2023年05月31日

続慰問急行

乾いた晴天の下に広がる、道東の街外れの牧草地

良き空・景なるも……

親類の見舞いのため、急遽実施した北海道行2日目。

昨日は到着が遅かったため、今日病院に案内してもらうこととなった。時間調整のため、少し郊外に寄りつつ親類の車で病院がある街まで向かう。

車窓からは、道東・オホーツク沿岸らしい、広々とした景色が広がる。そして、梅雨の無い、北地らしい透明感あふれる晴天が、ともすれば平板になりがちな、それらに立体感を与える。

まさに、この上ない景色――。

この時期に当地を訪れるのは初めてだったので、本来なら実に感慨深い眺めだったが、やはり見舞いという事情により楽しむことは出来なかった。

この景色のなかで長年朗らかに暮らし、そして、ここをこよなく愛した人が、今命の危機を迎えている……。

それを想う心は、唯々重く、表し難いものであった。


上掲写真 梅雨のない道東の乾いた晴天の下に広がる、街外れの牧草地。


P5314349.jpg
同じく広々とした道東郊外の牧草地や畑。梅雨入りしないとはいえ、西南彼方の台風による前線の影響か、比較的雲も多かった

どうか何卒

やがて病院に着き、早速病室の親類を見舞う。厳しい状況ながら、数日前に意識が戻っており、少なからず言葉を交わすことが出来たのは不幸中の幸いであった。

その後、日没まで皆で病床を囲みつつ寄り添い、滞在家に引き上げたのである。こんな状況になって慌てて訪れた不精を、何卒お許しあれ。そして、どうかこの状況が好転しますように……。

唯々、請い、願うばかりの、北地での一日であった。

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2023年05月30日

慰問急行

降り出した雨に濡れる飛行機の窓と関西空港駐機場

久々かつ急遽彼の地へ

朝、京都市街の家を出て、バスを乗り継ぎ大阪南部の関西空港へ。

生憎の雨予報だったが、幸い家を出る時は止んでいたので、持参の傘を出さずに飛行機に乗ることが出来た。

そういえば、昨日近畿の梅雨入りが報じられたばかり。5月に梅雨入りするのは10年ぶりで、平年より8日、昨年より16日も早い雨期入りとなった。

南西諸島が1週程遅かったので、こちらも同じ傾向かと思ったが、意外な旅路となった。


上掲写真 降り出した雨に濡れる飛行機の窓と関西空港の駐機場。離陸待ちの機内にて。


札幌時計台とその玄関口
さて、関空から飛行機で一気に飛んだのは、北地・北海道の札幌であった。とはいえ、飛行場から札幌までも距離があるので、降機後に列車で移動。時間調整と夕食買出しのため駅近くの名所・時計台にも寄ったが、急遽北地に飛んだのは旅行が目的ではなかった。実は、道東の親類が今月初めに入院し、その後容態が悪化したための緊急の見舞いが目的であった


高速バスの車窓よりみた道央道と道央の山野
慰問の旅は札幌で終りではなく、更に遠方へ向かう必要があった。そのため、札幌駅からバスに乗り、高速路を延々と北行する


高速バスの車窓よりみた道央道沿いの夕陽と水田
夕方乗ったそのバスは数百Kmを数時間かけて移動するため、買い込んだ食事を摂るなどして車中を過ごす。本来なら久方ぶりの北地の眺めを楽しむところだが、軽からぬ事情の為その気にはなれなかった。そして今時分らしい遅い日没が車窓に現れる。それは北地に広がる意外な水田景を映しつつ、やがて宵闇と換っていった。結局バスの終点から親類の迎えでオホーツク沿岸の目的地に着いたのは家を出て13時間後の夜遅くのことであった

