
望月と惑星の同時皆既
比較的最近のことだが、今晩稀少な月食が見られるとの報道を聴いた。
それは惑星食(天王星)を伴う皆既月食で、戦国天正期以来442年ぶりとなり、更に天王星食に限定すると過去5000年例がないというものであった。また、次に起こる惑星食も322年後という、実に稀少な機会であった。
折角なので、ちょうど欠け始めのころ外にいる予定もあり、望遠レンズをつけたカメラを持参し、撮影することに。すると、東山連峰の黒塊から満月が顔を出し、写真の如き姿を見せた。
時は18時ちょうど。国立天文台によると食が始まるのは同9分からとのことだったが、左下が黒く、既に欠け始めているような様子である。
後に知ったところによると、これは「食」ではなく「影」で、部分食に先行して起こる「半影食」という現象だという。それは既に17時から始まるらしく、比較のため完全な満月を撮影しようとした試みは失敗に終った。というより、月の出や空の明るさとの関係から、元より無理であった。

そして18時9分、欠け始めである部分食の開始となった。確かに始まったか

続いて18時16分、確かな欠け・月食状態になってきた。なお、帰宅中に撮影したので前掲画と撮影場所は異なる

18時57分、部分どころか、闇夜に呑まれ、消えそうな状態である

19時29分、同16分から始まった皆既状態が進行。明るさが極端に落ちたので手持ちで撮影出来ず、三脚撮りに切り替え。既に帰宅し、月の高度も上がったので自宅前で難なく撮影出来た

そして19時59分、食の最大を迎える。赤黒い異様な望月が夜空に浮かぶ。これだけでも十分珍しい。ん?後ろから急にスマホのフラッシュ撮影するおばちゃん、やめてくれ(笑)。どうせ、そんなのでまともな写真は撮れまい

捕捉、天王星食
本来なら食の最大を捉えて撮影を終えるつもりだったが、今回の月食は惑星食あってこその稀少価値があったので、その機会に臨んだ。
そして20時31分、月の輪郭に接し、正にその陰に入らんとする天王星を捉えた(写真、月縁下部やや左の光点)。天王星があまりに小さく、ファインダーを覗いても判らないため、予告時間に合わせて複数写してなんとか押さえたのである。

20時42分に皆既月食が終り、また部分食と化した21時25分。4分前に食を終えた天王星が再び月の輪郭から現れる筈だが、相対的に月の明るさが増したためか、確認出来なかった

21時49分、部分食が終る時間だが、まだ欠けているように見える

そして22時4分、ほぼ通常の満月に近い姿となったが、半影食は続いており、それが終るのは22時57分とのことであった
双方終了
さて、後半は庭に三脚を立てていたので撮影や観賞は楽だったが、夜も更けてきたため双方これにて終了とした。思えば、これまでじっくりこうした観賞をしたことがなかったので、その意味からも貴重な体験が出来た。