2019年12月29日

続東山壊乱

大文字山山頂からみた、京都東山の山々と山科盆地・京都盆地・大阪平野を埋め尽くす市街

関係機関への連絡後
年の瀬、再び山上へ


先日報告した、京都市街東部・大文字山南の安祥寺山に於ける林道造成による自然・歴史遺構破壊。

今日の午後、ひとっ走りして再び山上を訪れた。年の瀬でやるべきことが山積みの状態であったが、新たな破壊を止めるための未知遺構の撮影を優先させたのである。

実は、それに先行して市の文化財保護課と林野庁に連絡をしていた。

保護課からは、工事のことは把握しており、林野庁との打合せや現場立ち合いを経て、工事を進めてもらっているとの回答を得た。つまり保護課公認で破壊が進んでいるのである。

先日報告した通り、造成破壊は遺跡指定地内でも行われており、建屋跡のような重要遺跡以外は犠牲になっているようである。

一方、林野庁からはメールによる問合せの回答が一向になく、再度当地の価値の説明と乱暴な工事の中止を申し入れた途端に返答がきた。

偶々返信の時期と重なったのか、慌てて応答したのか知らないが、件の工事は保護課の指導・監督や各種法令の遵守、費用便益を勘案しつつ適切に行っているとの回答を得た。

両者一見ごもっともな言い分だが、やはり点と線的で、面的で多様的、そして深みある観点を欠いている。更に言うと、現地の環境や歴史に対する愛情が感じられないのである。

適切にやって、昭和に劣るこんな乱工事が罷り通るなら、もはや頼るもの無しの状態ではないか。

結果、今後の官林保全に対する危機感は更に高まったと言わざるを得ない。やはり我々現地末端が監視し、声をあげていくしかないのか……。

とまれ、役所には近々出向いて更に話を訊き、こちらからも説明・申し入れしたいと思う。


上掲写真 大文字山山頂(466m)からみた、京都東山の山々と山科盆地(左)・京都盆地(右)・大阪平野(中央奥)を埋め尽くす市街。都市化により平地上でほぼ消滅した古代・中世の「直の痕跡」が密かに、そして濃密に残る山中で、災害復旧の名の下に新たな破壊が進行している。


安祥寺山付近の林道掘削面で発見した土師器の欠片

古代物証発見!

そして、最近安祥寺山山中で発見した、公に報告されていない謎の大規模遺構の撮影前に、林道による破壊現場を再度確認。

すると、なんとその掘削面で遺物を発見した。写真の茶色い塊などの計5点で、手に取ったところ、轆轤成型された後期型(平安時代)の「土師器(はじき)」かと思われた。

場所は遺跡指定地ではなかったが、ここも自身の観察と研究により古代遺跡の可能性があることを示していた場所であった(先日保護課の要請により小論を提出)。正に「それ見たことか」の状況である。

詳しくは埋文研等での更なる調査を経ないと断定できないが、役所は既に正月休暇中なので、その終了後にでも早速報告したいと思った。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 調査・研究
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