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2023年05月12日

古跡伐荒

京都東山山塊の新緑が眩しい、鹿ケ谷上部の如意越口

雨前の懸案解消へ

爽やかだが季節外れの暑さが続く、黄金週間明けの週末。明日からの雨天を前に予定を入れ替え、午前から近山へ出かけた。

目的は、以前発見した山中遺跡の遺物保護。比較的重要・稀少と思われる遺物の散逸や破損を防ぐため、一旦代理回収するためであった。

その後は、以前行ったように、京都市文化財保護課に連絡して引き取ってもらうか、現地に戻す(引取り判定を得なかった場合)予定であった。

勿論、鍛錬を兼ねたものでもあったが、遺物については以前から気掛かりとなっており、梅雨等の豪雨影響が生じる前に急ぐ必要があった。


上掲写真 京都東山山塊の新緑が眩しい、鹿ケ谷上部の如意越口。


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥の如意寺本堂地区手前の古道上に現れた伐採作業の注意標示
登山口から1時間程を経て東山(大文字山・如意ケ嶽)深くに進むと、何やら注意貼りが……。この先での伐採作業中の注意を促すものであった


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥の樹林より覗く、如意寺本堂地区の伐採現場
注意標示が現れて暫くし、いつになく樹林向こうが明るい、という異変に気づく。ん?


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥に現れた、如意寺本堂地区全域に及ぶ広大な伐採現場

状況一変!
遅参悔やむ


更に進むと、なんと写真の如き、広大な伐採地が現れた。しかもそこは、今日の目的地たる、幻の古代寺院・如意寺本堂地区跡と重なっていた


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥に現れた、如意寺本堂地区全域に及ぶ広大な伐採現場と古道を囲む網柵
そして伐採地内に進むと、このような感じに。作業は台風倒木の整理が目的のようだが、残存草木を含めた一切が伐られ、以前の倒木原とは異なる荒廃ぶりを晒していた。また、倒木等は除去されることなく丸太状で積まれて遺構表面を覆い、その過程に因るのか、地表や古道もかなり荒れていた。重要な遺跡地区なのに、こんな手荒な施工で大丈夫なのか。そして、地区を東西に貫く古道には、何故か強固な網柵が左右に張られ、伐採地縁の同様と相俟って、施工地内への進入が完全に遮断されていた


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥の如意寺本堂地区付近の遺物散乱地に散る古い陶片
何やら嫌な予感がしていたが、やはり的中した。発見した遺物露出地も荒れ、救出予定だった緑釉皿も破損していたのである。仕方なく、小さくなった残存片を何とか回収した。もっと早く回収しなかったことが悔やまれる。その他、写真の如く無数の散乱陶片が確認出来たが、丸太が積まれ、地形自体も変化したように思われたため、最早発掘等の調査は行い難いと思われた。実は、こういうことが無いよう、発見してすぐ保護課担当氏に遺物の写真付で通報したが、またもや無視されていたという事情があった。いい加減だけならいざ知らず、遂に実害に至ったため怒り心頭である


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥の如意寺本堂地区付近の遺物散乱地で破壊された緑釉陶器片
如意寺本堂地区の公的機関未調査地で発見した古い緑釉陶器片(上)と倒木整理作業後のその姿(下)。元は原形に近い姿だったのに、残念無念!


京都東山(大文字山・如意ケ嶽)奥の如意寺本堂地区の倒木整理により露わになった堂跡平坦地
ともかくこの状況と遺物について別途保護課に連絡するしかない。その際には、担当氏の怠慢と失態も通報したいと思う。しかし、この皆伐行為には利点もあった。それは写真に見えるように、堂跡平坦地が判別し易くなり、本堂地区全体の様子が観察し易くなったことである。また、遠く大阪・奈良県界の金剛山まで見渡せる好眺望地であることも明らかとなった


京都東山・大文字山山頂から見た山科盆地や京都市街と彼方の大阪中心部
驚きと無念さを胸に山を下る。途中大文字山山頂を経て、この様な好眺望を得たが、いまいち気分は晴れず。そういえば、ついでに昨年同様新茶も摘みたかったが、それも叶わなかった

走るより歩きが速い?

