2024年08月10日
猛暑迎盆
京師盆入
先月下旬の梅雨明け前から3週以上猛烈な暑さが続いている。
それは午後から外出できないような酷さであった。長期予報で聞いて覚悟してはいたが、やはり身に堪(こた)える。
しかし、そうしている内に盆期間に入ってしまった。自分が暮す京都市街のそれは他所より少し早い7日から。そこから10日までの間を「迎え盆」と呼び、祖霊が戻る来る期間としている。
不意に、早そんな時期になったのかと思い、迎え盆最終日の本夕、急ぎ盆参りの著名地、六波羅へと向かった。
上掲写真 六道珍皇寺(ろくどう・ちんのうじ)の迎え鐘を撞く迎え盆参拝者。この鐘の音に呼ばれ、物故親族のお精霊(しょうらい)さんが傍に帰ってくるという。
強烈な暑さ・日射しのなか、自転車にて迎え盆行事「六道まいり」の地、六波羅に向かうも、途中の祇園・清水界隈の観光客の多さに難儀する。こんな暑さでよく観光できるものだと感心さえした。しかし、暑い。もう陽が傾く時間だというのに、強力な暑気は減じる気配がない
最初に迎え盆参拝を済まさんと六道珍皇寺に入る。暑さの所為か陽がある所為か、境内は人が少なめであった
本堂の受付で亡き親族の戒名を水塔婆に筆書きしてもらい、迎え鐘を撞き、線香を供え(水塔婆を燻す)、石佛前に水塔婆を供えた。写真下に見える高野槙の葉で水塔婆を水拭きするのが作法である
迎え盆参拝後、付近の寺院にも参る。こちらは六波羅蜜寺。どこも迎え盆参拝が行われているが人は少なかった
こちらは西福寺。旧五条通である松原通と六波羅蜜寺前の道が出合う丁字部分「六道の辻」にある六道まいりの中心地。前の2寺と比較すると小さい寺だが、地獄絵や九相図といった無常絵の公開で知られる。六道の辻が古代葬送地との境にあったことを今に伝える貴重な存在である
ただ、今年は西福寺で無常絵の展示はなく、以前は上れた一部の部屋にも入れなかった。どうやらコロナ禍以降公開を中止しているようである。その為もあるのか、いつもは人で埋まる境内もこの通りの閑散であった
六波羅の諸寺参拝後、少し足をのばして五条坂の陶器市を覗く。このように、そこそこの人通りはあったが、店数の減少ぶりに驚く。インバウンド地上げによる窯元消失や社会変化が原因とみられる。無事迎え盆参拝は成ったが、色々と寂しさを感じさせられるものともなった