2021年06月16日
菩提珍花
既に終盤の筈が……
一昨日(6月14日)、京都市街東部にある拙宅近所の真如堂(しんにょどう。真正極楽寺。同市左京区)の菩提樹の花が、見頃を迎えたという地元新聞社の報道に接した。
毎年恒例の「季節の便り」的な、さして変哲ない報道だったが、個人的に瞬時に違和感を感じた。丘上の真如堂辺りは、個人的によく行く散歩場であったが、実は、先週既にその花盛りを確認していたからである。
否、盛りというより、既に花が枯れ、実となり、樹下の砂利上には散った薄黄花弁の、堆積さえあった。その為、その際は「盛りを逃し、既に終盤になったか」と、残念ささえ感じていた。
何らかの理由で新聞社の報道が遅くなったのか、はたまた寺が知らせるのが遅れたのか……。
そんな訳で、今回の報道時機に違和感を感じたが、今日夕方、境内に寄ってみると、何と、まだ花があった。勿論、落ちたものや実と化したものも多かったが、まだ見られる姿のものも多かったのである。
同じ樹の中でも、場所や陽当たり等の条件により、成長に時差が生じるのであろうか。とまれ、開花の時期が短く、観察が難しいとされる菩提樹の花を、奇しくもまた観られることとなった。
上掲写真 本堂に掲げられた「真如堂」の扁額(理豊女王親筆。享保11(1726)年下賜)を背景に小さな花を鈴なりに咲かせる真如堂の菩提樹。コンパクトカメラにて撮影したが、夕方と曇天の光量不足や風に因り苦心。こんなに花が残っているなら一眼を持参すればよかった(苦笑)。
巨大な真如堂本堂前(享保2(1717年)再建)の砂利上に枝を広げる菩提樹
真如堂と各地の菩提樹
真如堂本堂前西南にある同寺名物の菩提樹は、樹齢250年程とされ、「左京区民誇りの木」にも指定されている。菩提樹については、樹の傍に手製の解説板があり、非常に解り易くまとめられている。
それによると、この樹を始め日本の菩提樹は、桑科の樹木である印度のそれとは異なり、唐土で見いだされ、12世紀頃に移入されたシナノキ科の樹木だという。
即ち、釈尊縁の印度の原種が東アジアで育たなかった為、葉が似たこの樹が代わりにされたとのこと。ただ、シューベルトの曲で有名な欧州の菩提樹(リンデンバウム)は、この樹に近いものという。
毎年6月半ばに芳香を伴う花を咲かせるといい、正に今がその時期なのだが、今年は季節の進みが早かったのでその影響があったのかもしれない。
真如堂の菩提樹の花や実。花は梅や蝋梅にも似るか。この様に少し向きから眺めると開花と同時に花の中で実が成長する様が良く観察出来る。即ち花が落ち玉状の実が残るのである。花は1cm程と小さく、高所に存在するため肉眼では観察し辛い。高画質画像の拡大や望遠レンズ使用を勧めたい
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