
裏山の春
京都市街の桜満開が宣言されて早1週間――。
風に散るものも増えてきたが、未だ花も人も多く、その華やぎは続く。見上げれば、近所の山肌にも花の色が目立つようになり、日々それが山上を指して増していくのも確認できた。
温暖な麓から山桜の開花も始まり、順次高所へと進行している――。
実は、先週からその動きに気づき、山中の桜巨樹のことを思い出していた。先日行った北山のものではなく、ごく近くの樹のことで、このサイトでも何度か紹介したことがあるもの。
先日その場所を遠望すれば、まさに色づき始めたことがわかったので、満開となったと思われた今日、軽い運動がてら観に行ってみることにした。
上掲写真 麓から見える山中の桜。但し今回の桜とは別の場所である。思えば新緑も急速に山を覆い始めていた。遂に山にも春がきたのであった。

山に入り、誰もいない山道を進むこと暫しして目当ての山桜花覗く場所に

目論見通り、まさしく満開であった。但し、染井吉野のように改変していない山桜なので花の場所は非常に高く、一般的な花見には適さない

山桜の幹。急斜に在りながら、樹高数十メートル、重さ数十トンの巨体を、複雑・複数の根で巧みに支える。樹齢は2、300年程か。しかし、その幹の色艶は良く、若々しくみえた。今季も元気そうで何より

誰も来ない場所で、満開の桜を長く眺める贅沢な時を過ごし、更に奥へと進む。そして、折角なので、そのまま山頂まで進み、少し休んだ。これはそこから見た山科盆地と京都盆地、そして彼方の大阪方面である

山頂近くにも桜があり、彼方の山肌にも点々とそれが見えた。山の確かな春到来を見る思い

そして山頂を下り、京都市街が一望できる「送り火」の火床に。ここにも新緑の波が寄せ来る

火床横にもこの通り桜が
麓から1週遅れの満開か
その後、火床から更に山を下り、無事下山した。今日は気になる裏山桜の満開が見られて良かった。また、麓の満開宣言からちょうど1週間でそれに至ることが判ったのも有意義であった。

考古遺物発見とその後日談
以上で、めでたしと終ると思いきや、なんと下山途中に写真の様な考古遺物を発見。常滑系の中世焼締陶(b器・stoneware)の口縁部で、その下に埋まる内容物などの存在も窺えた。恐らくは戦国期の備前甕か何かか。
帰宅後、文化財保護課に連絡すると、「遺存状態のよい貴重な発見の可能性がある」との回答をもらい、後日調査が入ることになった。
こうして、ただ山桜を観に行っただけでも歴史遺物と遭遇する油断ならぬ裏山であることに、改めて驚かされたのであった。