2024年08月12日

観新陶美

栴檀木橋の向こうに見える大阪中之島の建築群と東洋陶磁美術館

新装開館の名館を初観覧

今日は珍しく朝から大阪へ。

その中心部・中之島の東洋陶磁美術館で行われている特別展を参観するために。振替休日で閑散とする地下駅構内を潜り抜け、そこへと向かった。


上掲写真 地下駅構内から地上に出て間もなく現れた、旧淀川中洲に並び立つ建築群。目の前の栴檀木橋向こうに立つ歴史的建造物が大阪市中央公会堂(大正7(1918)年竣工)で、右端の低い茶色の建屋が美術館となる。


今春新装開館した、大阪中之島の東洋陶磁美術館
橋を渡り、中之島に入ると全貌を表わした東洋陶磁美術館。名館と人から勧められながらも一度も来たことがなかったので、今回が初観覧となる。そういえば、今日も猛暑予報だったが、朝の大阪は京都より少し涼しく感じられた


東洋陶磁美術館のエントランス部に掲げられた新装開館展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」展の案内表示
美術館前で大阪在住の友人と落ち合い入館する。ガラス張りのエントランス部分にはこの様な特別展の案内表示があった。展覧会名からは解り難いが、2年の改装休館を経た、新装開館記念展であった


新しい展示手法で展示される、東洋陶磁美術館の目玉的作品、油滴天目茶碗
美術館はその名の通り、アジアの陶磁器を専門とする。主に中国・朝鮮・日本の名品を収蔵し、展示されているが、その中でも目玉といえるのが、案内表示に使われている、この建盞(けんさん)。中国南宋時代(12-13世紀)に作られた油滴天目茶碗で、国宝に指定されている


専用の特別室中央に置かれたガラス棚内で煌めく国宝天目の油滴銀河
専用の特別室中央に置かれたガラス棚内の国宝天目は、照明等を工夫した新しい手法で展示されている。そのため、かなり近くから碗内のこの「油滴銀河」を堪能することが出来た。以後、気になった展示品を紹介する


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される中国唐時代の加彩美人俑
これは中国唐時代(8世紀)の加彩美人俑(よう)。旧住友家蒐集品で、流麗は体躯や表情のどれをとっても非の打ち所がない名品


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される中国北宋時代・耀州窯の青磁盤
これは旧李秉昌(りへいしょう)博士蒐集品の中国北宋時代(11世紀)耀州窯の青磁盤(ばん)。中国青磁の名窯・龍泉窯等とはまた違った、くすんだ青緑色がその特徴であり魅力。個人的に最近注目してた窯だったこともあり、径数cmの小品ながら感銘を受けた。約千年前の製造とは思えない凄い釉調・技術である


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される高麗青磁の名品「青磁陽刻菊花文碗」
こちらは高麗青磁の名品(12世紀)。これも住友家旧蔵品で、見込み(碗内)に溜まったガラス釉の濃淡が素晴らしい。この様な中国陶磁に引けを取らない精緻さを持つ作品は前近代朝鮮ではこの時代が最初で最後となる


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される中国南宋時代(12-13世紀)吉州窯の木葉天目茶碗
これも住友家旧蔵品で元加賀前田家の伝来品。中国南宋時代(12-13世紀)吉州窯の木葉天目茶碗。見ての通り木葉を焼き込んだユニークな作風で、人間国宝陶芸家・石黒宗麿氏が再現に成功したことでも知られる


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される中国元時代(14世紀)龍泉窯の名品・飛青磁花生
これは教科書の口絵などでもお馴染みの飛青磁花生(とじせいじ・はないけ)。中国元時代(14世紀)龍泉窯の名品で、住友家旧蔵品かつ元鴻池家の伝来品。伝世飛青磁の最高傑作とされる著名作


東洋陶磁美術館のリニューアル展で展示される、京都江戸期(17世紀後半)の色絵陶器「古清水」
今回の新装展では日本の陶磁器も数多く展示されたが、この色絵陶器もその一つ。我が京都江戸期(17世紀後半)の「古清水(こきよみず)」で、所謂、京焼・清水焼の祖的名品である。精緻なその完成度から京焼の大成者・野々村仁清との関係も指摘されるが定かではない。底部に生産地を指すとの説がある洛北「岩倉」の銘が捺されている

猛暑の観展に感謝!

予想外に大量に展示された東洋三国の名陶磁の数々を堪能し退館。元の姿は知らないが、新装の東洋陶磁美術館は美麗で快適であった。京都からも近いので、また機会あれば参観したいと思う。

退館後、友人と近くで食事や喫茶に興じ、夕刻まで旧交を温めた。午後からの大阪もやはり京都同様の猛暑に。そんな時機に観展等に付き合ってくれた友人に感謝したい。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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