2022年02月05日
立春雪行
新年初の貴船奥
オミクロン・コロナの大流行が続き逼塞を強いられるが、運動がてら、また鍛錬がてらまた近場の雪山へ向かう。
良からぬ世情が続くが、今年は寒さのお蔭で雪だけは豊富。まあ、本来これが普通なのであろうが、寒くもなく雪もない近年の冬とは異なる、個人的幸運であった。
向かったのは貴船奥の芹生(せりょう・せりう)雲取山群(最高標高920m弱)。昨年12月19日にそこで今季初の雪歩きをしたが、その後、雪の多さで、麓の貴船にすら車輌進入が叶わぬままでいた。因って、今日は気になっていた「ホーム雪山」への本年初の再訪となった。
しかし、先月下旬の大寒夜から明朝にかけての大雪以降は市街にほぼ降雪は無く、ここ数日比較的温暖な日も続いたので、車行でかなり接近可能と思いきや、何と残雪により峠下かなり手前で進出不能となってしまった。
恐るべし、京都北山。自宅から直線僅か10数キロしかないにもかかわらず、これ程世界が変わるとは……。
写真は峠への道。府道なので一応除雪されているが、見ての通りの雪国景。傾斜もかなり急なので、もはやスタッドレスタイヤでも走行は難しいかと思われた。
事実、途中1台車が通過したが、程なく慎重に後退りしつつ下ってきた。その上方にはやはりスタックした跡があり、登坂不能となったようである。
とまれ、そんな訳で、結局また、山にとりつく彼方から、ひたすら雪の車道を歩き、山へ向かうこととなった(笑)。
滑り易き府道・雪深い林道延々と
転倒に気を付けつつ雪と氷の急坂を登り芹生峠(標高約700m)に至ると、写真の通り更に雪が深くなった。我が京都市左京区と同右京区の境、または古の山城・丹波国の国界だが、同じ京都市内とは思えぬ光景であった。
芹生峠からも、同じく圧雪と新雪混ざる雪道を慎重に北へ下り、やがて芹生集落(標高約620m)に。ここもまた屋根上に50cm程雪が載る状況で、そして少々吹雪いてきた。上空の寒気の所為か、気温は-5度程。まだ雲取山の麓とはいえ、標高の高さと付近を覆う雪によりかなりの寒さを感じたのであった
芹生集落奥から林道を進むと、すぐに20cm以上の積雪に見舞われ歩き辛くなった。ワカン(輪かんじき)が欲しいところだが、我慢して進む。踏み跡は古いものが薄く残るのみで、ここ数日以上通行は無いように思われた
山頂下谷での装備訓練
そして、更に雪が深くなる三ノ谷手前にてワカンを装着し、三ノ谷林道を北上して雲取山頂直下の谷下に至る。漸く、登山口到達である。ここまで延々2時間近くかかった。
更に、早速写真の様な倒木とその上の厚い雪に阻まれ、先ずはその雪をかき落とすことから始める必要もあった。
雪を分け三ノ谷横の支流谷に入ると、今度はワカンを外してアイゼン(靴底氷雪爪)に、ストック(山杖)をピッケル(斧頭雪杖)に換えた。この様に雪深い谷の急斜面を巻き進むための装備で、訓練を兼ねたのである。気温はまた1段下がって-7度程となった。時折強い風が吹きおろし、寒い
強い風で雪が舞う京都北山・雲取山山頂
上空の寒気と山頂
谷を詰めるにつれ、雪と傾斜が増し、動き難くなった。鍛錬のためワカンを外し、また三ノ谷以降は雪質が新雪化したこともあり、「1歩進んで半歩滑り落ちる」といった、苦行めいた歩みの末、漸く雲取山山頂に至った。
谷なかで想像出来たように、頂は強い風があり、時折雪も吹き付けた。気温も更に-9度程まで低下。今週末に南下した寒気は上空1500m付近で-9度との情報を報道で得ていたが、正にその通りの寒さであった。
昼時を過ぎていたが、寒風に因り休息出来ないため、更に北の雲取北峰まで進むことにした。その途中の広尾根では、この通りの雪深さが見られた
そして比較的緩い起伏を進み、間もなく行きつけの休息場で、好みの頂の雲取北峰に到達
ここで遠くまで広がる雪景色を見つつ、今日最初で最後の休息・昼食をとった。時折、吹雪が襲うが、先程よりマシで、更に頂を少し下った場所に退避して寛いだ。
しかし寒い――。
器具の試験がてら調理して温かいものを食したが、その効果は待ち時間の冷えを解消出来るものではなかった。まあ、横着して上着を出さず、中着(撥水防風)と下着の二枚のみでいたので、仕方ないともえいるが……。
天候が回復し陽が射し始めるも、朝同様の積雪を保つ芹生集落
疫期究極の活動終了!
雲取北峰からは、また元来た道を辿り、高度を下げる。下りはワカンとストックのままで装備転換せず、瞬く間に林道まで下ることが出来た。
独り身に不安を煽る吹雪の音は止み、温度も上がって、弛緩と静寂の世界に変わったが、貴船近くまでの延々たる車道歩きが残っていた。まあ、それも仕方なし。その分、他人のいない静けさが得られるか……。
そして、芹生集落まで戻ると、陽が照り始めた。ただそれは、雪を融かす程のものではなく、朝と変わらぬ路上の難儀が待っていた。
その後、峠を越え、漸く出発点に戻ったが、やはり路面状況は変わらず。午後の融解を当てにして奥へ進まなくて良かった。帰りは急な下りとなるため、更にスリップや転倒等の危険が増すからである。
結局、最初に引き返してきた車以外、今日一日、山で人と遇わなかった。正に、感染力の強いオミクロン・コロナ流行期における、究極の「非接触アクティビティ(保健活動)」といえまいか(笑)。
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