2017年07月16日

宵山夕覧

京都・祇園祭の巡行前夜祭「宵山」の晩、「大船鉾」の会所で見た同鉾の懸装品「龍頭」と「大金幣」

3連休最中の宵山覗く

先日14日にも立ち寄った祇園祭。

その時は旧友との語らいが目的だったので、ほとんど観覧はせずに終った。その為、今夕の出かけついでに再度観覧することにした。

とはいえ、夜祭山場の「宵山」で、しかも3連休中。かなりの混雑が予想されたので、裏通の山鉾を軽く短時間見学とすることとした。


上掲写真: 先年150年ぶりの後祭復活を果たした「大船鉾」の懸装品、「龍頭」と「大金幣」。共に船形の鉾の舳先に1年交代で取り付けられる。大人の背丈を超す巨大なもので、龍頭は昨年、大金幣は江戸末期の文化10(1813)年の製造である。大船鉾は応仁の乱(15世紀)以前に起源をもつ鉾だが禁門の変(1864年)による大火で焼失して以来「休み山」となり、その伝統は風前の灯火であった。そんな絶望的状況から見事復活を果たした関係者皆さんの志と努力に敬意を表したい。ただ、白木の龍頭を見て解る通り、まだ未完箇所が多く、多大の支援が必要とされている。


参観者で埋め尽くされた、平成29年京都祇園祭「前祭」宵山の四条大路。左奥遠方に長刀鉾、右奥に月鉾が立つ
参観者で埋め尽くされた、平成29年京都祇園祭「前祭(さきまつり)」宵山の四条大路。左奥遠方に長刀鉾、右奥に月鉾が立つ

既に大路は人の川

17時半過ぎの明るい夕方とはいえ、さすがは宵山、既に多くの人で賑わっていた。先日とは異なり歩行者天国となっていた烏丸通(南北路)や四条通(東西路)等の大路は正に「人の川」と化しつつあった。

そんな状況を避け、小路を巡る。昼間かなりの雨が降った後であったが、気温は高く、また時折小雨さえあった。まあ、直射日光がないだけ有難い状況と言えるのかもしれないが……。


京都市街中心部の新町通(小路)を南下して大船鉾(前祭は懸装品展示のみ)の次に現れる、祇園祭の山鉾「船鉾」の勇壮な舳先
四条通から新町通(小路)を南下すると大船鉾(前祭は懸装品展示のみ)の次に現れる「船鉾」

元は大船鉾と兄弟?「船鉾」

北方の御池通から小路を南下したが、一方通行規制により後祭地区で山鉾のない新町通通過を強制される。四条通に出て漸く、大型鉾の「放下鉾(ほうかぼこ)」と出合った。

四条通より南は新町通にも山鉾が現れ、その最初が写真の「船鉾」。元は大船鉾と同じ名で呼ばれ、対を成す存在だったらしい。禁門の変の「どんどん焼け」では、車輪のみの損害だった為、比較的早期の復活が叶った。

船鉾は、その特異な形状で古くから人気があった鉾。舳先を見上げた姿も勇壮で、格好良い。搭乗も正に乗船的なので、巡行の際も気分が良いのではなかろうか。


京都市街中心部の新町通(小路)に置かれた祇園祭の山鉾で、「山」の名がつきながら珍しく屋根をもつ「岩戸山」
新町通沿い、船鉾の南にある岩戸山

例外的に立派な岩戸山

船鉾の次に現れたのは、上杉本「洛中洛外図屏風」(16世紀後半)にも描かれ、形状や神体配置に様々な変遷を経た岩戸山。「山」には簡易なものが多いが、屋根が付く、中々立派なものである。


京都市街中心部の油小路通にある太子山の会所に飾られた飛龍等の懸装品
太子山会所に飾られた懸装品。神棚前の4つの黄金造形は角金具の「飛龍」

祭の豪華と人の粋感じる太子山

新町通を高辻通まで下り、次は西方・油小路通から北上。そこでまた山鉾と出合い、その会所で展示中の懸装品類を参観した。山鉾の名は「太子山」。その名の通り、彼の聖徳太子を祀った山である。

写真には写っていないが、今年新調された越南刺繍胴掛(ベトナム製)が話題となっていた。旧来のものは18世紀の印度製で、更に地を金糸で埋め尽くしたもの。復元新調には1億円以上かかる為、技量が高く、費用が抑えられる越南発注で継承新調したという。

これも新しい壮麗追求の形。古今共に、山鉾の豪華さや町衆の粋を感じさせる話題である。


日暮れて提灯が点り、佳境を迎えようとする京都祇園祭宵山の鉾町
日暮れて佳境を迎えようとする宵山鉾町

良き催し、永遠に

その他にも多くの山鉾を巡ったが、暗くなり始め、また人も増えてきたので、祭り場を後にすることにした。

暑さや人ごみは辛いものがあるが、やはり趣や深みの詰まった良い催しである。それが長く続く理由でもあり、またそうしてもらいたいと思った。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 逍遥雑記
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