2019年03月27日

湖北探雪山行

滋賀県西北の武奈ヶ嶽登山口から見た水の無い石田川ダムとその堰堤

湖西最後の雪山を求めて

先週まで2度続けた比良山地での雪山鍛錬も、雪解けに因り前回で終了。同山脈の最高峰・武奈ヶ岳(標高1214m)も気になったが、先週達した最高所とは100m強の高低差しかないので、もはや雪は少ないと断念した。

代りに、比較的身近な湖西地方最後の訓練地として福井県境にも近い湖北の山に行くこととした。ここは最高標高1000m未満ながら比良に勝る豪雪地帯の為、豊富な残雪が期待できた。果たしてその結果は……。

ただ、家から遠いので往復に時間がかかり、更に山地のため道路凍結等による通行困難が予想された。実際24日日曜に一度決行したが、途中の花折峠でまさかの吹雪に遭遇し、比良にも達せず撤収を余儀なくされていた。

因って気温・天候共に適した今日を代りとしたが、やはり山地の朝は気温が低い為、それを避け、遅い出発をせざるを得なかった。故に、現地の登山口着は10時過ぎとなった。


上掲写真 登山口傍の林道から見た石田川ダムとその堰堤。冬期という事情のためか、水はなく、方々で底が見えている。石田川は、山地一帯の雪解け水を集めて湖北今津を経て琵琶湖に注ぐ。


滋賀県西北山間の石田川ダム横の林道崖に付けられた登山口
石田川ダムから更に上流へと続く林道の崖に付けられた急な登山口

先ずは湖北武奈目指す

今日の目的地は、林道崖上部の稜線に続く峰々。先ずは赤岩山(標高740m)という峰に出て、そこから稜線を北上して武奈ヶ嶽(同865m)という峰に至る。武奈ヶ嶽以降は、時間的に可能であれば更に北方奥の三重嶽(さんじょうだけ。同973m)の登頂に挑む。

武奈ヶ嶽までなら麓から2.5km程のため時間的に問題はないが、その先の三重嶽はそこから更に5km程の奥地に在り、途中数百mの登り返し等もあるため困難が予想された。ただ、周囲の状況的にそこまで行かないとまともに雪が無いように思われた為、少々悩ましいところでもあった。

とまれ、出発。因みに、武奈ヶ嶽は比良山脈の「武奈ヶ岳」と同じ読みの別山。混同を避けるためか「湖北武奈ヶ嶽」とも呼ばれる。


滋賀県西北・赤岩山麓の登山口の炭焼窯跡
赤岩山登山口近くの炭焼窯跡

急な登山路を登ると、早速、炭焼窯と見られる石組みの遺構が現れた。登山路はハイカー用に無理やり付けられたのではなく、元は山仕事用だったとみられる。昔は谷底まで続いていて、その後ダムと林道が出来て傾斜が強くなったのかもしれない。

炭焼窯跡とみられる窪みは、その後もかなりの高所まで続いていた。


滋賀県西北・赤岩山麓の急斜の巻き道
見ての通り、山肌に雪はないが、乗っけからかなりの急斜で、落ちると危険な場所もあった。積雪の際はストックかピッケルが必携に思われた。


滋賀県西北・赤岩山登山道の地面毎直角に倒れる倒木
赤岩山登山道の倒木被害。写真を貼り間違えた訳ではなく、本当に地面ごと木が直角に倒れている

古い仕事道を利用した急な尾根の登山路を登るが、間もなく倒木の連続に行く手を阻まれるようになった。恐らくこれも昨年の台風21号の被害であろう。倒木を潜り、乗り越え、また迂回しつつ上を目指す。

これがひたすら続いて煩わしく、またコースアウトの原因ともなるので危険に感じられた。


残雪ある植林に囲まれた滋賀県西北・赤岩山山頂
植林に囲まれた残雪ある赤岩山山頂

やがて面倒な倒木の急登を登り切り、稜線上の赤岩山山頂に達した。残雪が現れたが、少なく、踏み抜きし難い圧雪のため、装備転換せずそのまま進む。


滋賀県西北・赤岩山道と高島トレイルとの合流部
赤岩山道と高島トレイルとの合流部

赤岩山から稜線を北上し、少々雪深い鞍部を越えると、道は中央分水嶺(日本海・太平洋の水系界)の縦走路「高島トレイル」と合流した。しかし、陽当たりの所為か、雪は全くない状態に。


滋賀県西北・武奈ヶ嶽南から見た赤岩山
既に春山的雰囲気の縦走路を高度を上げつつ北上。振り返ると先程通過した赤岩山が見えた。結構雪があるように見えるが、稜線は殆ど無し


雪解け進む滋賀県西北・武奈ヶ嶽山頂
武奈ヶ嶽山頂

そして武奈ヶ嶽着。麓から1時間半程か。標高が上った為さすがに雪が増えたが、それでも土の露出も多かった。

また、気温が高いため、暑さも感じた。ウールのインナーグローブ(下手袋)も全く不要である。


滋賀県西北・武奈ヶ嶽山頂から見た残雪ある三重嶽
武奈ヶ嶽山頂から北方の三重嶽(中央奥)を見る

武奈ヶ嶽山上からは北方の三重嶽が見えたが、やはりかなり遠方に感じられた。ただ、目論見通り、雪はここより多そうに感じられた。

雪上で昼食を摂りながら、暫し今後を思案する。


残雪が消えた滋賀県西北・武奈ヶ嶽北の縦走路

三重嶽へ

そして、13時過ぎに武奈ヶ嶽山頂を出発し、途中の鞍部に14時まで、三重嶽山頂に15時までに到達しなければ引き返す予定で先へ進むこととした。

北上するにつれ稜線の雪はまた消え、写真の如き灌木の道が続く。


標高約640mの滋賀県西北・武奈ヶ嶽北の縦走路鞍部
標高約640mの縦走路鞍部

武奈ヶ嶽から若干の登り降りを繰り返し、やがて標高812mの頂部から急下降が始まり、同640m程の鞍部に達した。時間は期限の14時に至らなかったため更に進むことに。

