
北陸行に代り隣県雪見
まさかの3月下旬寒波到来から数日後の週末の今日。空いた時間を使い、隣県滋賀は比良山地の雪具合を見てみることにした。
そこは近畿中部としては多雪で知られる山域ながら、今季は何故か比較的少ない筈の京都北山より奮わない印象のため殆ど出向かなかったが、入山容易なこの時期の寒波を好機とみて覗いてみることにした。
実は、本来今日北陸の奥山に登るつもりでいたが、想定外の寒波の強さにより途中の交通困難が予想されたため断念した。
年一回の貴重な機会だったので残念だったが、元より今季は近場で存分に雪が楽しめたので、また雪を欠く年にでも行くかと気持ちを切り替えた。
上掲写真 今季初めて登頂した京都市北部東隣の比良山脈最高峰・武奈ヶ岳山頂(標高1214m)。山頂標識付近は一見雪が無いようみえるが……。

さて、比良の登山口までは一切雪がなく、一昨日の北山のことを幻の如く感じつつ登行開始。比良最深部・武奈ヶ岳への湖西側最短路となる正面谷を進むもやはり少なく、峠鞍部への急登始点の難所として知られるガレ場(というか中部・北陸方言での「ゴーロ」に相当か)「青ガレ」もこの通り

青ガレを越え、ひたに急登を進んで辿り着いた峠下の雪渓。陽当たりの所為か、降ってから日が浅いにもかかわらず、この道程の雪は急速に融けている観があった。やはり厳冬期とは異なり陽の力が強いのか。脇のルンゼ(細く急な枯谷)からの土石流跡や落石の音もしたため、注意しつつ登る

程なく金糞峠(標高約880m)着。ここも標高の割に雪は無し。ひょっとして北山の同様域も急速に融けているのであろうか。少々思考の混乱を来す

金糞峠から見た来し側と麓に広がる琵琶湖。予想外の春めき

ところが、峠がある主稜線裏にはこれまた意外の雪原が広がっていた。深く、滑りやすいので本日初めてアイゼン(靴底氷雪爪)を装着して進む

峠裏の森なかの道程には、この様に沢を渡る急な場所もあった。積雪は1m程もあり、前爪があるアイゼンでないと登り難い状態であった

沢に続く森なかの道程が終り、やがて武奈ヶ岳等がある後方山脈に続く急登となる。大樹の根元に厚く雪がある様子に先程の正面谷との違いを感じ、山の手強さを感じさせられた

延々と続く急登を進み漸く山上の雪原に至る。途中すれ違った人から踏み抜きの凄さを警告されていたが、多くの先行者で固められた踏み跡や体重の軽さからか(冬用の荷物は重いが)、ワカン(輪かんじき)を使うこともなく通過できた。ただ、ワカンより浮力が大きいスノーシュー(西洋かんじき)ごと盛大に踏み抜いた跡も見たので、人により要注意か(笑)

間もなく、武奈ヶ岳手前のコヤマノ岳着(標高1181m)。天気に恵まれ、眺望も良い

コヤマノ岳を少し下った鞍部から見えた武奈ヶ岳山頂。あともう少し。元より高めの気温が更に上がってきたため暑く、雪も湿りはじめて歩き辛くなってきた。実は麓から既に暑く、上着無しで登行していたが、それでも暑かった。後で知ったところによると、今日の京都市街は23度近くまで気温が上ったという。なるほど、雪の山上でも暑い筈である

しかし、武奈ヶ岳山上にはこの暑さにもかかわらず、盛大に成長した雪庇の姿が見えた。今日はカメラを忘れて電話で撮ったのであまり精細ではないが……

武奈ヶ岳山頂への最後の急登を詰める。完全な雪山景だが気温が高い、という矛盾した状況に少々呆れつつ……

そして、山頂着。黄砂等で若干霞んではいるが、晴れて眺望よし。ただ、さすがに昼食時は雪の冷たさや風により上着を足すこととなった

同じく武奈ヶ岳山頂より北方は蛇谷ヶ峰(中央やや右)や野坂山地(中央奥)をみる。最初の写真の如く山頂標裏のこの辺りは広く雪が融けていた
今日こそ冬仕舞いか
昼食休憩後、来た道を戻る。上部に所々雪渓がある峠下の道に難儀したが、横着をせずアイゼンの脱着を繰り返し無事下山したのであった。
今日こそ、今季最後の雪山となろう。予想より雪は少なく、雪質も微妙だったが、冬仕舞いの山行を堪能することができた。自然よ、有難う!