2020年01月18日

雲取無雪

京都・雲取山山上の樹幹に残る、風雪の名残り

大寒直前なお雪なし
京都北郊雪状視察へ


月半ばの小正月も終り1月も後半に入ったが、京都市街では未だ雪を見ず。

年中で最も寒いとされる「大寒」直前の時期ながら、日中は10度を超える日が多い異状が続く。

本来なら、ここ数年来恒例の雪山鍛錬を北方近山で行うのであるが、遠望する北山の峰々にも雪がない。いつもは、それが少ない年でも山上には驚くほどの雪があるので、一先ず、様子見がてら出かけることにした。


上掲写真 京都北山(丹波山地)山上の樹幹に残る、風雪の名残り。京都盆地北の旧国界山地最高峰・雲取山(北峰の場合標高915m前後。旧丹波国、その後京北町を経て右京区)にて撮影。


1月なのに雪が全くない芹生峠
車行にて貴船経由で先ずは芹生峠(せりょう・せりう。標高約700m)に到達。本来ならこの時期は積雪のため峠以北は通常装備では進めないが、今年はこの通りで何の障害もなし。因みに去年の状況は次の通り2019年1月13日2019年1月23日


積雪のない1月の芹生峠の道脇にわずかにあった雪
芹生峠の道脇に見つけた僅かな雪。積雪が少なかった去年と比べても明らかな異状


1月にも拘わらず雪のない芹生集落
昨年は雪のため徒歩で進んだ峠北の道を難なく車行し、やがて芹生集落に到着したが、この通り。まるで4月か11月のようである


1月にも拘わらず雪のない芹生の林道奥
芹生集落から林道を進み、倒木で阻まれる奥地まで進んだが、この通り。昨年ならワカン(かんじき)を欲する程の雪深い場所であったが、僅かに倒木上に雪が残る程度であった


1月にもかかわらず雪のない、雲取山山上への経路、三ノ谷林道のゲート
雲取山山上への経路の一つ、三ノ谷の林道ゲート。いつもはここでワカンを装着するのであるが……


京都・雲取山の山頂へと続く三ノ谷の支流分岐部に薄っすら積る雪

雲取山山上へ

雪の無い林道を歩き、漸く雲取山山頂へと続く支流谷の分岐部で、薄っすら積る雪と遭遇した。

ただ、昨年の2019年2月17日には、写真奥にある倒木上に7、80cmもの積雪があったので、異状は歴然である。


1月にもかかわらず雪のない、京都・雲取山山頂に続く支流谷
林道から外れ支流谷を進むが、やはり谷なかにも雪はなかった


僅かに雪が載る、雲取山山上へと続く支流谷最高所の炭焼窯遺構
支流谷最後の炭焼窯遺構には僅かに雪があったが、圧倒的に少ないため、石積のその姿がよく観察できた


1月にもかかわらず積雪といえるものがない、雲取山山上下の支流谷
支流谷を更に進むが、積雪といえるものはない。雪崩に警戒しながら進んだ去年との違いを強く感じる


1月にもかかわらず積雪のない、京都・雲取山山頂直下の急傾斜
そして谷に水気がなくなり最後の急傾斜地となったが、ここも積雪はなし。ただ、全体的に地面がぬかるんでおり、滑って登り難かった


1月にもかかわらず積雪がなく、三角点の標石も露出した京都・雲取山山頂
滑り易い急斜を詰めて間もなく雲取山山頂に出たが、やはりこの通り。いつもは雪に埋もれがちな三角点の標石も露出している


1月にもかかわらず積雪が少ない、京都・雲取山山頂の北面
雲取山山頂からそのまま北峰へと進んで現れた雪面。最も雪深い山頂北裏辺りだが、それでも2、3cm程の量しかない


雲取山山頂北からみた、1月にもかかわらず殆ど雪のない雲取山北峰
雲取山山頂北から見えた雲取山北峰も、殆ど雪がないように思われた


1月にもかかわらず積雪のない京都・雲取山北峰
間もなく雲取山北峰山頂に到着したが、やはり少々の雪は見れど積雪はなし


1月にもかかわらず雪景色のない雲取山北峰からの眺め
北に開けた雲取山北峰からの眺め。本来は全山雪景色の筈だが、この通り。まあ無いものを嘆いても仕方ないので、これを見つつ食事休憩をとることとした。雪はなくとも山上は風が強く寒い。簡易計の値は-1度程であった


雲取山北峰から見えた、冠雪した比良山脈の武奈ヶ岳や蓬莱山
雲取山北峰から見えた滋賀県西部に連なる比良山脈(奥)。最高峰の武奈ヶ岳(1214m。左)と南部高所の蓬莱山(1172m。右)を中心に冠雪している。彼の地も今年は雪が少ないらしいが、例年2m近く積る場所なので、まだマシなのであろうか。北山(丹波高地)側は、府県境の途中峠(大原の最上流部)から北の山上に雪が見えた


