2025年09月28日

改登探勝(上)

飛騨古川の白壁土蔵街と鯉泳ぐ瀬戸川
岐阜県北部山間の街・飛騨古川の白壁土蔵街と鯉泳ぐ水路「瀬戸川」

登山改め飛騨観光

テレビドラマやコーマシャルなどで有りがちな表題写真で恐縮だが、今朝、飛騨古川を訪れた。

今年7月末に続く飛騨行。その際「年に一回は」と、ここ数年決めていた一万尺(標高3000m前後)登山に適う、乗鞍剣ヶ峰(標高3026m)にも登頂したが、大半をバスで上る初級的道程だったため、満足感に乏しかった。

その為、以前から気になり、何時か登るつもりでいた北アルプスの名峰・笠ヶ岳(同2898m)に登らんと1泊2日の山行を計画。温泉目的の同行者の支援を受け今日早朝から登るつもりで前夜飛騨入りしたが、今晩からの悪天候が決定的となったため中止の判断をした。

今昼までは好天予報だったが、今晩から本降りとなり明日夕方まで続くことがほぼ確定。雨だけなら影響は下山時だけだが、風速が15m以上との予報もあり、標高2750mの吹き曝しでの天幕野営の困難と危険も考慮した。

残念無念。しかし、これも身の為・人の為で、致し方なし。

よって、今朝、今晩同行者が泊る予定の温泉宿に電話して同宿の許可をもらい、午後の入館まで近くを観光することにした。その最初に、古川の街を訪れたのである。実に数十年ぶりで感慨深い。


飛騨古川旧市街のメインストリート「壱之町」に並ぶ造酒屋や町家
飛騨古川旧市街のメインストリート「壱之町」に並ぶ造酒屋や町家。何れも積雪に備えた当地ならではの造り

古川旧市街

街歩きはお馴染み白壁土蔵街から始め、方々を巡る。写真を撮ったり、酒蔵で今晩用の冷酒を買ったり。

街は昔より垢ぬけたというか、古街保存が進んだ様子。人気に胡坐をかいて街並み崩壊を起こしている京都も見習うべきと改めて思わされた。


飛騨古川の壱之町と大横丁通の角にあった瀟洒かつユニークな洋館町家
古川の壱之町と大横丁通の角にあった洋館町家。声をかけられた向かいの案内所の人の話によると、元写真館等の建屋で、当地著名な料理旅館の創建とのこと。中々瀟洒で特色ある存在。そして、その残存に感心。一時京都に住んでいたという案内所の人と暫し話したが、今は人が少ないこの街でも時期により外人観光客が多く、一部のマナーの悪さが目につくらしい


神岡城(東町城)の模擬天守等の施設

夢のあと神岡と郷土館

古川旧市街を一巡し、その後、その東方奥の神岡の街に移動。奥黒部に行く際いつも通っていたが、観光目的で訪れるのは初めて。

正に奥飛騨の名に相応しい地区だが、鉱業が盛んな時代は古川や高山より発展し栄えたという。古川の案内所の人が語った子供時代のその眩しさが印象的であった。

今は閉山し鉄道も無くなったとはいえ、地区の中核であることには変わりなし。特に近年はノーベル賞関連施設により観光地としての側面も持つ。

今回我々は写真の神岡城を見学。戦国期の遺構上に戦後施設を建てたものだが、鉱山資料館と公開古民家等がセットになっており見応えがある。


神岡城天守屋上より眺めた神岡の街
地区(高原郷)の歴史資料館(郷土館)ともなっている神岡城天守屋上より眺めた神岡の街。高原川が貫流する山間の街であることがよくわかる。そして、その中は案内所の人の証言通り多くの商店・飲食店跡があった。天守等の施設は史料的裏付けのない所謂「模擬建築」だが、街のシンボルとしての存在に感心させられた。昭和中期にこれを企図した先人の慧眼や、実行した鉱業所の理解、そして維持改修に尽力する今の関係者各位に敬服。掘割等の縄張もほぼ古図通りであるらしいことにも好感をもった


神岡城前に建つ旧松葉家住宅
神岡城天守の門前に建つ。旧松葉家住宅。明治元年築の古民家で、近隣から移築された保存建築(県指定文化財)。地区の標準的な造りをもつ民家で、改装されておらず、随所に当地の特色がみられるという


