2012年05月12日

春冷麺会

京都・賀茂川(鴨川)の河原に置いた七輪上の鍋蓋を開け、蒸しあがった「包子」を確認し笑顔を見せるモンゴル系中国人のSさん

麺会初開催。天候に難有り

5月も中頃だというのに暖かくない。というより寒ささえ感じる日もある。特に今日は一段とそれを感じる。今年はなんだかおかしい――。

そんな天候の中、初の麺会を開催。しかも屋外。せっかくの催しがこんな天候に当ってしまい、残念だが、ほかの日も似たりよったりなので、まあ致し方あるまいか……。

今日の麺会では肉饅の原形である「包子」(北京漢語読み「バオヅ」)作りに挑戦。しかも、その本場のネイティブによる指導を受けながらというもの。

なぜ肉饅が「麺」なのか?

「麺会」と称しているのにどうして肉饅なのか――。そんな疑問を抱く人も多いと思う。ここで少し説明しておこう。日本では誤解されているが、麦扁を持つ「麺」の字は、小麦の水練りを原料とした食品全てを表す語である。

西方から伝わったその原料形式を、中原の人々が読み方もそのままに表記できるよう創出した文字ともいわれるのである。よって、拉麺でも餃子でも中華蒸しパンでも麺(食)といえるのであった。


上掲写真: 記念すべき初回分「包子」の蒸し上がり。天候共々思う通りに行かず、少々心配顔であった「包子ネイティブ」のSさん(華領蒙古人)も一先ずは笑顔に。


京都・賀茂川(鴨川)の河原に置かれた、包子(小肉まん)等の調理・暖房兼用の七輪と蒸鍋
本日の屋外用調理火力「七輪」。想定外の寒さの為、急遽暖房機器の役割も兼ねることに

寒さに開始遅れ参加者減る

さて、13時に賀茂河畔に集合して調理を開始する予定だったが、準備班の到着が遅れた為、14時頃からの開始となった。想定外の寒さの為、生地の発酵が思うように進まなかったのである。

仕方が無いこととも言えるが、それに因り予定通り現地入りしていた友人一家との合流が果たせなくなった。あとで聞いたところ、寒さのため引揚げたらしいが、大変申し訳ないことに。この場を借りて改めてお詫びする次第である。

あと、その他にも急用等で来れなくなったりする人が出て、参加者は予定より減ることに。実は、当初は予想外に反響があり、用意の関係で人数制限することも検討されたが、その心配はなくなったのであった。これも、この奇妙な天候が成せる波乱の1つであろうか……。


京都・賀茂川(鴨川)の河原で包子の生地調整をする、モンゴル系中国人Sさん
Sさんによる生地調整。河原に着いて早速包み蒸すことを想像していたが早計であった

蒙古相伝のヨーグルト発酵生地

今回の生地は、一般的なイースト発酵ではなく、ヨーグルトから育てたという菌を使って発酵させたもの。蒙古人の間で古来行われた相伝の方法らしい。酸味が出るみたいだが、重曹等で中和するとのこと。

初めて聞く製法である。何か牧民風情の如きが感じられて興味深い。華人とは違う、彼ら本来の生活を想わせてくれるような製法である。

しかし、伸しや包む際の身離れ用に用いる打粉(うちこ)の小麦等を買出しに行ったW君が中々帰らない。これでは次の工程に進めない。彼と留学先の同学でもあるSさんは立腹し、何度も催促の電話をかけてその挙を詰る(ように見えた。笑)。


京都・賀茂川(鴨川)のベンチ上に置かれた、包子の蒸し待ちの間にコッフェルで煎じた烏龍茶
七輪の火起こしは私の担当で、既に出発前に完了。しかし、1つしかない生地の調整はSさんが独力実施しているので、暫し手持ち無沙汰に

