2026年01月18日

三境尋雪

滋賀最西部・生杉集落の地名木札杉林や茅葺民家

今季初の雪山へ

1月も半ばが過ぎ、はや厳冬期の「大寒」直前となった今日。漸く今季初の雪山へゆくこととなった。

この冬は雪の降り始めが遅かったことや、熊への警戒から未だ出動を果たせていなかった。しかし、友人から雪歩き目的の誘いがあったので、今日向かうことになったのである。

場所は、京都府東北部と滋賀県最西部、そして福井県東南部に跨る三国岳(標高775m)。かの秘境・芦生(あしゅう)原生林に接する京都北山(丹波高地)最奥の地である。

以前、下見で麓まで車行したことがあるが、歩くのは初めて。よって楽しみにしていたが、ここ数日季節外れの温暖が続いていたので、肝心の雪は期待し難い状況であった。

朝待ち合せた友人とも「今日は普通のハイキングで終るか」と、半ば諦め気味で話していが、果たして結果や如何に。


上掲写真 三国岳の登り口となる、滋賀最西部集落・生杉(おいすぎ)の地名板と背後の杉林や茅葺民家。


季節外れの温暖な冬の日にもかかわらず車道以外雪に埋もれる滋賀・生杉集落

諦めが驚きに!?

出発地の京都市街東部から、ひたに北上して大原を過ぎ、琵琶湖水系の葛川(かつらがわ。安曇川)谷に入る。

そして進路を西寄りに変えて京都市最北の地・久多集落手前から滋賀最西部の山間を北上し登山口の生杉に至った。その様子は写真の通り。

車道以外は雪に埋もれる驚くべき光景が広がっていた。恰(あたか)も突如東北の山村にでも到達した気分である。

途中、多雪地の比良山脈も見えたが、殆ど雪を見ず、完全に諦めていたので、その感慨も一入(ひとしお)であった。

まあ、京都より北で、標高も高い場所ではあったが、近場ながら、まだまだ予想外の景色や状況が存在するものである。


滋賀朽木・生杉の外れ除雪が途絶え通行不能となった地蔵峠・芦生演習林への道
さて、集落を抜け、更に道を進むも、この様に雪で行き止まりとなった。本来は府県境に向け未だまだ道は続くが、除雪はここまでのようである。同乗してきた友人の車は冬用の護謨輪(タイヤ)を履いていたが、さすがに除雪がなければ進めない。空気の如く意識せずにいた社会基盤の恩恵を不意に感じる。まあ登山口まではもう遠くないので、緊急車等の邪魔にならないように駐車して入山の準備を始めた


除雪終了点から雪に覆われて続く芦生演習林・地蔵峠への車道
暫くは車道歩きとなるが、この様にしっかり雪があるため、温暖日としては珍しく最初からワカン(輪かんじき)履きで出発


生杉・芦生演習林間の車道脇に現れた三国岳の登山口と木製の登山届箱
途中、友人が外手袋を忘れ、引き返す事もあったが、程なく登山口に到着。車道脇に地元の針葉樹らしき木材を使用した立派な入山届箱もあった


生杉から芦生演習林に続く道端に現れた三国岳登山口の標柱と入山届箱
登山口標柱の場所から車道を離れ沢筋の林間を進む。雪の量が増し、足をとられることも多くなる。当初ワカンなぞ不要かと思い、置いてくることも考えたが、結果、持ってきて助かった。やはり、山は油断禁物である


谷の斜面を巻き進む若丹江・三国岳への雪道
林間の道では途中まで昨日辺りの先行者の足跡があったが、やがて消えた。そもそも入山者の少ない、雪に覆われた場所なので道は自分で探る他なし。やがて谷が狭まり、この様な斜面を巻く進路を採ったが、所々崩れた夏道の跡らしく、急な場所や進み難い場所も少なくなかった


滝が集まる急な渓谷を高巻きする、生杉からナベクボ(クチクボ)峠への登山道
やがて、周囲に滝が見える急な渓谷を高巻きする。先程から道が険しくなったのは、沢沿いに通行出来ないここを遣り過すためだったとみられた。対岸にはブナ等の天然林も現れた


ナベクボ(クチクボ)峠の下に続く雪に覆われた古道らしき道跡
険路を越えると、緩やかで幅の広い道に。峠に接する古道跡か


雪の少ないナベクボ(クチクボ)峠

江若国界踏み山頂へ

そして、ナベクボ(クチクボ)峠(標高約620m)着。旧江若国界、即ち近江・滋賀と若狭・福井の県境尾根である。写真は福井側からそこを撮影。

風が抜け寒い場所だったが、なぜか雪は少なかった。風か、晴れた日の陽当たりの所為であろうか。


ナベクボ(クチクボ)峠から三国岳へと続く雪の稜線道
そして、峠からは、その南に続くこの稜線坂を登り、その頂部にある三国岳を目指す


ナベクボ(クチクボ)峠から三国岳へと続く雪の稜線道
稜線坂はやがて天然林となり、雪の量も増えた。峠下では見なかった、下りのスノーシュー(西洋かんじき)足跡が一人分続く


