
市中に俄の山見る
午後、所用があり京都市役所へ。
そして庁舎の中にある部署からの帰り、廊下の窓から面白い光景と出会った。
写真に見える、シート張りの小山である。市街の只中で、後方に並ぶ町家の2階の高さにまで達している。

市役所裏の広大な空地
山の周りは広大な空地、工事現場となっており、何やら作業が続けられている。
確かここは、以前市営駐車場だった筈……。

よく見れば、元は地中の構造体と思われる古い煉瓦壁の如きもあった。土砂をリレー運搬するらしきベルトコンベアや手作業で土と向き合う作業員の姿――。
どうやら、発掘調査中のようである。
市役所を含むこの一角は平安京の東傍であり、近世以降は洛中・寺町の寺院跡の筈。

発掘現場に姿を現した古い石組み
恵まれた?遺構調査地に期待
更に目を凝らすと、花崗岩による石組みも見られた。近世寺院のものらしき遺物である。
後で調べると、先月以前から行われている調査らしく、やはり近世ここに存在した妙満寺の遺構が出たとのこと。
そして、9月25日には、その本堂跡の柱穴の発見が発表されていた。
妙満寺は法華宗(日蓮宗)系寺院として中世に創建され、16世紀末の豊臣秀吉の京都大改造により、ここ寺町に移されたという。
条坊制1町(120m)四方程の大寺であったが、幾度かの火災や縮小を経て、昭和中期に岩倉へ転出したらしい。
これから調査が進むことで、謎多い豊臣大改造や寺町の成立・御土居堀
についての新たな発見が得られるかもしれない。

小山全景。中々の壮観
結局、最初に目についた小山は、この調査に伴い剥ぎ取られた表土であることが判明。普段は想いもつかないが、調査するにも土置き場が必要なのである。
広大なそれを確保出来た今回の調査地は、恵まれたものといえるのだろうか。
とまれ、今後の調査進展を期待したい。