
寺門の怪?
寺社の参道らしき石段を塞ぐ巨大な「こけし」。昨今常識の合成画像ではなく、正にその場に実在するものであった。
長さ13mもあるという、このこけし。実は清水寺門横に設置された「花子」という名のアートオブジェであった。
同寺他で開催されていた「ARTISTS’FAIR KYOTO 2022」という芸術祭展示の一部で、アートユニット「Yotta(ヨタ)」の作品という。2011年の作品だが、今回はこの催事の為に、こうしてここに展示されているらしい。
私はこの催事について知らなかった(同時期・同地域開催の「東山花灯路(今回で廃止)」は知っていた)が、偶然床屋で見たテレビ中継で強烈な印象を受け、今夕、その実在と状況を確かめに来たのであった。

観光客や修学旅行生お馴染みの、清水寺玄関「仁王門」横を塞ぐ「花子」
中継の際にも参拝客の驚きや関心が紹介されていたが、実際に訪れた現場でも多くの人だかりが出来ていた。著名寺院の玄関口とあってその注目度は凄まじく、その後写真の位置から花子の姿が見えなくなる程であった。
参道の一部を通せんぼするこの光景。あまりに強烈すぎ、最初に見た時は「インバウンド(外国人訪日流行)で十分儲かったから、またはコロナだから、観光客はもう来るな」という、寺の意思かと思った(笑)。
また、「著名寺院門横の横倒し巨大こけし」という現実を疑うような設置のため、その場景自体が大変奇妙に感じられた。更に、この花子は数十秒毎に小さな男の子の声を発していたが、それもまた不気味さを加えた。
これぞ、まさに正銘の現代アートか――。
そのジャンルについてはあまり詳しくないが、皆を巻き込み感情や常識を様々に揺さぶるスケールの大きさに感心した。

花子の脚裏。合板ながら、木製である本物のこけしに似せた現実性が追求されており、抜かりない。実は本体はバルーン(風船構造)で出来ているらしいが、こうしたこだわりも、作品の外的・内的(見かけ上・心理上の)影響力を高めるのに有効かと思われた

「こっちに転がってきそうで怖い!」と言いつつ、慌てて逃げる観覧の子供(右下。実際風等に因り少し揺れたりする。笑)。花子の周囲には人だかりが出来ていたが、不気味さの所為か、子供を始め、近寄る人は少なかった
驚きの観覧終了
驚きの現代アート作品「花子」の見学後、清水寺の塔頭・成就院で同時開催されていた特別公開と作品展示を観たかったが、受付時間外で叶わず。
その後、寺を離れ、同行者と清水麓の六波羅界隈を少し散策して帰宅したのである。