為に、蒸し待ちの火力の利用して湯を沸かし、茶を用意することにした。友人から提供されたその茶葉は、包子に良く合う烏龍茶。


京都・賀茂川(鴨川)のベンチ上で、包子の伸し作業と餡の包み作業を行う麺会一同

出来映え左右する包み作業
韮&鶏卵焼。野菜主体の餡


やがて打粉が届いて、伸しと包みの作業を開始。Sさんによると、寒さのため未だ発酵が不足気味らしいが、仕方なく進めることに。

写真はその様子。俎板上で包子1個分に小分けした生地を麺棒で伸して皮を準備し、そこに餡を置いて包む。出来映えを左右する重要な工程で、Sさんに教えてもらいながら皆で進める。

中央下のボール内に見える餡は、Sさん他の準備班が用意したもの。肉を使わず、韮と焼いた鶏卵等を用いた健康的なもの。本来は、現地(南モンゴル)で一般的な羊肉入りのものを作りたかったらしいが、適した物の入手が難しく、好悪の問題もあるので、この形式にしたという。

そう聞くと羊肉版も食べてみたかった。チベットかどこかにて、その類似のものを食べたのが、確かもう10年以上前のことだからである。


京都・賀茂川(鴨川)のベンチ上に置かれた、包み終った包子や生地
包まれて、皿上に並べられてゆく包子。大きさや形がマチマチなのは、各人の作業の結果なので、了承願いたいところ……


京都・賀茂川(鴨川)の河原に置いた七輪の残り火で焼いた中国西北風・餅子(平焼版)
片づけ前の落ちた火力を利用して「焼物」にも挑戦。火の通りを良くする為に形状を平らにした以外は、材料等全て同じ。すぐに焼け、しかも美味。素手で食べられ、タレの必要も感じないことから、優良なファーストフードとして、街で売れそうな気も……

完成。味は格別、後に問題も

そして、七輪上の蒸し器に入れ、約15分にて完成。最初に紹介した画像の通りである。早速皆で試食する。現地風に、黒酢にたっぷりの豆板醤を溶いたタレにて、である。

苦労した所為もあり、その味は格別であった。鶏卵の弾力が、野菜主体の餡に重みというか、確りとした食感を与えることにも感心。

しかし、その後から風と寒さが強まり、膨らみが悪くなり調理時間が倍増した。火力に問題はなかったが、どうやら風により蒸し器内の温度が上がらなくなった為とみられる。

やはり屋外で行うことは、色々と難しい。まあ、これも学習である。しかし、出遅れに加えてこの状況となったので、かえって参加者が減って良かったとすら感じられた。待たせたり、風邪をひかせたりして、迷惑をかけてしまうからである。

幸い、今日はほぼ中核メンバーだけとなったので、今後の為の実習という心地に転換し、後に臨んだ。


寒い賀茂川(鴨川)の河原を撤収し、京都市街東部の自宅ガス台で調理した、鍋内に並ぶ重曹作用で黄色い包子

撤収し屋内にて材料を使い切る

やがて夕刻に。益々寒くなり、日没も近づいてきたので、撤収することに。その後屋内にて、余った材料にて調理を進める。

ところが、写真の如く何故か黄色く仕上がることに。どうやら中和剤として投入された重曹の作用のようである。味にはあまり影響していないように感じられるが、外で調理していた時より、格段に変化が増した気がする。経時進行が生じているのであろうか。


京都市街東部の自宅ガス台上で、余った生地で作った手作り花巻(中華蒸しパン)
余った生地で作った「花巻(中華蒸しパン)」。こちらは然程色が出ていない。温度や調理時間、餡材料等の影響もあるのか。とまれ、膨らみ等の仕上りは先ずまず

包子と花巻蒸しあげ終了

余った餡や生地は保存が難しいので、全て調理して使い切ることに。出来上がったものを冷まし、冷凍保存するのである。

材料が払底し、包子と花巻を沢山蒸しあげて作業終了。その後、あつあつの物を夕食がてらに幾つか試食し、残りを残留者の持ち帰り用として分けて、会を終えたのであった。

皆さんお疲れ様でした、麺会の最終目標、手打ち拉麺づくりにも請うご期待!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 麺会
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