2024年03月13日

柳湯始毀

解体が始まった三条北・柳湯の番台口から覗く瓦礫越しのタイル画や石貼り内装等

嗚呼、文化財的銭湯!

昨日、京都市街中心地で働く親族から衝撃的な話を知らされた。

それは、三条北の小路沿いにある古式ゆかしい銭湯「柳湯」で解体工事が始まったということである。

柳湯といえば、銭湯好き、古建築好きには知られた名店。その外観・内観は元より、柳籠まで完璧に残り、私の知る限り、京都市街で最も創建当初の姿を保つ銭湯の一つであった。

そのため、急遽、今日の外出ついでに確かめることにした。


上掲写真 出格子も古式ゆかしい番台口から覗く、柳湯内部。今や再現不能なあのタイル画も壊されてしまうのか……。


解体作業に備え足場で囲まれる三条北の柳湯

現場に到着すると、やはり情報通り、そして写真の通り、柳湯には解体を思わせる足場囲いが巡らされていた。

開いていた入口奥には、剥がされたものか、板材等の瓦礫が積まれ、その奥にはまだ壊されていないタイル画等の浴場内装が見えた。

「解体ではなく、どうか改装であって欲しい」と願うも、作業の人に訊いた答えは、やはり解体という。

うーん、残念無念。角地でもある柳湯は、寺社に次ぐ、この辺り旧市街の顔的存在でもあるのに……。


解体足場に囲まれた三条北・孫橋通沿いの「柳湯」正面
解体足場に囲まれた三条北・孫橋通沿いの「柳湯」正面。その様式から、恐らくは昭和初年築だと思うが、町家を超えた、正に寺社に次ぐ、文化財的重建築(寺社を「重」とすると「中」とも)

愚かな破壊いつまで続く

恐らくは、近年付近で流行している建築価値の無い小宿に建替えられるのであろう。皮肉にも観光需要が観光資源を破壊してゆく。なんという愚かさ、残念でならない(京都を愛す他所人よ、宜しくこれを知られよ)。

保護の枠から漏れやすい、しかし、旧市街の風情・景観に多大の貢献を果たす、こういう民間建築こそ残さなければならないのに、お上は一体何をしているのやら。いつになれば本気で民間古建築の保存に乗り出すのか。

一応、個人の財産でもあり、私独りで何も出来ないので、せめて、文化財指定の可能性を考慮し、無許可破壊とならぬよう、市の保護課に連絡することにした。勿論、無指定であっても、苦言を呈すつもりではある。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 逍遥雑記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/190838838
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック