2022年05月27日

2022山茶手工後記

米油で揚げられる野生新茶葉(山茶新茶)

製茶より適す?

山会(やまかい)等の「会」の類にはしなかったが、去る5月22日(日曜)に知人と共にまた野生茶(山茶)の新茶摘みに裏山へ行っていた。

その際は、同行者に教えがてら、茶葉をこれまでより良く揉んで味の抽出を増そうと試みたが、明らかな向上を得ることは出来なかった。

あと試せることは、殺青(さっせい。色止め)を簡易法の電子レンジ蒸しではなく、真面目に蒸し器を使うことくらいか……。また、そもそも今の茶とは遠く品種が隔たっている可能性も改めて考えさせられた。

そんな、少々諦め気分のなか、食用として冷蔵庫に保存した茶葉がまだ残っていることを思い出した。そこで、思い切って、これまで経験のない方法で、調理することにした。

それが、写真の揚物。所謂「茶の葉の天麩羅」である。調理といっても、作り方は至って簡単で、水溶き小麦粉に、軽く水洗いした「一芯二葉(一針二葉)」の新茶葉を浸け、180度の米油でさっと揚げただけであった。


米油で揚げた山の新茶天麩羅
あっという間に出来上がった山の新茶天麩羅。揚げている時から良い茶の香りが漂う。これに粗塩を塗しただけで食したが、結果は期待通りの美味。茶の味が立つというより、コシアブラ等の山菜を食べているような感覚で、新芽ならではの鋭さ・力を感じられた。うーん、製茶するより余すことなく味わい尽せる、この方法が最適かもしれない、とすら感じた(笑)。


山の新茶葉を練り込んだ手作りべた焼き
ついでながら、他の新茶葉調理も紹介。同じく日曜採取した山茶葉を練り込んだ「べた焼き(一銭焼)」である。先日の作で、新玉葱や南瓜も入っており、本来はかき揚げを意図したが、油を切らしていたため仕方なく粉を増し鉄板調理した。こちらも、調理中に良い茶の香りがしたが、食味としては粉に封じられた感じだったので、やはり揚物が適すように感じた

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2022年05月21日

三所巡覧

鴨川をどりの開演前、先斗町歌舞練場内の劇場に吊るされる千鳥提灯

小時以来の伝統芸能

今日は誘われて久々に観劇に行く。

その催しの名は、京都祇園対岸の花街・先斗町(ぽんとちょう)の「鴨川をどり(「を」は正称ママ)」。賀茂川(鴨川)西岸の先斗町歌舞練場で行われる、同花街の芸舞妓による歌舞音曲の舞台である。

それは明治初頭から続く催事で、賀茂川東岸は祇園甲部の「都をどり」等と並ぶ、春の伝統行事であった。歌舞伎に似た絢爛豪華な舞台美術や演出に、質の高い演技・演奏で知られる。

コロナ禍により大戦以来の休止となっていたが、今年3年ぶりに再開されることとなった。個人的には小時、在りし日の祖母の付き添いで行った以来の、数十年ぶりの観劇となった。


上掲写真 先斗町歌舞練場の劇場に吊るされる千鳥提灯。賀茂川河畔にある先斗町の花街施設らしい調度。開演前現場職員の許可を得て撮影。


京都国立博物館の入口に飾られる「最澄と天台宗のすべて」展の掲示

観劇前の一大良展

どころが、今日は鴨川をどり以外にも見なければならない催事があった。それは、写真の「最澄と天台宗のすべて」展である。

開催は、祇園南の京都七条末(「末」は旧平安京外れの意)は京都国立博物館だったので、鴨川をどり観覧前の午前に出向いた。


「最澄と天台宗のすべて展」で展示される天台宗総本山・延暦寺根本中堂の「不滅の法灯」の複製
京都国博の展示室は原則撮影禁止だったので、唯一許された天台総本山・延暦寺根本中堂「不滅の法灯」の複製展示を紹介。展名通り、最澄及び天台宗縁の書画仏像等の名品を集めた一大良展だったが、写真紹介出来ないのは残念。海外の博物館の如く、早く日本でも自由化してほしい処である


