良東稜最高峰の蓬莱山(1174メートル)。北方峰続きの打見山(1110メートル)からの一枚。夏山の空気感がよく捉えられていると思うのだが、如何だろうか。

滋賀県安曇川水系上流部にある「平」集落の古民家。
市街から比良へ。<平 ― 権現山>
出町柳駅7:45発の京都バスに乗り、山あいを縫う旧大原北陸道(R367)を北上した。朝ながら、話好きのY氏は乗車直後から絶好調である。実に愉快。そして乗車後1時間程して「平」という山間集落にて下車した。
比良南端に近いここから登山道に取り付き、稜線に出て縦走するのだが、何と、停留近くの古民家に、R社H氏一押しの骨董食堂の屋号が掲げられている。ここは是非立寄りたい気分であったが、引率の私がのっけから本題より逸脱する訳にはいかない。残念ながら、奇遇を一人笑いつつ、早々に登山路を目指した。

権現山山頂(996メートル)からの南方眺望。左に見える低い山体は霊仙山(750メートル)。比良連峰最南部の峰である。右に見える白い山肌は、途中峠近くの採石場。
皆のペースを考慮しつつゆっくりと進み、約1時間半程で稜線にでた。権現山山頂である。森林は殆どなくなり、熊笹広がる広景と出会う。生憎の曇天で眺めは今一つだが、平年に比して涼しいのが有難い。M氏は初めての登坂達成と眺望獲得に感激しきり。
平から権現山のルートは私も今回初めて。実は、近年この区間に山蛭(ヒル)が頻出するとの噂を聞いていた為、警戒していた。幸い被害はなかったが、途中のアラキ峠にてM氏のズボンに1匹付着しているのをKが発見した。M氏はすぐに払い落としたが、やはり噂は本当だったようである。雨天の際は気をつけた方がいいかもしれない。
近年聞かれる各所での山蛭増加は、鹿を主とする野獣の移動増加が因とされる。植林や開発による餌不足により、それが促されているようである。本当の所はどうなのか解らないが、あまり良い気分の話ではあるまい。道なき道を長年歩いた私も、初めての遭遇である。出来れば捕獲して観察したかった。

権現山より琵琶湖岸は和邇(わに)浜方面を写す。
そういえば、大風が吹き、虹囲う湖面が白光する不思議な現象に遭遇したのがこの浜であった。あれは確か今年の5月のことである。

縦走路の彼方に姿を覗かせる蓬莱山(中央の円い頂)。
いざ縦走、一路北へ。<権現山 ― 蓬莱山>
権現山から稜線を北上し、一路蓬莱山を目指す。本来は全縦走路の半分程を行くつもりだったが、参加者の力に無理があるので行ける所までの行程とした。蓬莱山までは200メートル程の行程差をゆっくり詰める道となるが、少々年配のY氏や、慣れぬM氏にはきつそうである。

途中立寄って休息した「小女郎ヶ池」(こじょろがいけ)。標高約1030メートルの稜線鞍部にある珍しい高層湿原である。小さな池のみではあるが、その名から知れる通り、女人に関わる古い伝承を宿している。氷期よりの湿地で、深泥池同様、希少植物の自生地であるという。

ホッケ山頂(下部の山頂)の南方に現れた謎の光。火色の玉が5個並ぶ形をしており、昼食後Y氏が発見した。京都市街方面なので、屋根か何かに陽が反射しているのか。Y氏はUFOと騒ぐことしきり。
昼食とUFO騒ぎ、そして打見山の誘惑。<蓬莱山 ― 打見山>
13時頃蓬莱山に到着し、昼食をとった。冬はスキー場と化す山頂の芝生上にて行い、食後はそのまま寝そべり少々の昼寝となった。M氏、山上の爽涼に感心することしきり。Y氏、下界に戻らずにすむを願うことしきり(笑)。
午後から荒天の予報であったが、誰の徳に因るのか、幸いにも陽が射し始めた。

打見山ゴンドラ駅食堂より、八屋戸集落(JR蓬莱駅)方面を写す。
蓬莱山より芝生伝いで北隣の打見山に移動。ここには麓からのゴンドラが直結しているため、涼を求めに来る一般の遊山客も多い。ホテルや売店もあり、ちょっとした遊園地帯である。登山者には興ざめの有様だが、縦走ルート上なので仕方ない。何より、貴重な水補給場でもある。Y氏、自らその不良を断じつつ、魅惑の缶ビールを購入。

打見山よりの下山路途上にある「天狗杉」。樹齢は千年程か。私の知る限り、比良で最も大きな樹木。
下山。<打見山 ― 木戸集落(JR滋賀駅)>
休息中の色んな話に花も咲いて、結構時間も押してきたので、今回はこれにて下山することとした。比良三千坊の遺構という、打見山寺屋敷跡から山中縦走路に戻り、途中のクロトノハゲ分岐より木戸集落へ下った。その途中、天狗杉と遭遇。私は何度も見ているが、初めてであったY氏とM氏は感激しきりであった。
ところで、この天狗杉。木戸峠へ向かう旧牛車道(現登山道)途上の小平坦地片側にあるが、もう片側にも若いが杉があり、ちょうど対称をなしている。付近には樅やブナの巨木が多く、何か禁忌ある特別な場所のように見える。以前から気になっていたが、ひょっとしてこの場所は祭祀施設か何かが、あった場所ではなかろうか。滋賀県の遺跡地図には何も記されていないが、調査が待たれる処である。
それと同時に牛車道傍らの石塁の保護と調査も切望する処である。石塁に噛んだ巨木の齢から逆算すると、それが大変古いものと断じられるからである。

木戸集落湖岸より蓬莱・打見全景を望む。山を覆う天空は、すっかり日暮風情となった。
牛車道の葛折をひたすら下り、無事下山出来た。山を見上げ、来た道を感慨すること皆しきりである。本日の行程は約12キロメートル。特段長い距離ではなかったが、色々と充実した山行であった。
この後、皆で列車にて市街に戻り、銭湯で汗を流し、中華屋にて打上げを行った。これもまた良し。皆さん、楽しい一日を有難う。今日はお疲れ様でした。









