
秋の特別公開へ
今日は日曜だが、生憎の雨。強からぬも止むこともない、冷たい雨だ。
そんな中、友人と文化財の特別公開に出かけた。本日が、先月末から10日間に渡って京都市街各所で行われたそれの、最終日だったからである。
幾つかの参観候補があったが、今回は久々の訪問であり、初公開の茶室が見られる竜安寺に絞り、見学することとした。
バスにて京都市街を横断する形で向かったが、途中、前便の故障にて運行取りやめの危機も発生。すぐの判断は避け、暫く様子見で運行再開を得、何とか到着した。
上掲写真: 枯山水は疎か、今や日本庭園の代表ともされる竜安寺方丈石庭。「虎の子渡し」の通称を持つも、作者や作庭意図は全くの不詳。ただ、古より聖俗の間で様々な想像を生じさせてきた。それは、その知名度と共に世界にも及ぶ。嘗てこれほどの謎を広げた庭があったであろうか。簡易故の難解、寺庭に於ける全くの非具象。この矛盾を以て、これからも世界を悩まし続けるに違いない。

竜安寺方丈裏(西横奥)の楓紅葉。雨天の薄暗さに光を灯すが如き鮮やかさ
お馴染みの石庭・方丈と初公開「藏六庵」観る
寺に入り、受付を済ませて建屋に上がる。チケットは通常公開の石庭等を含む良心的なものであった。陽が傾く前に、先ず庭等を見学し、その後、初公開の「藏六庵」を拝観した。
方丈のすぐ裏手ながら、寺内でも一際高い場所に造られた藏六庵。罹災により修改築を受けているが、茶室らしい簡素な造りの中にも、随所に粋な創意や工夫が見られる価値あるものであった。
ただ、撮影禁止で画像が掲載出来ないのことは、ご諒解を。メイン知財というか、ドル箱の石庭・方丈が撮影自由であったことを考えると少々不思議な対応であった。

竜安寺方丈裏庭にて赤い実をつける千両。下地の苔と共に雨に濡れる様もいい

竜安寺方丈東庭より覗く、古来著名の竜安寺垣

石庭背後の土塀を裏側(外側)より見る。独特の色味・風合いは、菜種油を混ぜるその造り方に因るといい、「油土塀」の名を持つ
参観終了。悪くない外出に
さて、藏六庵見学後、方丈を出て、雨の外庭を散策する。渋い土塀や様々な庭石・植栽を眺めながら、である。そして、寺を出て、またバスにて帰宅したのであった。
冷たい雨の中、しかも午後からの短時間行動であったが、悪くない外出となった。
秋の日の、雨の受けての庭巡り――。
これもまたよし。