通り奥から覗く、京都・先斗町歌舞練場

華やか且つ高水準な伝統行事

京都博物館の最澄・天台展をじっくり観覧したあと、一旦帰宅して昼食を済ませ、再び出掛ける。そして、三条や木屋町の繁華街を過ぎて現れたのが、写真の先斗町歌舞練場。

常滑風タイルで壁面を飾る昭和初期建築らしい外観ながら、随所に独自意匠が施される「街の顔」的存在。京風情を代表するような場所ながら、行政や人々の無策・無自覚の所為で近年随分古い建屋が無くなったが、通り奥にこの歌舞練場が現れる様だけは昔のままで、安心させられる。


鴨川をどり開演前の京都・先斗町歌舞練場の舞台
歌舞練場での鴨川をどりも撮影出来ないので(これは致し方あるまい)、代わりに開演前の劇場の様子を。勿論、前掲写真と同じく、現場職員の許可を得て撮影。席は2階まであったが、1階に限ってはほぼ満席であった

歌舞練場前にて知人と落ち合い、入場。公演は約1時間半弱であったが、大変華やか且つ高水準で良かった。さすがは長く続くだけはある。ただ、色恋物の劇演目では年齢に合わせた配役も必要かと思われた。技芸に優れただけでは共感に限界が生じ、歌舞伎もその対応をしているからである。


観覧者で賑わう京都市京セラ美術館の「兵馬俑と古代中国展」

機会無駄にせず収穫も

鴨川をどり観劇後は、近くの四条界隈で喫茶兼軽食休息をし、その後知人と別れたが、その帰りにまた物見に……。

それが、写真の「兵馬俑と古代中国展」。今度は祇園北の二条末にある京都市美術館(京セラ美術館)が、その会場であった。

不覚にも喫茶休憩で時間を費やし、既に閉館前1時間半を切っていたが、何とか観覧することに。何故そんなに参観を詰め込んだかというと、実は最澄展と兵馬俑展の招待券を前に文化関係者から頂いていたが、うっかり行きそびれ、気づいたら今日しか行けなくなっていた為である。

両展共にあと1日会期があったが、明日は別の約束があるため、なんとか先方の好意と機会を無駄にせぬよう、観劇前後に行くことにしたのである。

それにしても、その参観客の多さに驚いた。兵馬俑展は昭和期から幾度か行われたため多くの人にとり最早珍しいものではないと思っていたが、違った。しかも、既に館外で当日券の完売・入場不可すら報じられていた。

私は券持参の為そのまま入館したが、展示室手前で予約の有無を問われ阻まれてしまった。コロナ感染対策のこともあり、予約については事前に調べていたが、今回は予約が必要とは目にしなかった。その辺りの事情と残り時間が少ないことを告げ、なんとか暫く待ったのちに通してもらった。

想定外に多くの人が来て、急遽予約制になったのであろうか。


京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される武人俑
京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される武人俑。彼の始皇帝陵より出土した実物で、撮影可能展示室の展示物。この展覧会は、何故か小さな展示品の多くが撮影禁止とされ、大きな物が可能とされていた


京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される銅馬車(銅車馬)
同じく京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される2号銅馬車(銅車馬)。これも始皇帝陵の出土品だが、今回は複製品。銅馬車は2種(2組)出土しているが、どちらも始皇帝行幸に関する乗物とみられている


京都美術館の「兵馬俑と古代中国展」で放映される武人俑の彩色復元影像
京都市美術館「兵馬俑と古代中国展」で放映される武人俑の彩色復元影像

研究進展の結果、兵馬俑はモデルに近い姿になるよう着色されていたことが判明したという。これは、今回の参観での個人的収穫となった。

実は兵馬俑展はこれまで幾度か観ており、それどころか、実際にその昔、始皇帝陵まで行って銅車馬を含む現物を見ていた。それ故、最澄展より少々興味が薄かったが、彩色のことや北方民族の人相特徴を持つ人物俑が存在することなどが新たな知見となり、十分価値を感じることが出来た。

そして、18時閉館となり、観覧も丁度終了。

こうして、京都市美術館でも、1時間程の参観ながら、中々充実した観覧となり、結果、券も無駄にせずに済んだ。機会をくれた人に感謝!

