
いつぞやの景、再びである。しかし、比較の為でもあるので、致し方ない。後方に霞むのは言うまでもなく大文字山。そして、その懐に浮かぶべき三角の火床が見え難いのは、前に同じく黄砂の影響である。
表題の「下澣(げかん)」とは、月の終り頃、即ち「下旬」と同じ意である。「下浣」と表する方が一点一般的なようではあるが、「浣」の字についた某有名医薬品商標の印象があまりに強力な為、回避した。浣・澣共に洗い濯ぐの意。昔、唐土の官吏は10日毎に休沐日を定められていたが、それが一月の中で上・中・下の語を冠して表現されるようになったことから来た語句である。衒学企図で名付けたものではない。ただ、「下旬」等よりかは表題らしい為の採用である。
ともかく、黄砂ネタ3度目にして、漸く内容に即した題が採られた。「下澣」の語と共に、これまで幻惑されていた読者諸氏には、ただ諒を願う次第である。

賀茂川は今出川橋北方に白霞む北山山塊。
画像はないが、至近の叡山でさえ、なかなかの霞み様であった。

医大院舎と、並び立つ起重機一双。
蒼空(そうくう)と樹冠との間が黄を帯びているのが判るだろうか。

塵霧(じんむ)に乱反射する夕照。正に幻惑の夕べ。