霰吹雪により曇り始めた雲取山北峰からの眺め
雲取山北峰に到着して間もなく霰(あられ)が降り始め、景色も一気に曇り始めた。風に乗り吹雪くような具合である


雲取山北峰から見た、霰吹雪に霞む北山の峰
霰吹雪に霞む北山の峰


霰吹雪の後に急に晴れコントラストが高くなった、雲取山北峰から見た北山の眺め
しかし、天候が悪化したかと思えば、突如晴れて、俄にコントラストの高い眺めともなった


雲取山主峰頂部から南に下る二ノ谷登山路
雲取山主峰頂部から南に下る二ノ谷登山路(中央)

二ノ谷探索

雪はなくとも変わらず静かで落ち着いた雰囲気の雲取山北峰での食事後、雲取山主峰に戻り往路とは異なる、二ノ谷経由の下山路を採った。

車輌を止めた三ノ谷ゲート付近に然程無駄なく帰還できるルートであったが、自身では未踏であった。そこで雪が無いことを逆手にとり、倒木等の路状を探るべく、進むことにしたのである。


1月にもかかわらず雪のない、京都・雲取山山頂直下、二ノ谷側の森
ところが、晴れてきたこともあるが、南面する二ノ谷に入ったとたん、大変な温暖となった。稜線上ではまだ風が唸っているのが聞こえるが、僅かに下がったここは別世界であった。気温も一気にプラス数度と化す


京都・雲取山の二ノ谷上部を下り、間もなく現れた谷なかの水無し滝
二ノ谷上部を下り、間もなく現れた谷なかの崖。今は殆ど水が無いが、増水時は滝と化すことが想像された。そういえば、芹生峠下の沢も雪不足のためか水が少なく、去年見られた渓流魚の豊富な姿も見ることはなかった。暖冬は沢の生態系にも影響するかもしれない


春の雪解け時のような、京都・雲取山の二ノ谷ルート
春の雪解け時のような、雲取山二ノ谷ルート


京都・雲取山二ノ谷上部を下って現れた人口建造物
二ノ谷上部を更に下ると、やがて人口建造物が現れた


京都・雲取山二ノ谷にある、立命館大学ワンダーフォーゲル部の山小屋と付属施設
それは、立命館大学ワンダーフォーゲル部の山小屋であった

上部の青く四角い小屋はトイレらしく、一般にも開放されていたが、マナーが悪いので閉鎖も検討しているとの旨が大書されていた。

試しに覗くと、いきなり土足禁止の床に付けられた泥靴の跡が見られた。これでは怒るのも仕方ない。トイレは環境に配慮したバイオ式らしく、一般家屋同様にクッションフロアが貼られた美麗の内装であった。

その横には着脱面倒な登山靴に配慮してビニール袋も備えられていたが、それらの好意を含め、一切を無視した挑戦的な汚し様であった。同じハイカーとしては情けない限り、管理諸氏への同情頻りの心情であった。


立命館雲取小屋下流の二ノ谷沿いに残る炭焼窯の遺構

立命小屋下の合流部から、いよいよ二ノ谷本流に入り、水が豊富となった沢沿いを更に下る。

その途中、写真の如き石積の炭焼窯遺構に次々と遭遇した。恐らく、三ノ谷とは異なり、林道で破壊されていないため残存しているのであろう


京都・雲取山の二ノ谷を飾る、雑木と岩が織りなす庭園風情
二ノ谷には雑木と石灰岩らしき岩が織りなす庭園的眺めが続いていた。自動車林道が大規模造成される昭和後期以前の古き良き北山風情を残す場所に感じられ、大変好ましく思われた。立命小屋はこれを知ってこの地を選んだのか。今や稀有となった京郊谷での贅沢な環境を羨ましく思った


針葉植樹の大径木の並木に守られた、京都・雲取山二ノ谷の古道
あと、二ノ谷で気になったのは、この様に針葉大径木に守られた古道である。狭いながらもまるで街道並木のようであった。このような場所が方々にあり、沢際であっても残存していたので、道の流出を防ぐ施策とも思われた。樹齢換算によると明治以前からのものと見たが、如何であろうか


京都・雲取山の二ノ谷と三ノ谷の間にある林道崩壊部分

そして、意外の北山風情溢れる二ノ谷を出て、林道ある本流ルートと合した。その後はすぐに車輌に戻らず、本流上手の一ノ谷方面にある花脊集落への峠道分岐等を視察した。

写真は二ノ谷・三ノ谷間にある林道崩壊部分。水流により路盤が流され導水管が露出している。浅薄な人智を一蹴するような光景であった。


京都・雲取山の二ノ谷・三ノ谷間の林道脇にあった桂と思われる大木
同じく二ノ谷・三ノ谷間の林道脇にあった大木。桂の木か

近場の雪山鍛錬叶わず

その後、車輌に戻り、無事市街へと帰還した。

一応装備は持参したものの、この様に今日は雪山鍛錬は叶わなかった。残念だが、これも自然のこと故、致し方あるまい。

暫く様子を見、方策を検討したいと思う。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会
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