2017年11月21日

諸事再会

京都市勧業館「みやこめっせ」1階に設けられた「第37回日本盆栽大観展」の会場入口

盆栽展再び

今日は、平日で火曜という日であったが、午後から少し時間を空けて出かけることになった。行先は、京都市街東部にある展示会館「みやこめっせ」。まあ、比較的近所といえる場所である。

今日は毎年ここで開かれる「日本盆栽大観展」の最終日。入場券を頂いていたこともあり、参観を希望していたが、都合により結局この日での参観となった。

この盆栽展。以前は毎年のように参観していたが、数年前の罹災を期に足が遠のいていた。今回は、ふとした友人の好意をきっかけに、そのような状況を修正するが如き機会となったのである。


上掲写真: 京都市勧業館「みやこめっせ」1階に設けられた「日本盆栽大観展」の会場入口。写真は閉展近い参観後に撮ったので閑散としているように見えるが、平日とは思えぬ人出があった。今回目をひいたのは外国人の多さ。入場料は安くはないので、それだけ関心が寄せられているのか。


京都市勧業館「みやこめっせ」で行われた、第37回日本盆栽大観展会場で来場者向けの解説ツアー『盆栽鑑賞のススメ』を行う盆栽研究家の川崎仁美さんら
来場者向けの解説ツアー『盆栽鑑賞のススメ』を行う知己で盆栽研究家の川崎仁美さん。テレビにも出たりしているので大丈夫だと思うが、許可を取り忘れたので一応顔は伏せた(笑)。良く通る声が解り易く、心地よい

嬉しい名品鑑賞と催事参観
念願の解説ツアー参加も


後に回された仕事を考えると少々気が重いが、やはり名品の鑑賞、そして華やかなな催事への参観は嬉しいものがある。

早速、居並ぶ名品の数々を順々に鑑賞した。以前ここで会った馴染みの作品とも再会。盆栽は「生き物」なだけに、何か他の芸術品とは違う特別な感慨を得た。

以前、招待を受けていた盆栽研究家でこの展覧会に関わる川崎仁美さんにも久々に再会。積もる話は後にして、丁度これから始まるという、来場者向けの「盆栽解説ツアー」に参加することとした。

ツアーは毎年行われていたが、折あしく確り参加したことはなかったので、念願の機会ともなった。


京都市勧業館「みやこめっせ」で行われた、第37回日本盆栽大観展に展示された、樹齢約400年という五葉松の老樹「天帝の松」(内閣総理大臣賞)
会場正面に別格的に展示された老盆栽

ツアー最初の解説は今回の大観展における主役的な大作。「天帝の松」と名付けられた五葉松の「老大樹」である。大人数人がかりでも持ち運べるかどうかの大きさで、推定樹齢は400年程という。

当然、一般の樹木よりかは小さいが、枝ぶりや樹皮が放つ存在感は正に圧倒的である。ツアーでは、盆栽の価値を量るのに重視される、この老樹の凄みたるが解説された。なお、樹齢算出は経験値等による推定という。


京都市勧業館「みやこめっせ」で行われた、第37回日本盆栽大観展に展示された、「根ばり」の立派な、もみじの盆栽
「枝配り(枝配置・均衡)」「コケ順(枝先に至る自然な細さの表現)」「根ばり(八方に根を張らせ安定感を表現)」共々、力強いもみじ作品

天帝の松を離れ、次に解説されたのが、もみじの盆栽による「枝張り」「コケ順」「根ばり」の実例。何れも老樹大木の表現に重要な要素とのこと。盆栽を下から見上げ大樹の貫禄を感じるという鑑賞のコツも伝授。


京都市勧業館「みやこめっせ」で行われた、第37回日本盆栽大観展に展示された、劇的な迫力を持つ真柏(しんぱく)の盆栽

最後の解説は、劇的な迫力を持つ、こちらの真柏(しんぱく)盆栽。

幹が枯れて白骨的になった場所をシャリ(舎利)、その枝先をジン(神)と呼ぶらしい。それらを意図的に演出し、このように劇的で、そして逆説的に放たれるような生命感を得るという。

最近仕事関連で西洋の装飾様式を調べていることもあり、今回盆栽が劇的豊麗なバロック的でもあることに気付いた。ツアーでも「盆栽は侘寂(わびさび)のものではない」との解説を受けたが、個人的に得心出来た。

後程、川崎さんにそのことを言うと、同感らしく、朝会場の放送をバロック音楽にすらしているとのこと。まあ、その後ジャズに切り替えられてしまうらしいが(笑)。

そういえば、昔大陸西部の古寺等で、この様に似た老柏(コノテガシワ?)を見たが、正に生死乱れるような迫力があった。恐らくはそれら自然の様に影響されたものか。


京都市勧業館「みやこめっせ」で行われた「第37回日本盆栽大観展」に展示された、奥山の尾根筋で出会う樅の老樹・若樹の風情をもつ杜松の盆栽
今回個人的に気になった杜松作品。根本の苔の配置等も自然で、恰も奥山の尾根筋で出会う樅の老樹・若樹の風情である。恐らく作者は野山を良く知る人かと思われた。基本的に盆栽は自然の再現を目指すものらしいが、中には内より生じる生命感、個々の樹そのものの個性を重視する表現も見られた。他の芸術と同じく、盆栽にも様々な「道」があると気付かされた

一枚の好意に諸々の再会と学び叶う

ツアー終了後、川崎さんと暫し話す。やはり招待状等を発送してもらっていたらしいが、罹災転居の混乱で返送されたりしたという。通知の怠慢を詫び、改めて住所交換等を行った。彼女も丁度転居していたという。

その後、互いの近況や盆栽研究の話等をして会場を後にした。川崎さんも自身の道を邁進されているようで何よりである。今日は別の友が用意してくれた一枚のチケットのお蔭で諸々の再会と理解を深めることが出来た。

感謝!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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