2022年01月15日

花脊塗雪

出発地・花脊峠への帰り途中に天狗杉付近で見た風紋ある雪原越しの夕空や京都市街。2022年1月15日撮影

コロナ避け寒さ活用

皆さん存知の通り今年は寒い。

とはいえ、これが本来の冬の姿なのだが、またしてもコロナ再拡大が始まり、一層逼塞を強いられる状況となった。

因って、仕方なく、という訳ではないが、今週末もまた人との接触が少ない雪山へ向かうことになった。ただ、今回はそうした状況や積雪の増加を考慮し、最寄りの花脊(はなせ。京都市街北郊)を選んだ。

時間的には隣県滋賀西部の比良山地でも大差なかったが、逆に雪が多すぎて中途撤収の可能性が高かったため避けたのである。


上掲写真 出発地・花脊峠への帰り途中に天狗杉(山名。標高837m)付近で見た風紋ある雪原越しの夕空や京都市街。写真では判り辛いが、中央上部に、市街に浮かぶ船岡山や彼方の男山・天王山に生駒山等が見えている。ここは京都盆地北縁の山上・尾根。言わば京都の屋根・梁であった。


雪に塗れ-2度の低温が表示される花脊峠。2022年1月15日朝9時台撮影
出発は彼の鞍馬最奥の花脊峠から。京都市街に近いながらも標高759mという近畿有数の高さを誇るだけあり、麓は雪が無いのに、この姿。市街から10数kmしか離れていないのに既に北国風情である。ただ、今日は比較的気温が高めで、本来は-7度程を覚悟していたが、同2度の穏やかさ?であった


花脊峠横の植林地から旧花脊峠に続く雪の登山ルート。2022年1月15日撮影
北山杉の植林地内に続く花脊峠横の登山路と先行者の踏み跡

雪の尾根踏み北方奥地へ

細く険しい峠道を冬タイヤ装備の友人車輌で恐々と登坂して峠に着いたが、そこからワカン(輪かんじき)等の雪道装備を身に着け徒歩行を開始した。目指すは尾根伝いの北方奥地。途中から未踏の場所となるため楽しみであった


花脊峠横の雪の広尾根から見た天狗杉山頂。2022年1月15日撮影
花脊峠横の広尾根から見た天狗杉山頂。山道に入ってすぐ雪が深くなり、しかも先日まで降っていた雪が融けていなかった為ほぼ新雪状態だったが、先行者がいたお蔭で比較的楽に進むことが出来た。標高はすぐに800mを超えたが、寒からず暑からずの良い塩梅。ただ、見ての通り天気が冴えない。午後から晴れ予報だったので、荒天にはならぬとは思うが……


天狗杉付近の広尾根樹間から見えた、白く雪を戴く比良山脈主峰・武奈ヶ岳。2022年1月15日撮影
天狗杉付近の樹間からは今日の候補地であった比良山脈の主峰・武奈ヶ岳(標高1214m)も見えた。付近屈指の多雪地、ここでこの雪量なら苦労すること必定か


厚く雪積る京都北山・天狗杉の山頂。2022年1月15日撮影
また登坂して、間もなく天狗杉山頂着。若い雑木林が広がるなだらかな場所。その名の通り、かつて天狗が宿りそうな大杉があり、その樹共々一帯が焼亡したのか……。由来を存知の人があれば、是非ご教示願いたい


雪に塗れる旧花脊峠の祠と大杉。2022年1月15日撮影
天狗杉山頂を過ぎてまた下り、やがて旧花脊峠(標高750m強)に到着。南の鞍馬山方面へと下る先行者の足跡とはここでお別れ。恐らくは、バスで花脊峠に入り、鞍馬駅から市街に帰還するのであろう。そういえば、峠の祠の覆いが新調もしくは修繕されている。打ち捨てられるものが多いなか、大事にされて何より


