
実験茶会開催
4月最終日の今日、初釜茶会を行う。
場所は拙宅。「初釜」というと、一般的には正月最初の茶会をいうのだが、今回は初開催の意で用いた。「今頃初釜?」と思われた御仁には、平にご容赦頂きたい。
とまれ、本来の初釜らしい、もう少し寒い時期での開催を目論んでいたのだが、中々都合がつかず、今日漸くの開催に。
気づけば、炉点前(畳下の炉を使う冬点前)の期限である立夏前日(5月4日)直前に。いやはや、恥ずかしくも滑り込みセーフとなったのであった。
さて、茶会といっても専用の設えがある訳でもなく、あくまでも簡易なもの。告知が遅れ、参加者が少なかったので、開き直って実験の場を兼ねることともした。
上掲写真: 仮の茶室とした居間の床の間飾り。「寧」の題の下、近代歌人土岐善麿(とき・ぜんまろ)の歌が書かれる。お点前さんの親類による書。香炉は京焼、花器は古い備前、お供えは京焼鉢に日向夏。

着物姿で茶を点てるお点前さんと、それを受ける正客役の人
命名「置縁点前」成功
拙宅には炉が切られていないので、畳上に炉縁(ろぶち)を置き、その中の電熱コンロに茶釜をかける方式とした。
丈の低い箱火鉢様の「置炉」の導入も考えたが、杓(しゃく)の扱いが高くなり、点前も見えないので、熟考の上、決定。ただ、それでも杓が高いので、木片による杓置を製作配置した。
結果として、特に不便を感じない設備に。実験成功である。これなら、色々な畳部屋に対応できるのであろう。茶釜の丈が低ければ、更にやりやすいかと思われた。
一応、「置縁点前(おきぶちてまえ)」とでも名付けるか……。
留意点は、コンロを極力丈の低いものとすること。但し径が小さいものは座りが悪くなり危険である。因みに、IHコンロは冷却音の為茶事には不向きで、小型カセットコンロはその中心と炉縁の中心が合わず、また小さな茶釜しか置けない。

春慶塗の盆と干菓子(お点前さん好み)
課題あるも楽しむ
さて、炉の設えは成功したが、準備や進行等に課題も。
今回は最も簡易な薄茶のみの接待としたが、それでも結構な準備が必要となり、また茶事を知らない客の誘導や待合の問題も露わとなった。
本来の主旨というか将来的な希望は、茶事の完璧さを目指すのではなく、交流の場であり、色んなことの発見の場としての自宅茶会の開催であった。
しかし、最低限の型は維持しなければ、茶事とする意味もなくなってしまうので、そこは工夫が要るところ。まあ、無理なく、有意義な形となるよう、今後も研究したいと思う。
とまれ、気候も良く、茶や菓子も味わい、楽しめた。お点前さん、半東(はんとう。手伝い)さん、そしてお客さん、有難う、お疲れ様でした!