2025年11月12日

宵参聴鉦

十夜法要中の夜の真如堂境内

今年も聞こゆ

秋が進み、日の暮れが早くなった。それは、18時頃にはもう真っ暗な程である。

夕方、仕事などを一段落させると、買物がてら、運動がてら遠近を歩くことが多いのだが、今日は遠くから聞こえる鐘の音を辿り、丘上の真如堂にやってきた。

破(や)れ気味にガラガラと聞こえる鐘の音は、まさに正教会のそれを思わせたが、丘上にそれは無し。実は、真如堂本堂内で鳴らされる「お十夜(じゅうや)」行事の鉦の音であった。

称名念仏行事であるお十夜は元来浄土系寺院で知られる法要だが、真如堂は台密寺院。しかし、その本尊は慈覚大師御手製とされる衆生済度の阿弥陀如来で、なんと十夜法要発祥地という。

まあ慈覚大師も恵心僧都(『往生要集』著者)も空也上人(称名念仏先達)も皆天台僧で、浄土宗開祖・円光大師もその出なので不思議はないか。

いつもこの時期に聞こえる鐘(鉦)の音を不思議に思っていたが、一昨年、偶々寺を訪ねて鉦講の人達が叩くお十夜鉦だということが判明した。

その際は本堂内に入れてもらい、内陣横で鑑賞させてもらったが、21世紀に残る中世そのものの雰囲気に、大変驚かされた。


真如堂本堂の表柱に掲げられた「十夜大法要」の立札
真如堂本堂の表柱に掲げられた「十夜大法要」の立札。お十夜は本来旧暦10月5日から15日までの十日間の昼夜に行われるが、現在の真如堂では11月5日から15日となっており、夜は最終の結願法要前日まで毎日鉦が打たれる


真如堂本堂の表戸とその隙間から伸びる白綱
真如堂本堂の表戸とその隙間から伸びる白綱。綱は十夜法要期間のみ開帳される本尊・阿弥陀仏の手と繋がっており、それに触れると本尊に直接願いが通じるとされる。正に「救いの手」の現出である


木柱を伝い、真如堂境内に渡される、本尊と繋がる「願いの白綱」
木柱を伝い、真如堂境内に渡される、本尊と繋がる「願いの白綱」。それは右端の回向柱まで伸ばされている

有難い宵講に寺本来の姿みる

さて、今回は勝手知った身なので、自ら本堂に入り、案内の人に誘導されて鑑賞席に就く。そして約30分程の全編を聴かせて頂いた。

それは不思議な音色、節回しで、念仏同様、何やら有難いものにも感じられた。そして、一昨年とは異なり、今年は講員に女子や若者の姿もあり、実に頼もしく、そして喜ばしく思われた。

講員皆さんが最後に撞木を置き、数珠練りの念仏で閉めて演奏を終えると、いつの間にか唯一の聴衆となっていた私も、席をたち関係皆さんに労いと御礼を述べた。

その中に責任者らしき居住い貴い僧形の人がいたが、その人には逆にお礼を言われ恐縮した。それらの様に、観光ではない寺院本来の姿や地域との関わりを感じさせて頂いたのであった。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 催事(友人其他)
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