ああ、流氷逃亡道東到着から一夜明けた旅行2日目。今日は旅の目的である流氷観覧の予定日であった。しかし、前夜聞かされたのは、その流氷の不在であった。何でも、1月下旬に接岸して以来、いい塩梅で停留していたらしいのだが、選りによって2日程前に沖へ去ってしまったらしい。
運悪く逃げられた格好となったが、消失した訳ではなく、再度接岸する可能性が高いので、滞在中に於ける実見の可能性は失していない。だが、既に観氷船を予約していたので、今日出掛けることになった。写真はその時船上で撮ったもの。観覧客の頭上に突如飛来した北地の鴎である。
道東防寒事情妹宅の主要暖房機である大型灯油ストーブ。
後方に見える2本の管は、その吸気と排気に用いられているもの。ストーブの燃焼部は耐熱硝子で屋内空気と隔離され、管によって外部と直接空気交換を行う為、屋内換気の必要はなく、灯油の臭いもしない。寒冷地ならではの方式で、広く普及しているようである。
実はそれより感心させられたのは家の断熱性能であった。就寝中ストーブを消していたにもかかわらず、朝方その必要を全く感じないほど室温が下がらなかったからである。比較的新しい家だからかもしれないが、我が古家なぞ比較にならないくらい暖かい。しかも、その夜の最低気温はマイナス15度であったにもかかわらずである。もしこの寒さが京都を襲えば、たとえ布団の中にいても、二度と目を覚ますことは出来まい(笑)。
酪農ならではの味「牛乳豆腐」折角なので、少々珍しいものの紹介を…。妹の夫君は義父共々当地で酪農を営んでいるのだが、その生業故得られる生乳を用いて作る「牛乳豆腐」というものがある。写真中央の白いものがそれで、牛乳に酢を入れて作るらしい。
味は淡白で、一種のチーズを思わせる独特の風味である。婚家では主に朝食の一品として醤油をつけて食すようだが、和洋限らず色んな料理に使えそうである。街で売られれば人気が出そうな気もするのだが如何であろう。ともかく、読者諸氏も機会あれば是非お試し頂きたい味である。
途上恐々さて、流氷はないが観氷船には乗らなくてはいけないので、出掛けることとなった。写真はその途上を撮ったもの。見ての通り、路面は全くのアイスバーン状態なのだが、車は通常の速度で構わず走りゆく。道行く諸車全てが同じ調子なので驚かされたが、低温のため意外と滑らないという。危険なのは、氷が水になりやすい0度辺りまで気温が上った時らしい。とは言われても、身に付いた感覚による条件反射か、恐々たる気分は去り難い。
その時の気温はマイナス4度前後。この地方ではかなり暖かい日らしい。
ガリンコ号U車に乗ること約30分、湧別北隣の街「紋別」にある紋別港に着いた。そこに待ち受けていたのは観氷船である写真の「ガリンコ号U」であった。知らなかったが、このガリンコ号、巷ではかなり有名らしく、京都に於いてでも「船に乗って流氷を見る」と言っただけで、殆どの人からその名が返ってきた。観氷船の拠点はここ紋別と網走、そして知床が知られるが、船の名はそれぞれ異なっている。
それにしても、流氷がないにもかかわらず、そして平日にもかかわらず中々の人出であった。乗船前はまさに長蛇の列。台湾からのツアー客が多かったのは興味深いことであった。流氷がないので、乗船価格が割引になったのも面白かった。

観覧は約50分程で、主に港内を巡る。外海に出る予定もあったらしいのだが、波が高く、流氷も無いため中止となった。しかし、無い筈の流氷は、実はその港内にあった。前の接岸で進入し、取り残されたものらしい。港内の一部ではあるが、初めての身には結構な風情があった。写真はその様子。奥に見える円筒形の建屋は、海底観察が可能な氷海展望塔「オホーツク・タワー」である。

船首下に備えた大きなドリル刃を回転させて氷上を進むガリンコ号。
写真の氷は港内最厚のもので、1月頃サハリン辺りで生成したものだという。中々の風情に喜んだが、夫君らに言わせると、あくまでも疑似体験的なものに過ぎないらしい。出来れば「本物」を体験して欲しかったと、残念そうである。昨晩義父から聞いた話によると、かつて流氷は1度接岸すると春まで去ることはなかったという。しかもその大きさも凄まじく、一戸建て程もある巨大な氷塊が大挙して浜に押し寄せていたらしい。1度見たい光景ではあるが、今は難しそうである。残念だが、それが温暖化の影響に因るものとは言い切れまい。

ガリンコ号船尾より見た、その砕氷航跡。豪快に割ってくれるのは有難いが、あとの人の為に少々節約した方がいいのではないか、との心配も生じた(笑)。

無事観覧を終えたあと、さきに紹介したオホーツクタワーに寄った。流氷があれば、その底を観察出来るのであるが、外海側に設置されているため叶わなかった。しかし、海中に漂う「クリオネ」は見ることが出来た。昨今水族館で人気だが、その野生を見られたのは興味深いことであった。だが、潮の流れが速く撮影出来なかったので、写真は水槽展示のものである。
「自然破壊バブルホテル」改め、「ご都合環境策根回し会場」 in 紋別帰り際、ちょうど紋別港で開催されていた「もんべつ流氷まつり」の会場にも寄った。氷塊を用いて作られた建造物やオブジェが多く展示されている。製作は「陸上自衛隊第25普通科連隊」の皆さん。煉瓦方式で様々な形を組むには、かなりの技術が必要そうである。
さて、その中で一際目についたのが、かつて報道映像で目に焼きつかされた、あの洞爺湖のバブルホテルであった。写真がそれである。北海道、そして日本の政治経済の負面を象徴するかの如き存在であり続けたが、今はサミットの会場予定地として新たな注目を浴びている。しかし1度ついた印象は中々拭えないものである。よって、つい色々と勘繰ってしまう。自ら世界の「主要国」と称する国の首長らが、大規模な自然破壊によって成ったこのホテルに於いて温暖化問題等の根回しを行うことに対してである。
posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 11:57
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逍遥雑記