2014年12月26日

師走観劇

京都・賀茂川(鴨川)にかかる四条大橋から見た、雲間の入り日を受ける歌舞伎の殿堂「南座」

何故やら南座へ

写真は、夕刻、四条大橋から賀茂川とその東岸を写したもの。冷たい師走の雲間から入り日を受けて佇むのは、彼(か)の歌舞伎の殿堂「南座」。

馴染みの景だが、以前から特に関りがない南座。しかし、今日は何故やらそれを注視し、またそこへ向かって歩く。


京都・賀茂川(鴨川)にかかる四条大橋から見た、南座屋根上の歌舞伎顔見世の看板
そして、南座の屋根を見れば、こんな文字


京都市街東部・祇園四条の南座の窓に貼られた、赤い歌舞伎顔見世興行の貼紙
また、窓を見ても、こんな文字が……


友人より急遽頂いた、京都市街東部・祇園四条の南座で行われる歌舞伎顔見世興行千穐楽の観覧券及び演目表

絶好の機会回り来る
「顔見世千穐楽券」拝領


遡ること今日昼前。久方ぶりに声を聞く友人から突如の電話があった。それは、今日夕方から身が空けられること、そして歌舞伎興行の観覧が可能かとの問合せであった。

なんでも、彼の知人である愛好の人が急遽参観不能になり、代りの人を探しているとのことであった。往古より人気の顔見世興行、そして元より歌舞伎を生の舞台で観たことがなかったので、忽ち気を寄せられる。しかも今日は顔見世最終日である千穐楽興行という、特別の日であった。

絶好の機会。幸い時間固定の用がなかった為、予定を変更し、代参を引き受けたのであった。「どうせなら興味ある人、為になる人に」と声をかけてくれた友よ、有難う!

写真は頂いた観覧券。本来はかなり高価なものらしい。楽しみにしていたにも拘らず行けなかった人の無念をしのびつつ、回り来た年の瀬の幸として有難く頂くこととした。


京都市街東部・祇園四条の南座正面を飾る師走・年の瀬の風物詩「招き看板」
南座正面を飾る、お馴染み「招き看板」。師走・年の瀬の風物詩として、報道などでよく観る光景。自身でも例年この時期よく見上げたものだが、一度も観劇したことはなかった

京都市街東部・祇園四条の南座前に用意された千穐楽を伝える看板と大提灯
千穐楽を伝える南座の看板と大提灯

観劇終了
歌舞伎の良さ奥深さを確認


さて、幾度かの休憩を挟んで4時間以上続いた顔見世千穐楽興行を無事観覧。見るもの聞くもの全てが新鮮で、実に感慨深かった。座席は中央前寄りの超優良席。貴重な観劇機会を、余すことなく堪能できたのであった。

芝居内容で特に印象に残ったのは、『仮名手本忠臣蔵 九段目』での、大御所坂田藤十郎と片岡秀太郎演じる年増女(ここでは中年の意)の競演。非常の状況にある、妻そして母(または義母)たる女の心の機微や仕草・艶の諸々が、本物の女性を凌ぐ見事な様で演じられた。

また、若手中村壱太郎の娘役も、親思う心や仕草が同じく本物を凌ぐが如くで良かった。歌舞伎特有のオーバーな演技の中にも、若い女の阿娜(あだ)たるをよく表現し、男性であることを完全に忘れさせる程の艶やかな出来であった。

その他、良く考えられた大小の道具類や、背景の演奏や音処理にも素晴らしいものがあった。そして、ハラハラと舞い落される紙片の雪等、随所に日本人の感性たるものの表現が感じられた。

正に総合芸術の極み。能とはまた違った歌舞伎の良さ、奥深さを確認することが出来たのである。

終演後、南座を後にして、まもなく帰宅。やがて切符を回してくれた友人が訪ねてきて、久々に一献。興奮冷めやらぬ歌舞伎の話で夜半まで盛り上がったのであった。

貴重で有意義な機会を頂いたK君と切符を譲ってくれた人に感謝!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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