
美術館と博物館。思込みにより……
今日は先月末高山で負傷した膝のリハビリ兼ねて、なるべく長い距離を歩くべく、招待券をもらった京都市街で開催中の展示を見に出かけた。
今月初めの診断で最長6週登山禁止を言い渡されため山での鍛錬が出来ず、しかし身体が鈍るので、負担の少ない平地を出来るだけ長く歩こうと思ったのである。勿論、用を兼ねるようにして、それ自体に意義も持たせた。
場所は写真の京都市美術館。去年改装されてから今年6月に初めて訪れたが、今日は新装2回目の訪問となった。
ん?
平安神宮等も内包する京都市街東部・岡崎地区にある市美なら、拙宅から大した距離はないのではないか……。

なんと恥ずかしいことに、「遠くの目的地にゆく」という思い込みのため開催地を錯誤し、京都国立博物館へと向かってしまった。
気付いたのは1時間程歩いてそこへ到着した時。入口に全く内容が異なる展示案内が掲げられていたからである。仕方なくすぐさま引き返す。午後出かけたので閉館までの時間が更に減ってしまうからである。
写真は大通りを避けて国博へと向かう途中に遭遇した八坂通の人出。彼の東山山麓「八坂の塔」から伸びる、現代著名の観光小路である。
ここも新型肺炎騒動で長らく閑散としていたらしいが、感染減少により遊山客が戻り始めたようである。人を分け進む人力車車夫と土産物店主も、そのあまりの極端さに苦笑していた。

こちらは、市美へと急ぎ戻る途中に出遭った粟田神社は剣鉾祭礼の列。剣先の付いた長い鉾を立て氏子域を巡る、祇園祭の原形とされる古祭。明治期の七宝焼工房で著名な「並河靖之七宝記念館」前にて。まあ、ここまで来ると美術館まであと少し

近代建築を様々な観点で
「モダン建築の京都」展
そして、京都市美術館着。目当ての「モダン建築の京都」という展示は、「東山キューブ」という奥の新館で行われていた。勘違いに因る長い遠回りの所為で、かなり時間を費やしたが、なんとか観られそうであった。

展示はこの様な模型(昭和初期築の環境共生住宅の嚆矢「聴竹居」)や図面・写真等で京都に残る近代建築を紹介するもの

またそれらの建築に導入された、この様な家具・調度類(旧村井吉兵衛邸「長楽館」蔵)も展示。その時代の雰囲気や空間利用の実態も感じられる

こちらは明治期の京都三条通の建築群を再現した模型。数mに及ぶ長大なもので、個人的に特に興味深く思われた展示である

同じく明治期三条通模型の部分。中央の時計塔のある煉瓦洋館は現存する「家邊徳時計店」(明治23(1890年)築。時計台は非現存)。去年ここで営業中の婦人服店の姉さんに内部見学させてもらったこともあり興味深い

こちらは京都大学楽友会館。京都市街東部の京大敷地縁に大正14(1925)年に建てられたスパニッシュ・ミッション式建築。以前近くに住んで良く目にしたこともあり、気に入っていた建築。こうして模型化されると、改めてその全体像や各部の意匠、そしてそれらの均衡を感じることが出来た

建築模型にはこうした半割状の物も。内部を判り易くする為であろうが、上部のドーム内に何やら架台に乗る筒状の物が……。そう、京都最古の天文台で、昭和4(1929)年築の花山天文台の模型であった。これも小時より馴染みの建築(昔麓から森伝いに近くまで行ったことも)。望遠鏡下から地中深くに伸びる構造は「重力駆動型日周追尾装置」に関係するものか
無事閉館前に
以上紹介しきれないが、その他様々な京の近代建築紹介を観覧し終了。時は閉館30分前であった。窓外は既に暗くなっており色づき始めた庭木等の観覧は叶わなかったが、錯誤の遅延で押した目的は果たすことは出来た。