2024年09月26日

'24奥黒部行(四分之一)

飛越新道登山口からみた朝焼けに染まる白山

飛越新道からの奥黒部行再び

朝6時前、山間遠くに北陸の霊峰・白山(標高2702m)が朝焼けに浮かぶ――。

ここは標高1450mの奥飛騨山上の駐車場。岐阜奥地と富山奥地の県境隧道手前の登山口であった。昨年に続き、今年もここから奥黒部を目指す。

昨年、まさかの荒天化により中途撤退した3泊4日の奥黒部周回山行を再実施したのである。一応、初日は晴れ予報であったが、その結果や如何。


参考地形図(国土地理院提供)。縮小・拡大可。


有峰林道飛越トンネルの岐阜側にある北ノ俣岳登山口
有峰林道飛越トンネルの岐阜側にある北ノ俣岳登山口。今朝は高速PAの仮眠場所を3時に出て、5時過ぎにここに着き、出発準備を整えた。本来は5時半に入山する予定だったが、夜殆ど眠れず、暗闇の山間運転にも疲れたので20分程遅れることとなった


有峰林道飛越トンネル岐阜口にある北ノ俣岳登山口に貼られた熊出没の警告
去年経験したここから始まる長時間の泥尾根道に気を重くするが、それより一番の懸念はこの熊予報。ただ、今年は昨年と違い、先行者2組がいたので、かなり気は楽になった


飛越新道の尾根道
そして亜高山帯的樹林続く尾根道に挑む。3泊4日分、計15s以上の野営装備を担いで。ただ、既にライトは要らず、これも気を楽にさせた。去年は厚い雲の所為でこの時間でもまだ暗かったためである


寺地山奥から見えた飛騨山脈主稜線の薬師岳や北ノ俣岳
またしても泥に足を取られるなどして約2時間。尾根上の寺地山に達し、その奥の標高2000m地点から、飛騨山脈、つまり北アルプスの主稜線が現れた。画像左奥の峰が薬師岳(標高2926m)、右手前が北ノ俣岳(同2661m)である。雲が晴れ、晴天となり何より


飛越新道・寺地山奥より見えた剱岳
薬師岳の向こうには以前登った剱岳(標高2999m)も現れた。実に幸先良い出会いである

北ノ俣岳下部の湿地帯と避難小屋分岐の道標
稜線下部の湿地帯で、水場がある避難小屋との分岐部。ここからいよいよ本格的な急登が始まるが、昨年視察した小屋には寄らず、そのまま進む


北ノ俣岳山腹の餓鬼田
急登を一段上がって現れた、小池散る湿地。「餓鬼田」という地名がつけられているが、恐らくは古人が深山天上のここである種の「人工」を感じ、餓えた餓鬼が作った田に違いないと感じて名づけたのかもしれない


北ノ俣岳山上に続くハイマツの急斜面
中腹の湿地が終ると、見上げるほどのハイマツの傾斜に。重荷を担ぎつつ、薄まる空気のなか、喘ぎつつ進む


北ノ俣岳山頂横からみた餓鬼田や寺地山方面の眺め

好天・絶景の山上

そして山上着。

出発からちょうど6時間、遂に北アルプスの主稜線に乗り上げた。写真の如く、眼下に先程通過した湿原やその手前の樹林の尾根が見えた。


北ノ俣岳山頂隣の標高2640m頂とその向こうに並ぶ奥黒部の山々
山上の向こうには薬師岳(左)や赤牛岳(中)、水晶岳(右)等の奥黒部の錚々たる峰々が見渡せた。去年は視界がなかったため感慨頻り。ここは北ノ俣岳山頂ではないが、その隣の標高2640mの頂で、古い石標もあった


北ノ俣岳山頂隣の標高2640m頂からみた奥黒部の山々越しの槍ヶ岳
そして、遠く槍ヶ岳(中央奥。標高3180m)も見えた


神岡新道分岐から薬師岳方面に続くなだらかな北アルプス稜線と縦走路
さて、山上で少々休息後、その裏手すぐの縦走路に合流し、先を急ぐ。目指すは中央彼方に聳える薬師岳方面。その麓の薬師峠の野営場に宿泊予定のためである。これより山脈主稜線上の縦走路を辿り、そこへ向かう


黒部五郎岳等を背にして稜線脇に綿毛を並べるチングルマ
途中路傍にて簡単な昼食をとる。その傍には、最終日に登る予定の黒部五郎岳(中央奥。標高2840m)を背にしてチングルマが綿毛を並べていた。花ではないが、これも厳しい高山での一服の慰めか


太郎兵衛平へと続く奥黒部の縦走路
北ノ俣岳から薬師岳麓まで主稜線は、稜線らしからぬなだらかな高原状となり、その上に縦走路が続いている。天気も良く、牧歌的風景。ただ、紅黄葉は見られず、周囲含め全くの夏山景であった。直近まで続いた猛暑は高所にも影響を与えたのか。涼しからぬ気温と共に、驚きを感じる


秋の晴天下の太郎平小屋
そして、13時過ぎに太郎平小屋に到着。だが、野営場の受け付けは現地との話を聞き、先へ進む


9月末というのに珍しく売店兼受付が開いている薬師峠のテント場
小屋から10分強進み、薬師峠へと下降。所謂テント場だが、昨年とは異なり、左の売店小屋に人がおり宿泊手続きや支払いが出来た。ここで来た道を聞かれ、珍しいのか道の状態等を訊かれた。相変わらずの悪路であることや、木道が雨で濡れると転倒必至であることを告げると、感謝された


薬師峠から続く、花崗岩多い薬師岳登山道

薬師岳へ

昨年とは異なり先客多い野営場にて、数少なくなった良地に天幕を張る。正午辺りに比して雲が出てきたが、それでも時折射す陽は盛夏同様の強さがあり、暑かった。

設営後、他の登山者と話し込むなどしたが、予定より早く着き、天候も問題ないため、特に休まず薬師岳登頂を目指すこととした。

野営場から続く、花崗岩の大石散る写真の如き急登をひたに進む。


P9262659.jpg

またしても!?

薬師岳といえば、去年山頂直下まで迫りながら荒天のため断念した因縁的場所だが、条件的に今年は大丈夫そうであった。

だが、なんと森林限界の稜線に出た途端、強風に晒されることとなり、慌てて防寒着を足す。すれ違う人から登頂の中止と危険を告げられる。

一先ず標高2700m付近の写真の薬師岳山荘まで行って様子を見るが、中止先行者の言う通り、山頂方面は濃いガスと強風で荒れていた。さっきまでは暑くてたまらない程だったのに、今や寒さで風邪をひきそうである。

今着ている雪山用の軟外套(ソフトシェル)に加え硬外套(ハードシェル。雨衣)を足せば突入出来なくもなかったが、前夜殆ど寝ていないにもかかわらず既に行動時間が10時間を超えていることや夕暮も接近していることから断念することにした。

恐るべし薬師岳。下山者からの情報では昼過ぎまでは頗る機嫌(天候)が良かったらしいのだが……。やはり高山は午前中に登るのが良いのかもしれない。特に山陰・大山の如く比較的日本海に近い山は。

その後、元来た道を駆け下り、野営場にて夕食や明日の準備等を行い、一日を終えたのであった。

「'24奥黒部行」2日目の記事はこちら
「'24奥黒部行」3日目の記事はこちら
「'24奥黒部行」4日目の記事はこちら

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会
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