京都北山の花脊峠西の尾根上に続く半間程の窪み状の古道。2022年1月15日撮影
尾根上に続く半間程の窪み状の古道

尾根上に続く古道と新林道

旧花脊峠からは、祠裏の尾根上に続く半間程の窪み状の古道を進む。西にある高地集落「芹生(せりょう・せりう)」に向かう旧路と思われるもので、以前も紹介したが、我々はその途中から北に振る主尾根を進む。


旧花脊峠から北西に続く尾根上古道の新雪に沈むワカン履きの足。2022年1月15日撮影
旧峠からの旧路は当然ながら踏み跡がなく、深い新雪を進む重い足取りとなった。この通り、ワカンを履いていないかのように、しばしば足が沈む。場所により、その積雪は60cm以上か


京都北山の寺山付近の尾根の雑木林に続く雪に埋もれた林道とスノーシューハイカーの跡。2022年1月15日撮影
旧路は、やがて尾根下を巻いて併走していた林道と合した。近年造られた地図にない道で、尾根の頂を巻きつつ、またはそれを踏みつつ目的地方向の北へと続く。勿論、林道が避けた場所は古道が続いていたが、雪の深さと先の長さを考え、今日は労力が少ない林道を進むことにした。写真は広くなった尾根上の雑木林に続く雪に埋もれた林道と先行者の踏み跡。先行者は独りらしく、一応スノシュ―を履いていたが、その足労が偲ばれた


雪に埋もれる京都北山の寺山山頂。2022年1月15日撮影
山上の林道を進み、広尾根の雑木林の中に逸れて寺山の山頂(標高862m)に至った。頂といっても見ての通りの平坦で、その中で微高地を見つけ、樹に貼られたテープの書き込みを確認し、確定した。登山アプリのみを使う友人は、画面上の山頂とのズレを指摘するが、GPSの誤差範囲であろう。因みに寺山は花脊峠を越えた北にある別所集落の西にある山で、つまり、我々は集落西の稜線を北に向かって進んでいる形となる


雪に埋もれる京都北山の寺山峠。2022年1月15日撮影
寺山山頂からまた林道に戻って北上を再開し、やがて寺山峠(標高約807m)に到着。別所と西方、即ち雲取山塊や芹生集落を結ぶ道との交点である。先行者の足跡は我々の予定と同じく峠の更に北へと続いていた。しかし、思えば出発地から大して高低差がない楽な道程にもかかわらず、雪に足がとられ、思った以上の時間と労力を消費している


寺山峠北の林道上に開けた場所から見た花脊峠や天狗杉・寺山の山並みと麓の別所集落等。2022年1月15日撮影
寺山峠北の林道上に開けた場所から見た、来し方。奥の稜線の左低部が出発地の花脊峠、その右の高所が天狗杉である。我々は、それや右のなだらかな寺山の上を進んでここまで来た。時間は昼過ぎ。出発が遅れたので仕方ないが、4kmの距離に3時間もかかっている。今日の目的地はこの先の地蔵杉山(標高899m)だが、果たして行けるや否や……


京都北山の寺山峠から地蔵杉山方面に続く雪の林道。2022年1月15日撮影
京都北山の寺山峠から地蔵杉山方面に続く雪の林道

踏み跡なきラッセルに

同じく地蔵杉山に向かうとみた先行者は開けた場所で引き返し、そこから先は踏み跡の無い所謂「ノートレース」となった。

即ち、ラッセル(深雪作路移動)である。友人は浮力に勝るスノーシューを履いていたが、体力や時間を考慮し私が先行して進んだ。

変わらず林道が利用できたが、道が西へ振り始め日陰となったので、新雪の深さや沈みこみが増す。先行者の有難みを想ったのは言うまでもない。


京都北山の地蔵杉山山頂直下の雪深い樹林の急登。2022年1月15日撮影
地蔵杉山山頂直下の雪深い樹林の急斜

その後、林道が雪崩で埋まった区間等を慎重に、そして素早く過ぎ、地蔵杉山の北東背後に至る。

林道はその手前で突如途絶していたが、地図を読み道なき樹林をラッセルで巻いて山頂直下に取りついた。そこからは益々新雪が増し、急登と倒木にも難儀したが、貴重な近場の深雪を楽しみつつ進んだ。