その後、かの「五山送り火」の火床を経て銀閣寺へと下るが、先行の超軽装トレラン女子組を抜くことに。水だけを背負い走る女子に比べ、鍛錬のためフル装備の重荷で歩く私の方が、かなり早く麓に達した。

平坦な巻道では当然走る方が早く、一度は追いつかれかけたが、その後の急な下りでは速度が出ず、結局差が開いたようである。まあ、こちらが比較的大股だったということもあるが、意外であった。

ともれ、大文字山のような老若男女が行き交う山道で用もないのに走るのは危険である。ましてや徒歩に劣るようでは、根本意味のない行為のように思われた。

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2023年05月05日

続2023春野営会

湖南アルプス山中から見た堂山山頂

雲多き2日目

2023年春野営会2日目(野営会初日はこちら)。

予報通り、朝から曇天の空となったが、今日中の雨を呼ぶものではなかったので、憂慮せず1日を始められた。

今日は朝食後に希望者及びそこが初めての人のために、近くの堂山(標高383m)登山を行う予定でいた。写真中央に見える三つの峰の、一番奥側にある山頂までを往復するのである。

久々に私が引率し、留守は昼食用のピザ作りに勤しむ人に任せることになった。


野営2日目の朝食のソーセージマフィンとドリップコーヒー
因みに、今日の朝食はこれまた久々のソーセージマフィンとドリップ珈琲(ソーセージが隠れているが)。調理は私が担当したが、色んな調味料の提供を受け、簡素・即席ながら、まずまずの朝食にすることが出来た


鎧ダムと堂山との間の鞍部やそこを結ぶ登山道

「湖南アルプス」の特徴凝縮する堂山へ

ゆっくり朝食を摂ったあと、有志と共に堂山へ向かう。写真のような、湖南アルプス特有の、風化花崗岩帯の痩せた林のなかを縫うように進む。砂が載った急斜も多いため、足下に気をつけるように告げつつ……。


湖南アルプス特有の堂山山頂近くの奇岩と背後の湖東平野や琵琶湖に比叡山
これも湖南アルプス特有で、その名の由来にもなった奇岩の連続。勿論、ここも岩を避けつつ、登りつつ通過する。背後に細長い琵琶湖南湖や比叡山も見えてきた


湖南アルプス・堂山山頂近くに立てられた、新名神工事関連の通行止看板
そんな奇岩尾根上にはこんな看板が現れた。古くから麓の里に通じていた脇道の一つを遮断する警告のようで、今回初めて目にした


堂山と山腹を切るように続く新名神高速道路の施工現場
看板の原因はこれである。即ち、山腹を切る新名神高速道路の大工事であった。麓の各集落から自在に堂山を往復出来たのも今は昔。環境や景観破壊と相俟って残念でならない


堂山山頂近くにある岩間下りの難所
奇岩の稜線を進み、幾つかの頂(偽ピーク)を越えて、岩間を下るこんな難所が現れた


堂山山頂近くにある岩場登りの難所
そして、岩下りの次はこんな岩登りの難所も。ロープや石・木の根を掴みつつ進む。落ちて死ぬような場所ではないが、初心者には負担が大きいため、声をかけつつ慎重に進んでもらう


湖南アルプス・堂山山頂からみた田上盆地や琵琶湖に比叡山
岩の下りと登りに因る二つの難所を越えると、遂に堂山山頂に着いた。山頂の巨岩に乗ると、周囲全てが見渡せる


堂山と山腹を切るように続く新名神高速道路の施工現場
先程と同じく堂山山腹を切って大阪方面へと続く新名神高速の施工現場。工費節減のためか、隧道を用いず開路式で道を通している。これではふるさとの景観が台無しである。生まれ育った土地に対する愛着を減じさせないことも、子育てや人づくり、そして地域延いては国の未来への重要な投資ではないのか。何やら昭和より酷いことになってきた気がする。国家・公には百年大計をお願いしたいと切に思った次第である

