2015年06月01日
雨前九州行後記
九州最終日
早、九州滞在最終日となった。帰りの飛行機は夕方の最終便なので、それまで、従兄弟にまた色々と案内してもらうことに。
先ずは宮崎県中央にある西都原へ向かう。国史跡にも指定されている大規模な古墳群を見学する為である。
上掲画像: 朝の門川湾。防波堤の向こうは日向灘、即ち太平洋である。朝の買い物のついでに。
西都原古墳群
車で出発し、1時間程にて古墳群に着いた。広大な段丘上の畑中に、無数の古墳が散らばっている不思議な場所である。今は辺鄙な観が強いが、往時たる古代には中心的区域だったのであろうか。
写真は、古墳群内にある考古博物館の別館である「古代生活体験館」。槍や勾玉作りが体験出来るということで来たが、残念ながら休館日であった。
木造で、細部の造りも良い、中々な建築。
真新しい、県立西都原考古博物館
これも斬新で良い建物。なんと入場無料。当然ながら、これも休館で入れず。
唯一無二の謎の古墳
施設は休みでも、遺構自体に休みはない筈と、気を直して古墳へ向かう。とはいえ、無数にあるので、気になるもの、主要なもののみ見学することに。
写真は、その平面図を見て非常に気になった存在となった「鬼の窟(おにのいわや)古墳」。円墳が周濠ではなく、土塁に囲われているという、全国無二の存在であった。
建造は、6世紀末から7世紀前半にかけて。被葬者等は一切不明の謎の古墳で、その名は地元の伝承からという。
また、それに関連して地元での崇拝対象だったともされる。
中心の円墳は2段式で、底部中央に羨道と玄室へ繋がる穴があり、内部が公開されている。恐らくは、後代の盗掘により開けられたものであろう
鬼の窟古墳の最大の特徴である外周土塁
人が出入りする通路があるが、コンクリ製の後年のもの。しかし、穴がなければ水が溜まって石室を損壊するのではないか、と思ったが、元より排水口を備えていて、その痕跡が発見されているとのこと。
そうとはいえ、実に不思議な形状で、その意図が読み難い。帰宅後、このことを知己に話せば、「阿蘇を模しているのではないか」との、興味深い想像を聞かされた。
不可解な男狭穂塚・女狭穂塚
鬼の窟の他には、男狭穂塚(おさほづか)と女狭穂塚(めさほづか)にも。
古墳群の中心的存在で、4世紀末から5世紀初頭頃の建造とされる。前者は全国最大の帆立貝形古墳、後者は九州最大の前方後円墳と、規模も大きい。
明治期に陵墓参考地とされ宮内庁管轄となった為、学術調査は行われていないという、秘められた存在でもある。
因って、その姿も、写真の如く柵越しに眺めるだけとなっている。
男狭穂塚と女狭穂塚を平面図で示した現地の案内板
この古墳にも大きな謎があった。それは、図の如く、男狭穂塚に女狭穂塚が干渉するように建造されていることである。
通常ではありえない、この有様。これに関しては、設計違いや態と破壊したとの諸説が古くから唱えられていたが、近年、非破壊のレーダー調査により、干渉している可能性が低いことが明らかになった。
しかし、やはりわざわざこの様に近接して建造するのは不可解である。前述の知己にこのことを話すと、「仲良くひっついているのではないか」との、面白い感想をもらった。
鰻に展示に、そして……
その他、幾つかの古墳を見学して古墳台地を下る。西都原の市街地にて、従兄弟お勧めの鰻の名店に入り、遅い昼食をとる。
既に昼営業が終了したところであったが幸運にも入ることが出来た。水がいいのか、炭火で焼いたそこの鰻は絶品の美味さ。値も、都会と比して安かった。
その後、更に南下して宮崎市内に移動する。案内されたのは、写真の「宮崎県総合博物館」。自然史に民俗や歴史展示と、実に幅広い内容。幸いにも開館日であった。ここも無料!
しかし来館が遅かった為、その充実した展示を全て堪能することは出来なかった。特に、館外の古民家展示を見逃したのは残念であった。仕方あるまい、また次の機会に……。
博物館を出て、空港まで送ってもらう。離陸までまだ時間があったが、従兄弟も帰りが遅くなるので、引き揚げてもらった。気をつけて、感謝!
空港で県産ビールなど味わいつつ時間待ちをし、そして定刻に離陸。さらば九州、また来る日まで。
写真は離陸直後の主翼下に見えた、宮崎南部の著名観光地「青島」(画像中央の島嶼)。
名残の宮崎か……。
19時過ぎなのであるが、日が長い為まだ空に明るさが残る。折しも南の空に満月も浮かぶ
やがて、日も暮れ、それと共に関西の街灯りが近づいてきた。そして、伊丹空港着。
そこから高速バスに乗り、22時前には無事帰宅出来たのであった。
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