雪に埋もれた京都北山の地蔵杉山山頂。2022年1月15日撮影
雪の急登を進み、間もなく地蔵杉山山頂に到着。見ての通り、見通しは全くなく、ただ樹に小さなテープ貼りがあるのみの山頂であった。本来はここで食事休息をとりたかったが、寒く、場所も狭い為、少し下った他所を探ることにした


雪に埋もれた京都北山の雲取山後峰の山頂。2022年1月15日撮影

雲取峠より帰路に

地蔵杉山からは友人の希望で更に西方の雲取峠(標高約877m)経由で雲取一ノ谷に下り、その途中から寺山峠に上って元来た道を帰還するルートを採ることにした。

写真は雲取峠手前で通過した雲取山塊900m超4峰の内、最北にある雲取山後峰(個人的呼称)の頂。ここから先は来たことがあるが、それまでは読図による進路判断が必要な場所であった。

紛らわしい尾根が多いので、慣れない人は遭難注意。


雲取山後峰辺りから見た地蔵杉山。2022年1月15日撮影
雲取山後峰辺りから見た地蔵杉山。梢と雪で見難いが、以前雲取山北峰から見た姿はこの通り。右手前の尖った山がそれである。


雪に埋もれた京都北山の雲取峠。2022年1月15日撮影
そして、雲取山後峰を下るとすぐに雲取峠に着いた。今日の山行で最遠・最後の目的地。遅くなったが風も穏やかなここで漸く昼食に。ただ、雪が深くマット敷でも沈むので立ったままの休息となった。最近新古購入した機器の試用を兼ねて湯を沸かしカップ麺を食べる。普段食べぬものだが、冷えた奥山では有難い熱源(カロリー)・温源(手先等の温め)となった


雪に埋もれた京都北山の雲取山山中の一ノ谷。2022年1月15日撮影
雪の雲取一ノ谷。雲取峠からは、所々沢水で地面が露出するという、また違った歩き辛さが加わる一ノ谷に下り、その中途からまた寺山峠に上った


京都北山・天狗杉山頂近くの雪の雑木林から見えた夕陽。2022年1月15日撮影
帰路の天狗杉山頂手前(西)で現れた雪原彼方の夕陽

日没の危機

寺山峠からはまた元来た道を戻る。全体的に下りだったことと、我々他の踏み跡により往路より速く進むことが出来た。

ただ、時間的に日没は避けられぬと判断し、先にヘッドライトを用意することにしたが、友人の不携帯が判明。ただでさえ眼が悪いのに、これでは準遭難判定である。雪の有る無し、季節気候の如何にかかわらず、忘れず照明を持参するよう。

因って、旧花脊峠から迂遠ながら夜目が利く車道に出ることも考えたが、なんとか間に合いそうになったので、往路と同じく天狗杉経由で花脊峠まで戻ることにした。


日没後急速に暗くなった、気温-2度標示のある雪の花脊峠。2022年1月15日撮影
日没後急速に暗くなった、-2度標示のある花脊峠

終了。多量の新雪に満足

そして、目論見通り、暗くなる前になんとか出発地の花脊峠に戻れたのであった。峠の温度計は朝と同じく-2度。昼間はもう少し上ったであろうが、著しく雪を融かす程ではなかったようである。

その後、朝よりかなり氷雪の減った峠道を車輌にて下り、京都市街へ帰還した。今日は思いのほか時間がかかったが、十分過ぎる量の新雪行を味わえて良かった。お疲れ様でした、諸々の人よ自然よ、有難う!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会
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