2016年11月06日

東播金物行

曇り空ながら様々なイベントと融合し多くの人で賑わう、兵庫県・三木市役所一帯で行われた三木金物祭の一会場(勤労者体育センター)

図らずも、感興の金物祭へ

山会翌日の、今日日曜朝も少々慌ただしい。

朝から知人と出かける約束があり、その前に山会の片づけや家事、仕事用資料の処理等々をしなければならなかったからである。

結局昨夜も帰宅・就寝が遅くなったので、朝起き難かったが、何とか予定をこなし、約束の時間に間に合わせた。

その時間は朝9時15分。幸い自宅まで車で出迎えを受けたので時間を有効に使うことが出来た。そこから向かったのは、兵庫県南東部にある三木市であった。

今日そこで年に1度の金物祭が行われていたので、それを目的とした。三木は古くから鍛冶・金物の町。以前、左官関係の友人から、祭の話を聞いて興味を持ったが、先日偶然、知人の大工氏に誘われた為、図らずも参観することとなった。


上掲写真: 三木市役所一帯で行われた金物祭の一会場(勤労者体育センター)。生憎の曇り空となったが、様々なイベントと融合され、多くの人で賑わっていた。


兵庫県・三木市役所一帯で行われた三木金物祭の一会場、直売会第1会場の賑わい
三木金物展示・直売会第1会場の賑わい

地場産業展覧の機会活かした全市的催し

催事は市役所前広場を中心に幾つかの施設の内外で行われていた。

予想外に大きなイベントである。金物に限らず、食べ物・雑貨等の露店も多く、コンサート会場まであり、地元の人々を始め、多くの老若男女で繁盛していた。

地場産業とその展覧の機会を活かした、全市的な催しなのであろう。勿論、肝心の金物・工具類も充実しており、興味深くそして楽しく見回ることが出来た。


兵庫県・三木市で行われた三木金物祭の、直売会第1会場に出店していた金槌工房の店先
知人の大工氏お気に入りの、金槌工房のコーナー

一応、大工氏の買物に付き合う形で、鍛冶職人氏や関係者らの話も聞けた。意匠や技術等の内訳話もあって興味は尽きない。


兵庫県・三木市で行われた三木金物祭の、直売会第1会場の金槌工房製品の「玄能(げんのう)頭部」
大工氏お気に入りの玄能(げんのう)頭部

今風の造りではなく、あえて歪みや凹凸を残した仕上げだという。刻印が映え、慶長期の銀塊みたいで格好いい。残念ながら、注文品により既に買い手が決まっているという。

因みに、左側の艶ある金槌は今風の仕上げで、上部の包み紙入りは極上品。この玄能のような昔仕上げは修正が効かない為、これらの間くらいの価格になるという。ただ、実用は側面の平滑や表面処理が考慮された今風が勝るという。

大工氏、収集品として昔仕上げの小玄能を購入。腐食風の側面が表情を醸す、中々の逸品。


兵庫県・三木市で行われた三木金物祭の催事広場で実演された鋸刃の古式鍛鉄
露店での食事後、催事広場の端にて古式鍛鉄の実演が始まったので見学

鞴(ふいご)手や鍛え手が、それぞれの持ち場を引き受け、分業的に生産するらしい。


兵庫県・三木市の三木金物祭の催事広場で実演された鋸刃の古式鍛鉄における「鍛え」作業
鉄材に熱が回り、窯から引き出される度に、鍛えが行われる。

正に、熱いうちを逃さず鉄を打つ――。


兵庫県・三木市の三木金物祭の催事広場で実演された、鋸刃を数枚重ねて金槌で伸す、古式鍛鉄の「鍛え」作業
実演されていたのは鋸刃の鍛造。この様に数枚重ねて伸し鍛えられる


家の木製俎板の上に置いた、兵庫県三木市の三木金物祭で購入したデッドストックの鋼入り鉄製菜切包丁

試し買いの鋼包丁や如何?

素晴らしい手作りの鍛造品やその他の展示品の見学、そして露店での食事等を楽しみ会場をあとにした。高速のサービスエリアで休憩しつつ夕方無事帰着したが、その後、早速今日買った唯一の金物を確認した。

それは写真の菜切包丁で、一応鉄製鋼入りのものであった。別に高価なものではない。それどころか、無名工房製の既製品で中でも最安のものであった。

技術職を長くしていたこともあり、安物の虚しさ、危険性は熟知しているつもりである。しかし、この包丁は値段以上に物が良かったので、一か八か試してみることにしたのであった。


兵庫県三木市の三木金物祭で購入した、デッドストックの鋼入り鉄製菜切包丁の、手工品を想わせる細部
手工品の造りを想わせる試し買いの包丁

箱すらなく、新聞に包まれただけの状態を解いて早速試用。刃は鋼製らしく切れ味は頗る良い。口金や柄の造りも抜かりない。更に刀身をよく見るとハンマーでの鍛え跡も認められた。どうやら値に見合わぬ手作りの品のようである。

シール貼りなどから推測すると、恐らくは昭和中期頃から小工場で半ば手作りされていた製品で、店に新古品として残っていたのではないかと想われた。そうなると、今は当時の定価以上の価値があることに納得できる。

耐久性については使用を続けないと判らないが、一先ず賭けは吉と出たようである。まあ、包丁初心者には申し分ない品であることに間違いはあるまい。

とまれ、今日1日色々とお世話になった大工氏に感謝したい。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 紀行
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