旧松葉家住宅内部1階部分
旧松葉家住宅内部。1階部分で、板間を切り欠いた狭い玄関土間があるなどの特徴があった


旧松葉家住宅1階奥角部屋の客間
旧松葉家住宅1階奥角部屋の客間


旧松葉家住宅2階
旧松葉家住宅2階。中央は1階の吹き抜け部分となっているため、その周囲を巡る回廊状の部屋となっている。元蚕部屋らしく、今は古民具が展示されている


縄がらみが美麗で迫力ある旧松葉家住宅3階
旧松葉家住宅3階は、この通り白川郷の合掌造同様の屋上風情。梁や柱を留める「縄がらみ」工法の迫力や美麗さに感心。ここには比較的大型の古民具が展示されていた


山之村の観光牧場から見えた、里山越しの飛騨山脈(北アルプス)の高峰

奥黒部西麓・山之村

神岡の次は更に東の山之村へ。奥黒部西麓に当る地区で、正に飛騨の最果てとなる。標高は900m弱の高地であった。

写真は、そこの観光牧場から見えた里山越しの飛騨山脈(北アルプス)高峰。去年と一昨年に接近・通過した北ノ俣岳(中央最奥左の峰。別名上ノ岳。標高2662m)や赤木岳(同右の峰。標高2622m)である。

雲が多めだが、14時過ぎのこの段階では主稜線はまだ晴れているようであった。


山之村のジビエ食堂の限定・鮎飯定食
山之村に寄ったのはこの昼食が目的。7月去年も寄った食堂で、今回は限定の鮎飯定食を注文。地元産尽くしの逸品で、カレーや汁も確り熊や猪肉入りの特製ジビエ仕立てであった。美味かつ良心価格で有難い限り。土日限定の店なので、本来登山決行なら寄ることが出来なかった。これも縁か


山之村縁の峠近くの2本の湧水
山之村では先に昼食を摂ってから名産のトウモロコシを買うため牧場に寄ったが、既に売り切れたあとであった。まあ日曜で人も多かったのか、仕方なし。その後、宿へ向かうため来た時とは異なる峠道にて山之村を出た。そのなだらかさ、道の良さに往路の過酷さを改めて実感。途中、7月と同じく峠近くの路脇で湧水を汲む。山肌から出る水を導く2本の樋があるが、何故か左の水が甘いということが今回判明したためそちら側を頂いた


高原川を遡上する道沿いに見えた焼岳

奥飛騨温泉郷へ

山之村の高地を下り高原川沿いを遡る。前方谷奥にはこの様に北アルプスの活火山・焼岳(標高2455m)が見え隠れする。時は15時過ぎだが、既に山頂に雲が付いている。予報以上に天候悪化が早まったか。焼岳は長野・上高地側から見るのとは違い岐阜側の姿だが、山頂下の山肌から噴煙が上がっているのが見えた。間もなく到着する奥飛騨温泉郷の源的山である


栃尾温泉近くの蒲田川の澄んだ水
程なく笠ヶ岳麓の宿に入り、一先ず温泉に入り休んだ。今晩からの雨の所為か、客は少なく、浴場・露天風呂も独占状態であった。その後、折角なので付近を散策。写真はその際寄った蒲田川。高原川の上流部分で、笠ヶ岳の他、槍・穂高等の名立たる高山の水を集める川である。低気圧接近の所為か、古川や神岡より高所ながら程よい気候。熊注意の掲示があったので慎重に行動した


奥飛騨温泉民宿の美味しく豪華な夕食

意外かつ嬉しい接待で日終える

そして宿に戻り夕食に。宿で夕食とは久しぶりの体験。

民宿を名乗る今時珍しい良心価格の宿だったが、実際は古いながらも旅館に近い設備で、古民家を利用した食堂で写真のような地場料理尽くしの豪華かつ美味なる食事が頂けた。

意外かつ嬉しい接待に感謝。そして、これまた久々のお櫃ご飯にも感銘。その後、部屋で古川で買った冷酒等を楽しみ、一日を終えたのである。


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posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 紀行