2009年10月18日

敦煌調査初日

漢代敦煌に初めて築かれたとされる都市の遺跡「沙州故城」

沙州故城

敦煌到着翌日である今日より、早速行動を開始することとなった。とはいっても、実際の交通事情等が不明な為。あくまでも予備調査開始といったところである。

先ずは、市内バスで行ける、付近の「沙州故城」を見学した。史上初めて敦煌に築かれたという、漢代(紀元前2世紀〜紀元後2世紀)の都市遺跡である。約1キロ四方の規模があったといい、その城墻の一部が現存している。写真は、その最も残存している部分。西北角の台敦(正しくは土扁に敦。日本の城でいう、角櫓のような場所)と、そこから南に向かう防壁である。黄土に水を与え、つき固める版築と日干し煉瓦が使用されている。


敦煌郊外の鳩摩羅什塔(白馬塔)近くの綿花畑とポプラ並木

故城見学の後は、近くにある、西域人で佛典漢訳に多大な功績を残した鳩摩羅什(クラマジュウ)縁の「白馬塔」を見学。写真はその途中、綿花畑の景色。敦煌郊外の典型的な眺めである。特産の綿花は、今が出荷最盛期を迎えていた。


敦煌郊外の鳩摩羅什塔(白馬塔)近くの村落を構成する西域型住居
同じく、敦煌郊外の村落にて

殆どが漢人住民であるが、集落や建屋のつくりは西域型であった。


敦煌・南湖間の車上より見た、見渡す限りの戈壁漠と彼方に続く車道

南湖へ

午後からは、今回の重点考察領域である敦煌近郊緑州(オアシス)「南湖」へ向かった。距離は凡そ70キロ、公共バスで約1.5時間の道程であった。写真はその車上にて。見渡す限りの戈壁漠をゆく。恰も、月面を行く心地である。


荒野の彼方に見え始めた、ポプラ樹林に守られた敦煌近郊緑州(オアシス)の南湖集落
やがて、荒野の彼方に、ポプラ樹林に守られた「南湖」集落が見え始める


敦煌近郊緑州集落「南湖」郊外で出会った流砂帯

車内の隣人や車掌らに説明し、集落内の「古董灘」最寄の場所で下車する。そこからは土道を歩き、葡萄畑と幾重かの防砂林を抜け、集落外に出た。早速、流砂帯も現れた。

古董灘とは、古物が散乱する場所として古くから土地人が注目していた集落際の荒漠地。古代の重要関門「陽関」の所在比定地の1つとして知られている。私はここに残存するという長城や烽火台を調べ、敦煌の衛星都市的存在であった南湖緑州の防衛体系解明の手懸りを探りに来た。


敦煌近郊緑州集落「南湖」郊外の「古董灘」の砂漠で見つけた、漢代の縄目つき灰色陶器と水甕(?)の破片
古董灘にて、早速古物発見

縄目のついた灰色陶器は漢代遺物の特徴。左側のものは水甕の破片か。


敦煌近郊緑州集落「南湖」郊外の荒漠「古董灘」を貫く河水「西土溝」の峡谷
古董灘を貫く河水、「西土溝」の峡谷

この辺りでは殆ど水を見ない。少し上流に行くと谷が浅く、渡河が容易な場所が現れるが、私はその辺りを、未だ場所が定まらない陽関遺址の所在地ではないかと推測している。


敦煌近郊集落「南湖」郊外の荒漠「古董灘」を貫く河水「西土溝」西岸の戈壁台地で発見した土堆
西土溝の対岸、西岸の戈壁漠台地内に土堆を発見。地元の調査資料にある、年代不詳の烽燧(烽火台)かと思われた。しかし、近くで観察したところでは、天然の風化土堆か人工物かの判断は得られなかった


強烈な日射が注ぐ、敦煌近郊集落「南湖」郊外の荒漠「古董灘」付近の戈壁漠
朝晩の冷え込みを忘れさせる強烈な日射が戈壁に注ぐ

大きな寒暖差は砂漠気候の特徴。これらの作用が硬い石英・玉石をも砕き、「無辺の砂利地」戈壁を形成する。湿潤帯で暮らす我々には、想像を絶する自然様態である。


敦煌近郊集落「南湖」郊外の荒漠「古董灘」付近の戈壁上に現れた、保護色をした蜥蜴
考察中、度々現れた唯一の小動物、蜥蜴の一種

無人の荒野を独り巡る身には、どこか親近感の如きものを感じさせられた。


敦煌近郊緑州集落「南湖」縁辺のポプラ樹林で見つけた黄葉した樹木
南湖緑州縁辺のポプラ樹林にて

緑州にも、秋黄葉の時季が来たようである。今はただ穏やかな景だが、これもまた想像を絶するような寒冷到来の序章でもある。


南湖から敦煌への帰りのバス内から見た、沙漠の彼方の地平線日没

そして、約3時間程の考察ののち、来た道を辿り敦煌市内へと戻った。短い時間ではあったが、あくまでも予備調査としていたので、欲張らずに撤収した。写真はその車窓に現れた戈壁漠に沈む夕陽。我々島嶼人には物珍しい、地平線への日没である。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 調査・研究
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