2021年11月21日

大展復活

盆栽研究家・川崎仁美さんより藤氏宛に届けられた日本盆栽大観展の案内透明封状

有難く嬉しい報せ

先日、嬉しい便りが届いた。

それは、盆栽研究家・川崎仁美さんから送られた、日本盆栽大観展の案内状とその招待券が収められた封状であった。

川崎さんからは以前より同様の案内を頂いていたが、去年は新型コロナ警戒で展示が中止されたため、必然案内も無かった。

どうやら今年は、コロナ禍小康の好機と重なったため、大観展も再開されたようである。実にめでたい限り。毎年楽しみにしていた催事なので、有難く、そして喜んで出掛けた。


上掲写真 盆栽研究家・川崎仁美さんより私宛に届けられた日本盆栽大観展の案内封状。透明封筒を使用し、中が見える粋な体裁となっている。切手は日本郵便の「天体シリーズ」という限定版特殊切手が手貼りされており、彼女のセンスや気遣いが窺われた。因みに今回貼られていたのは「海王星(部分)」というもの(同シリーズはシート内で絵柄が異なる)。


第41回日本盆栽大観展の会場・京都市勧業館「みやこめっせ」とその玄関口

第41回日本盆栽大観展参観

日本盆栽大観展は、中止の去年以外、例年京盆地東部・岡崎にある写真の京都市勧業館「みやこめっせ」で開かれているので、今回もそこに入る。


京都みやこめっせ第2展示室内で開かれる第41回日本盆栽大観展とその上席展示
そして、みやこめっせ1階の第2展示室内に大観展会場があった。今年で第41回目となる由緒ある催事である。因みに、ここは幾筋も並ぶ展示通路の一番入口側(左側・東)のもので、上位入賞作や貴重盆栽等が並んでいる


第41回日本盆栽大観展の最上位「内閣総理大臣賞」に選ばれた豪壮な盆栽作品
先程の通路ではないが、入口直近にある最上位ブースに展示された、内閣総理大臣賞受賞作品。例年豪壮な大作が占める最上席である


第41回日本盆栽大観展に展示される楓紅葉の盆栽作品
こちらは秋らしい楓紅葉(黄葉)。小さいながらも樹齢を重ねているので、大樹に劣らない風格がある。これも、盆栽鑑賞の醍醐味の一つ


第41回日本盆栽大観展に展示される樹齢400年の真柏の貴重盆栽
これは推定樹齢400年という真柏(シンパク。ミヤマビャクシン)の「貴重盆栽」。以前川崎さんに「下から見上げるように鑑賞すると樹齢相応の迫力を感じることが出来る」と教わったが、正にその通りの姿。なお、貴重盆栽は、芸術性の高さや樹形・樹種の学術価値の高さ、そして由来や伝承という歴史的貴重さを有す盆栽を日本盆栽協会が特に認定したものという


第41回日本盆栽大観展に展示される、作為を消し生命の凄みを表現した優品盆栽
人の作為を消し、如何に自然に見せるかという、これもまた盆栽の醍醐味を体現した優品盆栽

新しき動きと憂慮

実はこの盆栽の出展者名は漢字二文字で、住所は「中華人民共和国」となっている。今回特に目に付いた中国人出展者らの作品の一つであった。

経済成長により最近同国人の盆栽購入が増えているらしく、それを裏付ける動き。但し、その盆栽自体は日本人が育てた名品で、購入後もまだ日本で管理されているが、大陸に渡った場合の環境差等による衰弱や名品流出が懸念されているという。

これは、日本人の盆栽への感心低下や経済力の低下、そして盆栽文化保護政策の欠如とも関連するらしい。


第41回日本盆栽大観展に展示される、京焼の名手・宮永東山作の鶴

席飾りの副品に注目

今回は盆栽自体は元より、「席飾り」という展示形式故に添えられた置物等の副品にも注目した。写真は特に目を惹いた陶磁飾り。明治から昭和初期にかけて活躍した京焼の名手・宮永東山作の鶴である。

素晴らしい出来で、これを採用した出展者の良き感性も感じられた。下地に置かれた塗盆との組み合わせも素晴らしい。


第41回日本盆栽大観展に展示される、滋賀県の出展者による比良山と名付けられた水石
同じく目を惹いた副品の水石。滋賀県の出展者による同県西部の我が山会でもお馴染みの比良山の銘が付けられたもの。石種は失念したが、その特徴から京都賀茂川(鴨川)産の銘石・加茂川石と思われた。他県人ながら小時より比良を良く知る身としては、左の霊仙山から右の蓬莱山の高みに至る比良山地南部の山脈景とよく似ているように思われ、感心させられた


第41回日本盆栽大観展に展示される、狩野探幽作という水墨富士図
こちらの副品は何と江戸初期の障屏画の大家・狩野探幽作という水墨富士図。小品ながらかなり高価な表具と思れるが、盆栽の格に合わせる意気込みか。この他、絵画系副品には、同じく江戸初期の達者・久隅守景や、同後期の琳派画人・酒井抱一といった錚々たる面々の作品も見られた


みやこめっせでの盆栽大観展の鑑賞後、向かいの京都会館付近で見た数多の人出
みやこめっせでの盆栽展鑑賞後の午後、向かいの京都会館付近で見た数多の人出。日常が戻りつつあるのは喜ばしいが、一抹ならぬ不安も……

祝大観展復活、そして感謝

以上、とても全て紹介しきれないが、様々な良き盆栽や副品との出会いがあり、今回も有意義な観賞に終った。川崎さんには改めて感謝したい。

因みに、今回はコロナ禍の影響により例年行われていた彼女の盆栽鑑賞ツアーが中止されていた。一応その時間に合わせて行ったので、少々残念だったが、その分、いつもより沢山話すことが出来た。

関係者の方々共々、ご苦労が多く大変だったと思うが、一先ずは日本盆栽大観展の復活に祝意を表したい。そして、感謝!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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