ナベクボ(クチクボ)峠から三国岳へと続く雪の稜線道
雪の急登を進み、偽頂を二つ越え、漸く山頂が見えた(中央奥の雑木山)


雪に覆われる江若丹国界の山・三国岳の北面
稜線から外れる山頂の小峰に右から回り込み、その斜面に取りつく。すぐそこに頂が見えているが、意外の急斜のため、つづらで登る


雪に覆われる江若丹国界の山・三国岳山頂

「秘境」の隅・三国岳

程なく山頂着。江若に加え、南の丹波を加えた正に三国国界の頂である。但し旧国界を踏襲したとみられる府県境は、一つ手前の偽頂にある。

丹波(京都)側は近畿の秘境・芦生原生林の東北隅となる。正に秘境の奥で、山頂には演習林事務所の入山規制の看板が掲げられていた。

この先の西南方向は演習林深部に下ることが出来るが、事前許可を得ない者は入ることが禁じられているのである。


江若丹国界の山・三国岳山頂と百里ヶ岳方面の眺め
江若丹・三国岳の山頂から見えた周辺景。中央奥の峰は同じく旧江若国界にたつ百里ヶ岳(標高931m)か。三国岳山頂は樹々の為あまり眺望は良くなかったが、風も無く明るい場所だったので昼休憩には良い場所となった


江若丹国界の山・三国岳山頂からみた、雪に覆われる生杉集落やその耕地
こちらは山頂の樹間から見えた、雪に覆われる生杉集落やその耕地。奥地でありながら、かなりの平地をもつ豊かな土地であることが窺えた


雪上にスノーシュー跡が続く、江若丹・三国岳南東尾根

原生林経る下山路

三国岳山頂での昼食後、下山路に就く。山頂から近道的に偽頂側に下り、旧丹江国界(京都・滋賀府県境)の尾根に乗る。

雪深いが晴れて穏やかな尾根筋にはスノーシューの跡が続く。先程足跡を見た独行者は、我々とは逆に、こちら側から上がってきたようである。


江若丹・三国岳南東尾根から見えた、比良山脈の最高峰・武奈ヶ岳
そして、山頂より開けた尾根筋からは、比良山脈の最高峰・武奈ヶ岳(標高1214m)も見えた。往路その下を通るも姿を見ることは出来ないが、意外に山上はそこそこ積雪しているようである


雪残る生杉ブナ原生林の中腹部

やがて、国界尾根から滋賀側の支尾根に入り、その側面を下る。急な下りで雪も少なく難儀するが、写真の如くブナ等の大樹多い、見応えある天然林となった。

所謂「生杉ブナ原生林」と呼ばれる場所で、県の自然公園となっている貴重な森。急斜で、遠回りともなるが、これが目当てで経由したのである。

因みに、スノーシュー跡はそのまま支尾根に続いていたので、緩傾斜かつ里からの近道を採ったとみられた。非正規的道だが特に難はなさそうか。


生杉ブナ原生林内から見えた、雪に埋もれる芦生演習林への車道
下り難い、しかし正規の登山・散策路でもある原生林道を下降すると、やがて雪に埋もれる車道や厠等の公園建屋が見えてきた。よく見ると、車道には斜面から盛大に流れた雪崩跡も(中央)。先週末の寒波来襲時に相当降ったとみられる。もし先週来ていたら、雪が多すぎて山歩きは疎か集落にさえ来られなかったかもしれない


所々雪が剥げた、生杉ブナ原生林下から集落へと続く車道
原生林口の車道に下ると、後は駐車地点までひたすら車道を下るのみ。森下は温暖で、車道にも雪の禿げた場所があったため、友人は早速ワカンを外すが、進むにつれまた雪が増えたので、改めて付け直した


雪に埋もれる生杉集落奥の沢沿い林地内にあった熊檻らしきもの
雪に埋もれる沢沿いの林内にあった熊檻らしきもの(中央)

山行終了
確りした雪歩きに感謝


そして、雪を踏みながら車道を進むこと1時間強。無事駐車地点に到達した。最後はU字の車道を渡渉で短絡したが、そこに熊檻(罠)らしきものの設置がみられた。

奥山なので以前から熊の多い場所ではあるが、改めてそれへの警戒を意識(一応、毎回事前の出没情報調査や鈴等で対策)。

その後、集落を離れ、朽木の温泉に寄って帰京したのである。季節の為か、時間の所為か、生杉の地産店が閉っていたのは残念だが、まあ、また今度……。

今日は短距離ながら予想外に確りと今季初の雪歩きが出来てよかった。友人に感謝。お疲れ様でした!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 山会
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