
新肺炎異状の賜物?
昨晩、寝る前に少々家を空け、近くの琵琶湖疏水分線に行ってみた。
所謂「哲学の道」の傍だが、夜なので人がいない。ところが、その暗がりを覗くと多くの蛍が飛び交っていた。元よりその姿を確認する為に出掛けたのだが、こんな夜中に、しかも例年数が少ない場所のため驚いた。
多いとはいえ、昔や田舎での盛大とは異なり、10匹程なのだが、市街のここでは十分多かった。試しに場所を変えても同様で、方々でその乱舞が見られた。時にそれは、腕を伸ばせば手に届くが如き状態であった。
殆ど期待していなかったため、その意外にも驚いたが、全く人がいないため、独占状態であった。まとまった雨もなく、気温も半袖では肌寒いくらい低くかったのに、一体どういう訳であろう。
哲学の道で、これほどの数の蛍を見たのは、90年代以来であった。当時は、毎年地元紙に写真が出て多くの人が訪れたものだが、今は昔で、近年では多くても各所数匹舞うくらいである。
思うに何時もと違う事といえば、今年は新型コロナの影響で春から観光客が激減したくらいであろうか。静かになって蛍も気を良くしているのか。
そういえば、街灯や自販機等は勿論、携帯電話やデジタルカメラの液晶に因り水辺が明るい影響も危惧されていたが、今日は明暗お構いなしの飛翔ぶりで、これまた意外な生態を見ることが出来た。
とまれ、意外の情趣を得る幸運に浴せたが、惜しむらくはカメラを持参しそびれたこと。因って、その様子は身の内に仕舞うのみとなったが、その代り、今晩改めて観賞することとなった。
写真は、その際のもので、水面上空を飛ぶ蛍。カメラを用意して臨んだとはいえ、簡易機のため大した画は撮れず、見ての通り、この写真も蛍の飛翔部を拡大しただけのものである。

「哲学の道」沿いを流れる疏水分線上を飛ぶ蛍。3匹いるが判るであろうか
今日は同行者がいた為さすがに早めの時間に行ったが、昨夜のような盛況は見られなかった。多い場所でも数匹程度で、これなら例年と同じ状況である。またその動きも異なり、舞うというよりただ飛ぶという感じであった。気候条件は前夜とほぼ同じであったが、如何なる理由に因るのか。
期待外れの蛍の数に比して多かったのが、見物客である。それでも、例年より少なかったが、蛍の数より多く行き交っていることには違いない。まあ、自分たちもその一員なので、偉そうなことは言えないが、やはりその喧噪に蛍もヘソを曲げてしまったのか……。

諸々の灯りに思う緊急事態
という訳で、近年稀な蛍の盛況に期待して出掛けたものの、意外の逆転に遭うこととなった。まあ、これも自然のことゆえ致し方あるまい。平年同様の状況とはなったが、久々にその初夏的雰囲気を味わうことは出来た。
写真は、帰路の樹間より見た、彼方の京都タワーの灯り(中央奥)。先月初めまで新肺炎治療に当たる医療関係者への労いを表し、青く灯されていたらしいが、今は見ての通り、平時の色合い(白)である。
そういえば、先月21日を以て感染急増阻止を目的とした緊急事態宣言が京都でも解除され、続く25日に残る地域も全て解除された。
しかし、その後、首都や北九州で感染者が増え、今月2日に感染再拡大への警報「東京アラート」が早々に出されることとなった。その時から、都庁とレインボーブリッジに赤い照明が灯されたという。
つまり、国としては未だ緊急事態が継続しているのである。それに加え、一連の混乱で生じた経済問題。これが、今後流感同様、またそれよりも大きく、深い困難と化すことは避けられまい。
はてさてどうしたものか……。
自身のことを含め、今後を案じずにはいられない。先ずは、全ての灯りが早く平常に戻り、健全な活気に満ちた社会が回復することを願いたい。
身の内に仕舞った、あの蛍の灯り、飛び様のように……。