2010年11月07日
秀峰多彩
孤高の秀峰「堂満岳」へ
11月最初の週末日曜。一応今年最後となる予定の、山会が開かれた。告知が直前になった為、参加者は少なかったが、少数精鋭での気ままで寛いだ集いとなった。場所は琵琶湖西岸(滋賀県)に連なる比良山系の「堂満岳」(1057m)。山会としては未踏の山であったが、山容や道中の雰囲気、山上景色の良さから、いつかは目的地に加えたいと思っていた場所であった。
雨の予報は無かったが、朝は少々それが心配されるような厚い曇り空。更に待ち合わせ駅で、参加予定のF君が急用により離脱するなどの遺憾も生じる。だが、山の最寄駅に着く頃には徐々に晴れ間が見え始める状況となった。
上掲写真: 朝の雲間より、美麗なその円錐容姿を覗かせる「堂満岳」。連峰中に在りながら、どこか孤高の気色を有する辺りも、また好むところであった。琵琶湖岸から程近い、最寄の比良駅付近より撮影。湖面標高は約85m。即ちこれから、あの山頂までの高度約1kmを自力で踏破することとなる。
人為?生物小天地「ノタノホリ」
駅から歩いて登山口へ向かい、そこから山道を暫し登る。そして最初の休息地として現れたのが、写真の「ノタノホリ」であった。ノタノホリは見ての通り、山中の小池。堂満岳前山(東尾根端)の頂部付近にある。アメンボやイモリ、モリアオガエル等の小動物が多く生息し、水面にはジュンサイ等も繁茂する水生生物の小天地。山上にありながら雨乞い儀礼に使われるなど、古来より人とも関わりが深い場所であった。
今回この池を観察して新たな発見があった。それは、この池が自然に出来たものではなく、人為的なものではないか、という疑問である。水の流出部となる辺りに、植栽で補強されたような土手状の微高地と、排水溝跡らしきものが確認されたからである。ひょっとして水源湿地(ヌタ)を利用した貯水施設(ホリ)ではないか。そういえば、ここに来る途中、不自然な平坦地や、山仕事には使い辛い直登の切通し道もあった。寺院か城塞か、古い時代の何かしらの施設と関連したものかもしれない。
良道と熊剥ぎ避け
ノタノホリを後にし、杉の植林地帯をゆく。踏み固められ、細かな砂礫乗る白い道は、由緒ある古道によく見られる特徴。歩き易い爽やかな道である。杉の幹に巻かれた樹脂紐は、熊に因る樹皮剥ぎを防ぐもの。詳細は不明だが、この処置が施された幹を熊が忌避するためらしい。比良山系はツキノワグマの生息地である。
人工林が尽き、やがて自然林に。高度を上げる毎に、写真の様に樹々の葉が色づき始めた
山頂直下、最後の急登
標高900mを過ぎた頃から現れた過酷な急登。身ひとつでも辛いのに、子を負うメンバーの苦労も一入である。
穏やかな山頂、和やかな昼食
そして頂上着。潅木と石塊からなるここからは、手に取れる様な青い琵琶湖の絶景を目にすることが出来るのだが、今日は霞のため叶わなかった。
しかし、吹き曝しの高地にありながら陽射しと穏やかな気温に恵まれ、昼食は和やかで楽しいものとなった。
噂通りの紅葉当り年
昼食後は更に進んで山脈主尾根にある縦走路を目指した。その途中、即ち堂満岳頂部後方で見かけたのが写真の景。山上自然林の紅葉の様子である。針葉樹の緑との対比が実に美麗。
奥に聳える峰は、主峰武奈ヶ岳方面にあってそれを遮蔽する「コヤマノ岳」(1181m)。地味な存在ながら、武奈ヶ岳に次ぐ山脈第2位の高峰。
尾根道に次々と現れる、赤や黄色の葉の姿。噂通り、今年は紅葉の当り年のようである。個人的にも、ここ10年で一番の状態ではないかと感じた
残念ながら午後から日が陰ってコントラストが下がったが、それでも全山色づく様は格別であった
金糞峠、索道駅跡を経て無事下山
さて、山会一同は縦走路に出、金糞峠を経て、索道駅跡地付近から下山することに。そして無事比良駅に帰着した頃には、背後の山共々、辺りが夜陰に閉ざされたのを見たのであった。
春の比良行と同じく、かなり体力を費やす行程であったが、無事終えることが出来て何より。お疲れ様、有難う!
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