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2022年05月15日

続2022山茶手工

南部鉄鍋に山の新茶葉を入れて行う釜炒り製茶

「釜炒り」にて再び山茶作り

先月末に試みた裏山の野生茶「山茶」による手作り新茶。

煎じた際に味の抽出に時間がかかる等の課題が残ったが、研究を深めるため、今日また奥山に出向いて採取し、再挑戦することにした。

但し、今日はこれまで行った電子レンジ殺青法を含む日本茶に一般的な「蒸し製法(殺青・さっせい。色止め工程)」ではなく、九州山地等で山茶に対して行われる「釜炒り(釜煎り)」製法を試すこととした。

釜煎り法とは即ち、龍井茶等の中国緑茶と同じ大陸式の古式製法で、前回同様、少し萎凋させた新茶葉を写真のように鉄鍋(釜)に入れて加熱(火入れ)するものであった。


南部鉄瓶を使って釜炒りされる山茶
釜炒りの方法は至って簡単で、鉄鍋で加熱して殺青し、その後、蒸し製茶同様、手揉みしてまた鍋で加熱することを繰り返し、乾燥茶葉にする


出来上がった山茶新茶による、手作り釜炒り煎茶
そして出来上がった釜炒り煎茶(新茶)。温度が高い分、蒸し法と比べ香りが増したが、残念ながら、抽出時間の問題は改善されなかった


左から「釜炒り」「レンジ製茶」「レンジ殺青後釜炒り」の3種の、手作り野生新茶
比較のため、釜炒りのみではなく、他の製法も試す。計3種で、左から「釜炒り」「レンジ製茶」「レンジ殺青後釜炒り」の各煎茶である。しかし、何れも抽出時間や味に大きな違いは出なかった。うーん、中々難しい……

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2022年05月05日

続2022春野営会

滋賀・湖南アルプス山中の新緑の森と、快晴の朝空を横切る飛行機雲

またの快晴の下
珈琲容器にピザやら啄木鳥やら……


恒例の春の野営会2日目。

昨日の初日同様、朝から快晴となった。気温も昨夜夜中や明け方こそ寒さを感じたが、日の出以降急速に上昇し、朝8時頃には暑い程となった。


上掲写真 滋賀・湖南アルプス山中の新緑の森と、快晴の朝空を横切る飛行機雲。


滋賀・湖南アルプス山中の野営での窮余の合作のペットボトル・コーヒードリッパーとアルミ缶サーバー

朝食はフランスパンを鉄板焼きして生野菜やベーコンを挟んだものを用意。飲み物は友人差入れの珈琲だが、ドリッパーを忘れたらしく、本人が写真の如くペットボトルを加工して用意した。

ただ、そのままでは径が細く自立しないので、私がアルミ缶を加工して下にサーバーを追加。まあ、窮余の合作で見てくれも悪いが(笑)、無事美味しい珈琲を淹れることは出来た。皆さんも今後の参考に……。


滋賀・湖南アルプス山中の野営地近くの枯木に現れた啄木鳥(きつつき)

朝食後、友人が昨秋の野営会で試みたピザ作りに挑む。前回同様、生地発酵から行う本格的なものだが、やはり上面の加熱に課題が残った。

写真は野営地での寛ぎ時に近くの枯木に現れた啄木鳥(きつつき)。最初こそ警戒していたが、やがて我々を気にせず軽快なドラミング(打撃音)を聞かせ始めた。こんな近くでその姿と活動を見たのは初めてであった。

