2022年05月21日

三所巡覧

鴨川をどりの開演前、先斗町歌舞練場内の劇場に吊るされる千鳥提灯

小時以来の伝統芸能

今日は誘われて久々に観劇に行く。

その催しの名は、京都祇園対岸の花街・先斗町(ぽんとちょう)の「鴨川をどり(「を」は正称ママ)」。賀茂川(鴨川)西岸の先斗町歌舞練場で行われる、同花街の芸舞妓による歌舞音曲の舞台である。

それは明治初頭から続く催事で、賀茂川東岸は祇園甲部の「都をどり」等と並ぶ、春の伝統行事であった。歌舞伎に似た絢爛豪華な舞台美術や演出に、質の高い演技・演奏で知られる。

コロナ禍により大戦以来の休止となっていたが、今年3年ぶりに再開されることとなった。個人的には小時、在りし日の祖母の付き添いで行った以来の、数十年ぶりの観劇となった。


上掲写真 先斗町歌舞練場の劇場に吊るされる千鳥提灯。賀茂川河畔にある先斗町の花街施設らしい調度。開演前現場職員の許可を得て撮影。


京都国立博物館の入口に飾られる「最澄と天台宗のすべて」展の掲示

観劇前の一大良展

どころが、今日は鴨川をどり以外にも見なければならない催事があった。それは、写真の「最澄と天台宗のすべて」展である。

開催は、祇園南の京都七条末(「末」は旧平安京外れの意)は京都国立博物館だったので、鴨川をどり観覧前の午前に出向いた。


「最澄と天台宗のすべて展」で展示される天台宗総本山・延暦寺根本中堂の「不滅の法灯」の複製
京都国博の展示室は原則撮影禁止だったので、唯一許された天台総本山・延暦寺根本中堂「不滅の法灯」の複製展示を紹介。展名通り、最澄及び天台宗縁の書画仏像等の名品を集めた一大良展だったが、写真紹介出来ないのは残念。海外の博物館の如く、早く日本でも自由化してほしい処である


通り奥から覗く、京都・先斗町歌舞練場

華やか且つ高水準な伝統行事

京都博物館の最澄・天台展をじっくり観覧したあと、一旦帰宅して昼食を済ませ、再び出掛ける。そして、三条や木屋町の繁華街を過ぎて現れたのが、写真の先斗町歌舞練場。

常滑風タイルで壁面を飾る昭和初期建築らしい外観ながら、随所に独自意匠が施される「街の顔」的存在。京風情を代表するような場所ながら、行政や人々の無策・無自覚の所為で近年随分古い建屋が無くなったが、通り奥にこの歌舞練場が現れる様だけは昔のままで、安心させられる。


鴨川をどり開演前の京都・先斗町歌舞練場の舞台
歌舞練場での鴨川をどりも撮影出来ないので(これは致し方あるまい)、代わりに開演前の劇場の様子を。勿論、前掲写真と同じく、現場職員の許可を得て撮影。席は2階まであったが、1階に限ってはほぼ満席であった

歌舞練場前にて知人と落ち合い、入場。公演は約1時間半弱であったが、大変華やか且つ高水準で良かった。さすがは長く続くだけはある。ただ、色恋物の劇演目では年齢に合わせた配役も必要かと思われた。技芸に優れただけでは共感に限界が生じ、歌舞伎もその対応をしているからである。


観覧者で賑わう京都市京セラ美術館の「兵馬俑と古代中国展」

機会無駄にせず収穫も

鴨川をどり観劇後は、近くの四条界隈で喫茶兼軽食休息をし、その後知人と別れたが、その帰りにまた物見に……。

それが、写真の「兵馬俑と古代中国展」。今度は祇園北の二条末にある京都市美術館(京セラ美術館)が、その会場であった。

不覚にも喫茶休憩で時間を費やし、既に閉館前1時間半を切っていたが、何とか観覧することに。何故そんなに参観を詰め込んだかというと、実は最澄展と兵馬俑展の招待券を前に文化関係者から頂いていたが、うっかり行きそびれ、気づいたら今日しか行けなくなっていた為である。

両展共にあと1日会期があったが、明日は別の約束があるため、なんとか先方の好意と機会を無駄にせぬよう、観劇前後に行くことにしたのである。

それにしても、その参観客の多さに驚いた。兵馬俑展は昭和期から幾度か行われたため多くの人にとり最早珍しいものではないと思っていたが、違った。しかも、既に館外で当日券の完売・入場不可すら報じられていた。

私は券持参の為そのまま入館したが、展示室手前で予約の有無を問われ阻まれてしまった。コロナ感染対策のこともあり、予約については事前に調べていたが、今回は予約が必要とは目にしなかった。その辺りの事情と残り時間が少ないことを告げ、なんとか暫く待ったのちに通してもらった。

想定外に多くの人が来て、急遽予約制になったのであろうか。


京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される武人俑
京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される武人俑。彼の始皇帝陵より出土した実物で、撮影可能展示室の展示物。この展覧会は、何故か小さな展示品の多くが撮影禁止とされ、大きな物が可能とされていた


京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される銅馬車(銅車馬)
同じく京都市美術館の「兵馬俑と古代中国展」で展示される2号銅馬車(銅車馬)。これも始皇帝陵の出土品だが、今回は複製品。銅馬車は2種(2組)出土しているが、どちらも始皇帝行幸に関する乗物とみられている


京都美術館の「兵馬俑と古代中国展」で放映される武人俑の彩色復元影像
京都市美術館「兵馬俑と古代中国展」で放映される武人俑の彩色復元影像

研究進展の結果、兵馬俑はモデルに近い姿になるよう着色されていたことが判明したという。これは、今回の参観での個人的収穫となった。

実は兵馬俑展はこれまで幾度か観ており、それどころか、実際にその昔、始皇帝陵まで行って銅車馬を含む現物を見ていた。それ故、最澄展より少々興味が薄かったが、彩色のことや北方民族の人相特徴を持つ人物俑が存在することなどが新たな知見となり、十分価値を感じることが出来た。

そして、18時閉館となり、観覧も丁度終了。

こうして、京都市美術館でも、1時間程の参観ながら、中々充実した観覧となり、結果、券も無駄にせずに済んだ。機会をくれた人に感謝!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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