当然ながらここからまた登りが始まる。三重嶽山頂までの高度差約330m、距離約3kmを急ぐ。冬装備をほぼ完備してきたので荷が重く、そして暑い。


滋賀県西北・武奈ヶ嶽・三重嶽間鞍部の湿地
鞍部付近には高層湿地も。生では無理だが、無雪期には貴重な水場か


滋賀県西北・武奈ヶ嶽・三重嶽縦走路の細尾根
やがて両端が切れ込んだ細尾根も現れる。雪が有れば危険な箇所となる


滋賀県西北・三重嶽西手前の残雪ある広尾根
そして標高750mを越すと、雪を伴う広い稜線となった。やはりこの区域は雪が多いが、ワカンを出す程の質ではなかった。ただ、急な登りは滑ったのでチェーンスパイクの使用を考えたが、時間を惜しみ、キックステップ(蹴り込み)で乗り切る


残雪から地面がのぞく、滋賀県西北・三重嶽山頂
三重嶽山頂

広尾根を長く歩き、やがて三重嶽山頂に到着した。やはり、遠かった。時間は期限を過ぎた15時15分であったが、帰りは来た道を考えずに戻れるので、その分の時短効果を頼ることにした。

とはいえ、鞍部を登り返したあと、また未知で長い下山路を経るので、先を急ぐこととした。


三重嶽山頂に広がる残雪と遠く霞む湖西の山々
三重嶽山頂に広がる残雪と、遠く霞む湖西の山々

長躯してさすがに疲れたので、荷を置き、雪上で5分のみ休む。


滋賀県西北の武奈ヶ嶽・三重嶽縦走路鞍部から南の登り返しを見上げる
下山路手前に聳える縦走路の登り返し。この頂まで登り返さねば帰れない

日没意識し急ぎ下山

三重嶽山頂を出て雪原を下る。滑り易いが装備転換する時間を惜しみ進む。次の目標は下山分岐部に17時までに到達すること。

下山路も長く、未知の区間なので、日没の危険を考慮した時間配分であった。勿論、電灯や緊急泊の装備は持っていたが、暗くなるまでに下山することに越したことはない。

とまれ、来た道とはいえ、迷い易い雪の広尾根を注意して進み、やがて鞍部に到達。見上げた登り返しに少々気を重くしたが、致し方あるまい。


滋賀県西北・野坂山地のワサ谷上部に続くつづらの古車道
急斜の尾根に延々と続く、つづらの古車道

古道と謎の平坦地ある下山路ゆく

ひたすら広尾根の登り返しを進み、また雪ある頂に戻る。そして間もなく下山路分岐部に帰着した。時間は16時40分。急いだこともあり、設定した17時より早く着くことが出来た。

あとは下るだけなので、下山中に暗くなる危険性はかなり下がった。ただ、標識によるとここからワサ谷という石田川ダム湖畔まで3.8kmもあるので油断は禁物であった。

分岐で少し休み、やがて雪多い植林帯の尾根道を下る。雪が減り地表に現れた道はかなり確りとしたもので、歴史ある古道かと思われた。途中、作業場跡の様な平坦地も多く、急斜の道ながら至る所に人跡が感じられた。

そして、道は更に広がり、古の車道(くるまみち)の様相を呈した。間違いなく大きな資力・労力を投じて開かれた古道跡であり、やがてそれは尾根上の大きな平坦地に達した。明らかに人工的造成地であり、建屋の基壇跡のような高まりや、道の両側に設けられた土塁状の構築物もあった。

経験からすると、中世以前の山城や寺院の可能性が窺われたが、地政学的納得が得られなかった。ただ、この山域は標高の割に大変急峻で、人が通過出来る場所が極めて限られているので、間道的役割は考えられた。帰宅後、是非地元の遺跡図等の資料を確認してみたいと思った。

さて、山中の古車道は、やがてつづらの連続となり、その後、谷なかの林道に達した。林道も数度のつづらを成して下り、遂に湖畔林道に出ることが出来たのである。あとは止めていた車輌まで戻った。分岐からの時間は約1時間であった。

帰路の車行で風邪ひきかける

こうして無事暗くなる前に帰路に就くことが出来たが、上着を足すのが遅れ、汗冷え起こして風邪をひきかけたことは誤算であった。帰りの山地走行で日が暮れ、気温も下がった為である。車を用意することを面倒がり、二輪で来た所為でもあった。これも反省、学習である。

とまれ、こうして苦労して奥山に達し、目論見通り多くの雪と接したが、雪山鍛錬としては期待外れのものとなった。やはり、どこも季節は急速に進んでいる。これもまた反省・学習の業か。ただ、逆に中間期の暑さや汗の問題に対する経験や資料が得られたことは、収穫にもなった。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会
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