最後のお騒がせ

そして、昨夜の残りものの昼食を何とか平らげ、やがて撤収作業に。ゆっくり行ったが、手際や装備を研究していたため比較的早く終え、下山することが出来た。

ところが、折角早く下山して帰宅出来たのに、家の手前で鍵がないことに気づく。野営地を出る際は財布や電話と共に重要物品として確認をし、皆にも促すのだが、麓で油断し、友人の車の荷台に落としたのである。

駅等で落とさず、すぐに見つかり不幸中の幸いとなったが、家に入れないので、一先ず荷を置き引取りに出掛けた。友人が車で届けることを提案してくれたが、連休最後の渋滞や疲れの危険を考え、自ら列車で往復した。

ああ、最後に失敗――。

物理的・心理的にどっと疲れた。駅まで鍵を届けに来てくれた友人には申し訳ない限り。

こうして、最後は油断による失敗があったが、大きな事故もなく、一先ず安全に会を終えることが出来た。

皆さん有難う、そして最後に騒がせてごめんなさい!


2022年春野営会1日目はこちら

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2022年05月04日

2022春野営会

滋賀県南部「湖南アルプス」山中で陽を浴びる沢沿いの蕨(わらび)

今年の人出は

今日は恒例の春の野営会。

先週まで連休中は雨予報が多かったが、直前になって好転し、無事快晴のなか開催することが出来た。

昨年はコロナ禍制限の影響やキャンプブームもあり、基本密やかな野営地も人が多く、隠しておいた常設の炉(竃)も他人に取られ、初めて場所を変えたが、今年は如何であろうか。


上掲写真 恒例の野営開催地・滋賀県南部「湖南アルプス」山中で陽を浴びる沢沿いの蕨(わらび)。


風化花崗岩質の山肌に清澄な水が流れる滋賀・湖南アルプスの沢
風化花崗岩質の山肌に清澄な水が流れる湖南アルプスの沢

麓で買出し等の準備を済ませ野営地に入ると、麓にはバーベキュー客らが多く駐車も多かったにもかかわらず、意外に野営者は居らず。

3年ぶりに緊急宣言のない連休となったので帰省や遠出に流れたか。または、噂通り、急速にキャンプブームが衰退したのか……。

とまれ、安堵して準備に掛かろうとすると……。


滋賀・湖南アルプス山中の野営適地に散乱する便所紙

配慮なき者来るべからず

やはり昨年同様、悪しき野営者の痕跡があった。炉や天幕場近くでの便所紙の散乱である。判り辛いが、写真内だけでも3箇所の捨て場があり、他にも多くの同様があった。

そして、埋めた跡がないので、当然糞便の露出も。紙の新しさから、この連休後半の仕業に違いなし。先程我々と入れ違いに野営装備の家族4人とすれ違ったが、彼らの可能性もある。山に不慣れな感じはなくゴミも片していたが、せめて埋めるくらいのことは出来なかったのであろうか。

こんなことが続けば色んな意味で早晩野営が出来なくなってしまう。以前からゴミの残置はあったが、これ程酷いのはコロナ禍以降のことである。また、炉も不必要な高温に晒され損壊を受けていた。環境保全や防火はマナー以前の問題。大人として最低の配慮も出来ない者はもう山に来るな。


滋賀・湖南アルプス山中での直火焚火
気を直して設営を続ける。そして炉に火を入れ、一先ず完了となった。今日は直前に1人が仕事の事情で来られなくなったので、荷運びや構築の負担が増したが、以前から軽量化や装備進化を図っていたので、難なく済ますことが出来た。とまれ、持ち込んだ麦酒で一息……


夜、石で作った竃の中で燃える薪。滋賀・湖南アルプス山中にて

北斗七星と共に

そして夕方から夕飯の準備にかかり、やがて焚火明りの夜に。献立は蕪豚汁に牛肉や鰆(さわら)・野菜等の焼物。勿論、薪炊きの白飯付である。

予報通り、昨晩に比して格段に気温が高く、過ごし易い夜となったが、それでも就寝前には8度程まで下がった。

夕食後、頭上の北斗七星を眺めながら飲み語らうこと暫し。その後、野営初日を終えたのであった。


2022年春野営会2日目はこちら

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