2019年03月17日

雨日良展

京都市街東部のホホホ座浄土寺店のギャラリーで開かれた、サカネユキ写真展「そのほとりのけしき」の大型作品3点

雨、日曜の喫茶室
新聞の身体性思う


今日は日曜ながら、朝から生憎の雨。「午後にはあがる」との予報を裏付けるように、時折晴れ間も現れたが、その後また降るという繰り返し。

昼前に馴染みの喫茶室にて珈琲共々軽食を採り、暫し新聞閲読。自分では購読していないが、外で機会があればこうして念入りに読むことが多い。

昔、東京で勤めていた際、会社が購入していた新聞を毎日隅々まで読んでいたが、時に社長の入用と競合することがあった。その際は一応譲るのではあるが、社長も理解のある人で「若いのにエライ」とか言って、毎回さっと読み終えて、わざわざ席まで届けてくれるようになった。

随分昔のことだが、当時既に活字離れが問題視され、また元より理系の職場なので珍しく見えたのかもしれない。ただ工大出の社長の姿に、経営者たる者、理系であれど文事に親しむ必要があることを学ばせてもらった。

その社長には身に余る期待と厚遇を頂いたが、最終的に不義理となったことを思い出し、今更ながら心苦しく思われた。こんな昔のことに思いを至らせたもの、朝から重いこの天候の所為か……。

とまれ、新聞の1面から国際面辺りまでの、ほぼ全てに目を通す。今時ニュースを知るだけならネットで事足りるのではあるが、評や投書等もある新聞は、世の中の全体像やその流れが窺えるような気がする。手に取れる現物の内に、厳選された情報が緻密に収められるという、「身体性」のようなものが、そう感じさせるのか……。

さて、食事と新聞閲読のあと、喫茶室の姉さんと雑談を交わしながら勘定を終えると、近くの書店へ移動した。その店に付属するギャラリーで昨日から開かれていた友人サカネユキさんの写真展を参観するためであった。


上掲写真 京都市左京区で開催されていた個展の一景。かなり大きな作品で、中央のものは今回の看板的作品の一つ。手前に少し写る書籍は彼女の写真集の他、作品が表紙等に使われた著名作家の小説や随筆等々。なかには、昨年没した保守派の論客・西部邁(すすむ)氏の著作などもあった。


京都市街東部にあるホホホ座浄土寺店奥のギャラリーの入口

謎の書店に初入店

個展会場は京都市街東部の東山麓にある「ホホホ座」という書店。書店といっても、普通の本屋ではなく、独自に選定された書籍や雑貨等が並ぶ、所謂セレクトショップ的なユニークな店であった。そして、その壁面や併設ギャラリーで展示も行われるという、多彩な表現の場所でもあった。

実は開店当初からその存在を知っていたにも拘わらず、今日初めて入店した。何やら謎めいたその屋号が不気味に感じられ(失礼!)入店することが叶わなかったのである。今日不可避的にその戸を潜ったところ、商品や場所への拘りと愛情に溢れた実に気さくで良い店であった。もし私同様関心を持ちながら二の足を踏んでいる人があれば、どうかご安心を(笑)。

ただ、ギャラリーの場所はすぐに判らず、店員の姉さんに訊くこととなった。写真は、一見店内の行き止まりに見えるギャラリーの入口部分。


京都市街東部にあるホホホ座浄土寺店内のギャラリー入口の案内板
店員の姉さんの案内通り、店の突き当りへと進むと「こちら」との素朴な案内板があった


京都市街東部にあるホホホ座浄土寺店のギャラリースペースでのサカネユキ個展の様子
書店突き当り奥の入口は、何やら楽屋か納戸めいていて一瞬入り辛く感じたが、なんとその奥には、このように広く立派な展示空間があった。

写真表現の身体性を再認識
サカネユキ「そのほとりのけしき」展


週末在廊のサカネさんに案内状のお礼と個展開幕の祝意を告げる。サカネさんの個展は昨年末以来。あの時も、うちの近所の安楽寺での開催であった。今回は、活動再開第1弾である前回とは異なり、長期開催らしい。

前回は寺院というある種特異な環境であったが、今回は正に「ホワイトキューブ」的空間のため、作品自体の存在が際立つ展示と思われた。一見絵画的で静謐な画面だが、風景としての被写体が根源的に備える「力」の如きものを感じさせるスケールの大きな表現――。それ故、硬骨評論家や僧侶芥川賞作家等の著作表紙にも使われるのか……。

勿論、女性らしい繊細さも備えてはいるが、どこか性別を超越した豪快さというべきものを秘めているのがサカネ作品の本質的特徴といえようか。また、各種表現の境界が曖昧となっている昨今、写真で作品を作ることや作品と対面する必然性を感じさせてくれる作風でもあった。それは、写真表現の基本である(であった?)身体性の再認識であるとも感じられた。

今回の展示は、復帰第2弾の開催のため身心・時間共に余裕があったのか、そうした特徴を遺憾なく引き出せた場になったように思われた。

とまれ、今回も良い鑑賞の機会をもらえて有難い限り。


京都市街東部のホホホ座浄土寺店のギャラリーで開かれた、サカネユキ「そのほとりのけしき」展導入部
サカネユキ「そのほとりのけしき」展の導入部


京都市街東部のホホホ座浄土寺店のギャラリーで開かれた、サカネユキ写真展「そのほとりのけしき」の主催者サカネユキさんと写真大作
作品の大きさ比較のためサカネ女史にも協力してもらう(撮影・WEB紹介共、本人了解済)。


京都市街東部のホホホ座浄土寺店のギャラリーで開かれた、サカネユキ写真展の販売コーナー
ギャラリー入口近くの小部屋には作品縮小版の販売コーナーもあった。私も一枚購入

雨に降り籠められるも有意義に

サカネさんとは前回の個展以来の再会だったので、鑑賞後暫し語り合った。その後、一旦ギャラリーを出て改めて縮小作品を引き取りに行ったが、雨に降り籠められ次の外出先に出られなくなった。

しかし、2階の古書店とその店主氏を紹介してもらったり、訪れたサカネさんの友人らと楽しく交流するなどして有意義に過ごすことが出来た。

長々とお邪魔様でした。良い作品・良い機会に感謝!


サカネユキ写真展「そのほとりのけしき」

期間 2019/03/16 〜 2019/04/21(土日祝作家在廊予定)
時間 11:00〜19:00
料金 無料
場所 ホホホ座浄土寺店・1階奥ギャラリー

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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