美麗に整え撤収

さて、山頂でゆっくり休んでもらったのち、野営地に戻る。時間はちょうど昼で、ピザが出来始めた頃だったので、それを頂く。

火加減に難があったが、なんとか食べられたというか、味自体はまずまずであった。また研究を深めてもらい、次回の更なる向上に期待したい。

その後、残りの食材を皆で食して撤収作業に入る。ゴミ・忘れ物・消火等々、抜かりなく行い、来た時以上に美麗に整え、野営地を後にした。

そして、下山後は麓の温泉施設寄ってから帰宅――。

皆さんお疲れ様でした。荷物の詰込や運搬に不安があった人も見られたが、皆のために色々なものを用意してくれ、結果いつも以上に楽しませてもらったり、意外な工夫等も見せてもらった。

良い集いとなったこと、してもらったことに感謝!


野営会初日はこちら

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2023年05月04日

2023春野営会

2023年5月連休中の湖南アルプスの新緑や清冽な花崗岩沢

まさかの実施

今日は恒例の春の野営会開催日。

実は、先月半ばから長く体調不良見舞われ、予定日の天候予報も悪かったため、実施困難の確率が高く、結果、決定・告知が直前となった。

なんとか先月中に体調が回復し、天気予報もまさかの好転が生じ晴れて実施となったが、案内遅れで機会を逃した人には申し訳ない限り。

ともかく、色々とあったが、一先ずは好天の野営日和を迎えられたのであった。


上掲写真 野営会開催地、滋賀南部・湖南アルプスの新緑の山肌や清冽な花崗岩沢。


野営会の天幕設営地
野営会の天幕設営地

またの恥知らず

今回もコロナ以降の傾向が続き、参加人数は少なかったが、久々に初参加・初心者も迎えることが出来た。

心配は、昨今入山者が増えたので、構築した炉(竃)がある場所が取られていないか、ということだったが、これも大丈夫であった。麓には車が多く、駐車場所に少々苦労したが、意外と山中の人は少なかったのである。

ただ先行者のゴミが目についた。これもコロナ以降の特徴。炉は掘り返されて使われ、消火こそされていたが、アルミホイル等のゴミが突っ込まれていた。また以前と同じく、すぐ近くの樹下に便所紙の山が幾つも……。

山へ上る途中に、野営装備らしき大荷物の下山女子2人とすれ違ったが、果たしてどうか。経験上、男より女の方が、森の浅い場所、即ち通路や居場所近くで用を足す傾向をみてきたが、まあ、断定は出来ない。

しかし、こんな近くで用足し跡を露出させて恥ずかしくないのか。更に、すぐにでも風で散乱し、炊事場や寝床に吹き寄せるような状況である。

ともかく、何度でもいう。ゴミを片付けられない者、他者や環境に配慮が出来ない俄者や愚者は二度と山に来るな。


野営会での炉の設営
さて、気を取り直し、手分けして炉の設営や薪集めを行い、野営地を整えた。今回は炉の露除けの覆いを高めに設定


炭熾し容器を炉にしたアヒージョ調理
夕方までの空き時間には、自前の鍋や食材でスペイン料理「アヒージョ」を作る人も

間食等で設営後を楽しむ

アヒージョはオリーブオイルで食材を揚げる間食的な料理だが、私もお裾分けを貰う。美味い。手軽で、良いアイデアである。

下の台は別の参加者が持参した炭熾し用の容器だが、私の発案で火炉として利用。松葉や小枝等の少ない燃料で安定した火力が出る、意外と効率的な裏技となった。


石組炉での焚火による夜の飯盒炊爨
そして、夕方からは夕食時間に。幸い気温が然程下がらなかったこともあり、いつにも増して快適な食事や語らいが出来た


野営地の焚火上に昇る満月に近い月
遅い時間には、頭上に大きな月も。満月ではないが、その直前に近い大きさか。月の明るさに影響されたのか、鹿の鳴き声が山中にこだまする。その後、夜勤でお疲れの一人を除き、遅くまで飲み語らったのであった


野営会2日目はこちら

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会