2010年12月05日

続晩秋継会

上下の雨衣を着て剥離粉やベンガラ、油まみれで建具の古色塗り作業を行う継会参加者

第2回継会は古色塗装会の後に

陶磁器修復法「金継ぎ」の学習・体験講座、「継会(つぎかい)」初回から1週間後の本日日曜、その2回目が開かれた。今回は、町家の古式塗装実験及び、その方法を用いた古家外装修復作業が優先となったので、写真は継会そのものとは異なっている。

先ずは午前中より、古い塗装の剥離作業を行い、次いで午後から塗装作業に入った。使用したのは、昔から京町家の古色塗りに使われているベンガラ(弁柄、紅殻)と煮亜麻仁油(ボイル油)を混ぜたもの。自然材料で、人体や環境への負荷が小さいものである。ただ、乾き難く、塗った後に拭き取り作業が生じる場合があるなどの欠点がある。

写真にある通り、皆に上下の雨衣を着てもらい、剥離粉やベンガラ、油まみれで作業を行う。日没までに予定箇所を仕上げる為、その終盤は実に忙しいものとなった。当初は5人で行っていたが、途中から増援を得て7人になり、お蔭で日没と共に作業を終えることが出来た。

継会、そして打上げ

そして、古色作業を急いで片づけ、本題である継会を始めた。作業内容は、基本的に前回施した箇所への漆の塗り足しであったので、然程時間は掛からなかった。その後は、古色作業の慰労を兼ねて中華料理店で打上げ。

皆さんお疲れ様、ご協力有難う!

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 継会

2010年11月28日

晩秋継会

陶器の割れた面に「透漆」を塗布する継会参加者

補修好日。金継ぎ会開催!

11月最後の日曜日。告知通り「継会」が開かれた。日本の伝統的陶磁器補修法「金継ぎ(金繕い)」を学び、体験する、この継会。僭越ながら、講師は私(経験約10年。但し本漆ではなく揮発溶剤配合の類似塗料「新漆」使用)が担当することとなった。

さて、左京区某所に集まった外国人見学者1人を含む、数人の参加者により会は始まった。作業の出来や、参加者の身体状況を左右しかねない低気温もなく、先ずまずの補修日和であった。


上掲写真: 陶器の割れ面に「透漆(すきうるし)」を塗布する参加者。顔料を含まない透漆は接着性が高い為、割れの接合や、にゅう(ひび)への流し込みに使用される。これは、希釈や乾燥のやり方こそ違えど、基本的に本漆を用いる作業と同じ方法である。


割れや欠けを透漆で接着した陶器
割れや欠けを透漆で接着した陶器

乾燥に1週間程かかるので、重みがある箇所は、ズレないようにセロテープ等で固定する。

金継ぎ主材「透漆」と「赤漆」

手前の器の補修箇所の一部に見える赤色は「赤漆」。赤漆は、酸化鉄顔料(ベンガラ。無害)を含む為、接着力には劣るが塗膜の強度が増す。故に、接着部以外の、傷や打痕箇所等の隠蔽に用いられる。これも、基本的には本漆を用いる作業と同様である。

つまり、本漆、新漆に拘らず、金継ぎ作業では「透漆」と「赤漆」の2種が、主材料となる。


透漆により接着された、清水焼陶器の折れた把手
折れた把手部分の接着

長い乾燥時間は高耐久性への「助走」

荷重がかかるこの様な箇所の補修は、透漆の接着力のみには頼れない。よって、更なる処置が必要となる。しかし、今日の作業はここまで。先ずは接着が完了する1週間後まで待たなくてはならない。時間がかかるが、これが、合成接着剤の類を凌ぐ耐久性を発揮する「助走期間」となる。


金継ぎ(接着)作業に集中する継会参加者
金継ぎ(接着)作業に集中する参加者

細かい作業だが、本漆に比して扱い易い新漆を用いた作業は意外に楽しめる。気づけば、参加者皆が熱中して、会場が静寂に包まれる場面も見られた。

「継会第2回」予告

さて、継会は作業継続の為、次週日曜(12月5日)にも行われることとなった。次回参加の人は、乾いた箇所の余分な漆を削り取る為のカッターや彫刻刀等を持ち物に加えて頂きたい。

なお、その日は、金継ぎ以外にベンガラと煮亜麻仁油を用いた町家の古式塗装実験・作業も行う予定なので、以前興味を表明していた人などは連絡を……。

posted by 藤氏 晴嵐 (Seiran Touji) at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 継会