
久々の手工
今日は時間があったので久々の手作り作業を……。
それは、自転車のグリップやサドル等の表皮交換であった。愛用の自転車は高級車や著名ブランド車でもないが、購入当初の装備・外見に少し不満があったため、自分で革を貼るなどしていた。
だが、その素材は有り難い頂き物ではあったが、合皮で手触りや色味に少々不満があった。その為、それが古くなったこの機会に、貼替を行うことにしたのである。
ただ、その為には新たな革が必要だが、素材としての本革は高く、既製品のグリップやサドルの費用を超す程だったので、躊躇していた。
ところが、先日ハンドメイド関連の総合店で、良い端切れ革のセットが安価で手に入ったため、作業の機会を窺えるようになった。
上掲写真 貼替用に用意した、自転車のグリップやスタンド用の本革表皮ならびに、それを貼り込んだサドル。

貼替前の下準備に、縫穴あけとコバ塗り(端面保護の塗装)を施した、自転車グリップ表皮用の本革素材

サドル革は形状・大きさにあわせ、「包める」「引っ張れる」ことを考慮して裁断。裁断後の素材そのものの写真は撮り損ねたため貼り込み後の画像のみだが、ご容赦を。なお、本来は厚さ1mm以下の革なら皴なく綺麗に張ることが出来たが、今回入手出来たのは2mm近いものだったため、なるべく綺麗な皴を作りつつ余分をまとめるという手法を採った。そのため革を伸ばして「張る」というより、革を「貼って」タッカーで端を固定するという方式になった。ポイントは下地表皮(オリジナル素材には手をつけぬ方針により残存)に貼った両面テープを利用して(本来は接着剤が良いがこれもオリジナル保存のため)なるべく皴なく革を貼ることであった

本革表皮素材を用意したあと、このようにグリップやスタンドに貼り、先に蝋引きした革用の亜麻糸で交互縫い(クロスステッチ)して装着した

グリップも形状が複雑で、採寸や裁断に時間がかかったが、この様に一本縫いすることで美麗に仕上げることが出来た。合皮の時はグリップエンド(端面)も覆っていたが、縫製が複雑になり綺麗に仕上げることが困難だった。色々悩んだ末の最もシンプルな方策だったが、予想以上に良い結果が得られた。因みにそのヒントを得たのは鉈や包丁の柄の包み革であった

サドルは再度両面テープを増して上面の皴をとり、このように仕上げた。革の厚みがあるため、どうしても前後に余り皮が生じるが、なるべく美麗にまとめることで、然程気にならない程度にはなった。元より厚みがあるので耐久性には優れる筈である

使用時や折り畳み時に部品接触で傷がつくのを防ぐスタンド表皮もこの通り。同じく交互縫いで装着したが、実際の使用時は当然縫い目は裏に回す
革細工の楽しみや効果再確認
本革表皮装着後、防水スプレーを塗布し(素材革は油を含侵させたオイルレザー・サドルレザーなので、元々ある程度の耐水性あり)、懸案の自転車各部の表皮替えは終了。
やはり合皮より手触りが格段に良く、見た目も良くなった。車体色との関係から、本来はもう少し焦茶ぽい色でも良かったが、それはまた次回にそんな色味の革が入手出来た時の楽しみに……。
今回の革細工。自転車に限らず色々と応用が利く手軽な手工なので皆さんにも是非推奨したい。自身としても久々の実践となったが、実は昔からナイフやカメラのケース、筆箱等を自作してきた。今回の作業で革細工の手軽さとその効果の大きさや楽しみを再確認することが出来たのであった。